14発目
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「大丈夫だよ。たとえ力の差があっても別の何かでその差を埋めてやればいいじゃない」
ジェノスの頭の中に、名無しさんの言葉がぐるぐると回っていた。
別の何か、とは何だろうか。
強さ、力、スピード。これは既にサイタマが持っている。
では、自分は何で埋めればいいのだろうか。
またしても、強くなるイメージが浮かばなかった。
しかし、先ほどと比べたら気持ちが前向きとなった。
考える余裕が出来たのだ。
まだサイタマの強さには届きそうもない、足元にも及ばないが。
でも、足にしがみつけるぐらいには考えてみるとしよう。
心に暗く重い雲が敷き詰められていた。しかし今は、少し隙間ができ、光が通ったよう。
名無しさんの言葉のおかげだと思うと、あまり良く思ない。
けれど、お礼ぐらいは言ってもいい。
「これかも頑張りたまえ」
優しい手が、ジェノスの頭皮に触れる。
その瞬間、ジェノスの脳内に過去の記憶が映し出された。
何年ぶりだろうか。頭を撫でられたのは。
小さい頃怪我をしたとき、運動会で一位を取ったとき、賞状を貰ったとき。
こうして撫でてもらった。
頑張れ、だなんて。どうしてそんな事を言うのか。
そう言われると、自然にやる気が出てきた。
もうこの世にはいない人の笑顔を思い出してしまう。
「(母さん……)」
名無しさんの手を振り払う。
どうしてコイツなんかで、過去を思い出されたのか。
この女は、本当に好きではない。
別の差は何か。どう見つければいいのか、まだ分からない。
しかし見つけよう。答えを見つけてみせる。
まずは、挑戦することから決めた。
先生と一緒に住んでみよう。
そうすることで、サイタマの強さの秘密が見つかるのではないか。
勝てるような得策が思いつくのではないのか、と考えたのだ。
断られてしまう可能性もある。だが大丈夫だ。
準備は万端だ。
「ここに住んでもいいですか?」
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