知
お名前は?
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「ところで舞智華はどうして善逸を襲わなかったんだ?」
「え?」
「炭治郎…お前…俺の大事な子になんでもかんでも…。ちょっと聞きすぎじゃないのか?」
「仕方ないだろう。今まで、鬼になってしまった後にこんなにきちんと意思疎通が取れる人と殆ど会ったことがないんだ。今のうちにいろいろ聞いておきたい。何かわかれば、禰󠄀豆子を人間に戻せる可能性が高くなるかもしれない。」
ああ、炭治郎は炭治郎で必死だったのだと思い出した。元はと言えば、炭治郎は禰󠄀豆子ちゃんを人間に戻すべく、鬼殺隊に入隊したんだったな。鬼から情報を得ようとしてもうまくいかなくて、日々苦労していることもあったって言ってたっけな。
そんな炭治郎にとって、禰󠄀豆子ちゃんとは様子が全然違う舞智華ちゃんは本当に貴重な存在なんだと感じた。
「禰󠄀豆子…?どなたですか?」
「俺の妹だ。俺が家を留守にしている間に鬼舞辻に襲われて、鬼になってしまった。」
「…鬼舞辻ですか。」
「あっ!名前を言ったら…!!」
炭治郎が妙に慌て始めた。炭治郎の心拍数も変に上がっているし、不安そうな音がよく聞こえた。炭治郎がどうしてそこまで焦っているのかが分からなくて、声をかけてみた。
「炭治郎、どうしたんだ?大丈夫か…?」
「あ…その…。鬼は鬼舞辻のことを話せないようになっているんだ。鬼舞辻の名前を出しただけでも消されてしまう。」
…は?
炭治郎、今お前なんて言った?鬼が鬼舞辻の名前を言っただけで消されてしまう?はあ?誰に消されるんだよ?っていうか、そんな危険があること知ってんのに、なんでわざわざ鬼舞辻の名前なんて出すんだよ?
「はあ?!お前!俺の大事な舞智華ちゃんになんてことしてくれんだ!!」
「わ…わざとじゃないんだ、善逸…!!ついうっかり…」
「うっかりでことが済めば、この世の中に奉行も警察もいらないんだよ!どうしてくれるんだ、炭治郎!!これで俺と舞智華ちゃんの関係が絶たれたら…!!」
「本当に…!本当に申し訳ない…!!」
炭治郎からの詫びの言葉が聞こえたと同時に、クスリと笑い声が聞こえた。目の前にいる舞智華ちゃんは朽ちている様子もなく、今まで通りの姿でそこ立っていた。そしてにっこり笑いながら、ゆっくりと静かに話した。
「大丈夫ですよ。お二人とも安心してください。私はいなくなりませんから。」
炭治郎からは安心と戸惑いの混ざった音がしていた。
正直なところ、どうして炭治郎が安心したのかも分からないし、何に戸惑っているのかもわからなかった。それに、俺は炭治郎が言った「鬼舞辻の名前を言ったら消される」ことも、舞智華ちゃんが「いなくならない」と言った理由も何も分からなくて、とにかく蚊帳の外に出された感じがして仕方なかった。
「話を元に戻そう。どうして善逸を襲わなかったんだ?」
「それは…。どんなに空腹でも、人間を襲ってはいけない…と自分に言い聞かせていたこともありましたし…。それに…。」
「それに…?」
炭治郎が素朴な疑問を感じた顔で聞き返した。舞智華ちゃんからは「それに」と言うのと同時に恥ずかしがっている音がしてきた。何を急に恥ずかしがったのかは分からなかったけど、俺は静かに話を聞くことにした。
「それに…。善逸さんを初めて見たとき、とても心が暖かくなって、お近づきになりたいと思ってしまったんです。」
「え、舞智華ちゃん…それってひょっとして…。俺に一目惚れしたってこと…?」
「そうなりますね。」
少し肩を上げながら恥ずかしそうに微笑んだ舞智華ちゃんが可愛すぎて、俺は盛大に鼻血を吹き出してしまった。
「善逸、すごい鼻血だ…。早く拭いた方が…」
「いいよ、出てるままで。でも舞智華ちゃん、俺に初めて会ったとき、人を食べなくても生きていけるって言ってなかったっけ…?」
「ええ。血は必要ですが…。」
「そうなのか?」
「はい。善逸さんに血を分けていただくようになるまでは、とあるところで分けていただいていました。でも、食べることは絶対にしないと自分に言い聞かせていたこともあって、食べることはしませんでしたし、せずに済んでいます。」
「そうか…。」
炭治郎はそう言うと、何かを考えていた。
「舞智華に聞きたいことはいろいろあるけど…。今日はこの辺にしておくよ。悪かったな、善逸。大事な人との時間をもらって。」
「…ほんとにな。」
「伊之助、帰ろう。」
「ん?終わったのか?」
「うん、終わった。待っていてくれてありがとう。」
「…眠ぃ。」
「帰って寝よう、伊之助。」
そう言って炭治郎と伊之助は何事も無かったように、蝶屋敷へと帰っていった。炭治郎は嵐のようにきて、怒涛のように舞智華ちゃんに質問して、さらっと帰っていってしまった。でも、その後ろ姿からは、まだ何か聞きたそうな音が漏れ聞こえてきていた。
「え?」
「炭治郎…お前…俺の大事な子になんでもかんでも…。ちょっと聞きすぎじゃないのか?」
「仕方ないだろう。今まで、鬼になってしまった後にこんなにきちんと意思疎通が取れる人と殆ど会ったことがないんだ。今のうちにいろいろ聞いておきたい。何かわかれば、禰󠄀豆子を人間に戻せる可能性が高くなるかもしれない。」
ああ、炭治郎は炭治郎で必死だったのだと思い出した。元はと言えば、炭治郎は禰󠄀豆子ちゃんを人間に戻すべく、鬼殺隊に入隊したんだったな。鬼から情報を得ようとしてもうまくいかなくて、日々苦労していることもあったって言ってたっけな。
そんな炭治郎にとって、禰󠄀豆子ちゃんとは様子が全然違う舞智華ちゃんは本当に貴重な存在なんだと感じた。
「禰󠄀豆子…?どなたですか?」
「俺の妹だ。俺が家を留守にしている間に鬼舞辻に襲われて、鬼になってしまった。」
「…鬼舞辻ですか。」
「あっ!名前を言ったら…!!」
炭治郎が妙に慌て始めた。炭治郎の心拍数も変に上がっているし、不安そうな音がよく聞こえた。炭治郎がどうしてそこまで焦っているのかが分からなくて、声をかけてみた。
「炭治郎、どうしたんだ?大丈夫か…?」
「あ…その…。鬼は鬼舞辻のことを話せないようになっているんだ。鬼舞辻の名前を出しただけでも消されてしまう。」
…は?
炭治郎、今お前なんて言った?鬼が鬼舞辻の名前を言っただけで消されてしまう?はあ?誰に消されるんだよ?っていうか、そんな危険があること知ってんのに、なんでわざわざ鬼舞辻の名前なんて出すんだよ?
「はあ?!お前!俺の大事な舞智華ちゃんになんてことしてくれんだ!!」
「わ…わざとじゃないんだ、善逸…!!ついうっかり…」
「うっかりでことが済めば、この世の中に奉行も警察もいらないんだよ!どうしてくれるんだ、炭治郎!!これで俺と舞智華ちゃんの関係が絶たれたら…!!」
「本当に…!本当に申し訳ない…!!」
炭治郎からの詫びの言葉が聞こえたと同時に、クスリと笑い声が聞こえた。目の前にいる舞智華ちゃんは朽ちている様子もなく、今まで通りの姿でそこ立っていた。そしてにっこり笑いながら、ゆっくりと静かに話した。
「大丈夫ですよ。お二人とも安心してください。私はいなくなりませんから。」
炭治郎からは安心と戸惑いの混ざった音がしていた。
正直なところ、どうして炭治郎が安心したのかも分からないし、何に戸惑っているのかもわからなかった。それに、俺は炭治郎が言った「鬼舞辻の名前を言ったら消される」ことも、舞智華ちゃんが「いなくならない」と言った理由も何も分からなくて、とにかく蚊帳の外に出された感じがして仕方なかった。
「話を元に戻そう。どうして善逸を襲わなかったんだ?」
「それは…。どんなに空腹でも、人間を襲ってはいけない…と自分に言い聞かせていたこともありましたし…。それに…。」
「それに…?」
炭治郎が素朴な疑問を感じた顔で聞き返した。舞智華ちゃんからは「それに」と言うのと同時に恥ずかしがっている音がしてきた。何を急に恥ずかしがったのかは分からなかったけど、俺は静かに話を聞くことにした。
「それに…。善逸さんを初めて見たとき、とても心が暖かくなって、お近づきになりたいと思ってしまったんです。」
「え、舞智華ちゃん…それってひょっとして…。俺に一目惚れしたってこと…?」
「そうなりますね。」
少し肩を上げながら恥ずかしそうに微笑んだ舞智華ちゃんが可愛すぎて、俺は盛大に鼻血を吹き出してしまった。
「善逸、すごい鼻血だ…。早く拭いた方が…」
「いいよ、出てるままで。でも舞智華ちゃん、俺に初めて会ったとき、人を食べなくても生きていけるって言ってなかったっけ…?」
「ええ。血は必要ですが…。」
「そうなのか?」
「はい。善逸さんに血を分けていただくようになるまでは、とあるところで分けていただいていました。でも、食べることは絶対にしないと自分に言い聞かせていたこともあって、食べることはしませんでしたし、せずに済んでいます。」
「そうか…。」
炭治郎はそう言うと、何かを考えていた。
「舞智華に聞きたいことはいろいろあるけど…。今日はこの辺にしておくよ。悪かったな、善逸。大事な人との時間をもらって。」
「…ほんとにな。」
「伊之助、帰ろう。」
「ん?終わったのか?」
「うん、終わった。待っていてくれてありがとう。」
「…眠ぃ。」
「帰って寝よう、伊之助。」
そう言って炭治郎と伊之助は何事も無かったように、蝶屋敷へと帰っていった。炭治郎は嵐のようにきて、怒涛のように舞智華ちゃんに質問して、さらっと帰っていってしまった。でも、その後ろ姿からは、まだ何か聞きたそうな音が漏れ聞こえてきていた。
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