10発目
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一人名無しさんは商店街を歩く。
その顔は唇を尖らせ、眉をひそめていた、明らかに不服そうな顔だ。
本来はサイタマと安いスーパー探しをする予定だったのに。
サイタマとジェノスはヒーロー認定試験を受けにいったようだ。
これで受かったらサイタマは本格的にヒーローとなってしまう。
つまり、職を手に入れたよいうことだ。
そのことが気に入らない。茫然自失となってしまう。
そんなことを考えながら歩いていたら、いつの間にか知らない土地にいた。
「あっ」
「よう。また会ったな」
ヒーロー協会でも潰しそうに行こうかと思ったが、見知った顔と出会った。
「えーと、この間は買い物ありがとうございました。確か……全裸の……えと、全裸……あぁ、S級8位の全裸さんですね!」
「ワザとだろお前」
「バレましたか」
出会ったのはゾンビマンであった。
名無しさんは今ヒーローに出会いたくなかったのに、と不服な顔は続けた。
いや、顔だけではない。思わず口にも出してしまった。
その発言にゾンビマンは目を見開く。
「何で会いたくないんだよ」
「ニート仲間がヒーローになるからです。これは重大な裏切り行為……!!」
「アホか」
ゾンビマンはため息を吐いた。
こいつは何を言っているのか。しかも俺は関係ないでは、と。
名無しさんは拳を強く握りしめ震わしていた。
働いたら負け、とは昔からの言い伝えではないか。
そう。サイタマは負けたのだ。そう思うしかない。
「ところでお前こんなところで何やってんだよ」
「お散歩です。暇なんで」
「ニートだからか」
「う、うるせーー! ゾンビマンさんこそ何してるっていうんですか!」
「散歩だよ」
働いている者と働いていない者の散歩の差に名無しさんは頭から石を落とされた気分だった。
名無しさんの散歩は未来の不安で背中が丸まってしまう。
しかしゾンビマンはどうだろう。肩も上がっており、背中もピンの伸びている。
その違いに名無しさんは胸が痛くなった。
嫌な考えはもうやめよう。別のことを考えるのだ。
どうしてゾンビマンがここにいるのか考えた。
もしかしてこの辺に住んでいるのだろうか。
思い切って言ってみる。
「私この辺のことよく分からないので、案内してくれません?」
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