11発目
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ゾンビマンと別れ、名無しさんは帰る。
その途中で浮かない顔をしたサイタマと出会った。
土手の一本道で向かい合わせとなる。
「どうしたサイタマ。ついに毛根死滅と医者にでも言われたの」
「殴るぞ?」
名無しさんとサイタマが横に並んで歩く。
いつの間にか空は橙色となり、二人に影を作っていた。
浮かない顔をしていた理由を聞けば、ヒーローにはなれたらしい。
しかし、やりたかったことと違う気がする。とサイタマが言った。
サイタマはずっと下を向いていた。
そんなサイタマに、名無しさんはいつも通りに言う。
「まぁしょうがないよ。仕事なんてそんなもん」
「そうかなぁ……」
まるで漫画表紙がかっこよくて買ったら、中身はつまらなかった。そんな気持ちか。
と名無しさんは例え話をしたがサイタマは全然違う。と言った。
いつものサイタマではないことに、名無しさんは気まずくなり別の話をすることにした。
なるべくポジティブな話をしよう。
「ラ、ランクは? サイタマだったらやっぱSきゅ」
「C級」
「え?」
「……C級だった」
名無しさんは口をあんぐりと開けたままだ。
どうしてサイタマほどの力を持った人がC級なのだろうか?
楽しい話をしようと思ったのに、まさかこの話も悲しくなるとは。
どうしてC級なのか?
考えてみる。確かヒーロー試験は体力試験と筆記テストだった。
体力測定でサイタマが悪い点数を取るはずがない。
では、もしかして……。
「えと……その、世の中体力だけじゃ駄目だって学んだね」
「もう一回言うぞ。殴るぞ?」
サイタマが殴る構えを取るのを見て、名無しさんはごめんごめんと謝った。
拳を降ろして再び歩き始める。
先ほどより影が長く伸びていた。
もうサイタマの地雷を踏まないように、サイタマ以外の話をする。
「そういえばジェノスくんはどうだった?」
「S級?」
「え?」
「……S級だった」
名無しさんはまたしても口を開けてしまった。
最早ヒーローの話は全て地雷になってしまうのでは。
先ほどの気まずさはない。
名無しさんは体の内側からくすぐったいものが湧き上がってくる。
そしてそれは内では我慢できず、口から出てしまった。
「プーッ! もう弟子に抜かされてやんのー!! ダッセー!」
目じりを下げ名無しさんが笑っている。
その顔と笑い声はサイタマの怒りを発生させるのは充分だ。
「二回目言うぞ。殴るぞ?」
「まぁまぁそんなに怒るなって先生。生姜焼き定食奢ってあげるから」
「しょがねぇ。それで許す」
またまた歩き始める。
サイタマは家が目的だったが、名無しさんが奢ってくれるとのことでいつもの定食屋に行く。
名無しさんとしては、認めたくないがサイタマは就職したのだ。
せっかくなのでお祝いしてあげようと思ったのだ。
一番安い生姜焼き定食だが、ありがたく思いたまえ。
「すいませーん、カツ丼ひとつ」
「生姜焼き定食って言ったじゃん!!」
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