プロローグ
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神「――、――ッ!!ルヴィリアス・ヴィネ・エステレラッ!!」
『――……んっ、んぅ?あ、おとうさま!みんな!』
父親である神の怒鳴り声で目を覚ましたルヴィリアス。先程のことは夢だったと思い、笑顔に戻る少女。
しかし、神や周りの天使達の顔はとても険しいものだった。まるで、自分を疑っているような目で。
『どうしたの?こんなに集まって……』
神「……全員、構えろっ!」
神の怒鳴り声を掛け声に、周りの天使達は一斉に少女に武器を向ける。剣、杖、槍――いろいろな武器の先端が光り、天使達の殺気が少女を取り囲んだ。
少女はなにがなんだか解らず、動揺し戸惑っている。
『っ!?ど……したの?みんな変だよ?』
天1「変なのはアンタだっ!オレの師匠を返せっ!!」
『へ?どういうこと……?』
天2「とぼけるつもり!?私の恋人を殺したくせにっ!」
『……師匠?恋人?おとうさま、なにがおきてるんですか?』
少女が神の方へ目線を向け、助けを求めるが、呆れたような冷たい眼しか返ってこない。
神「まさか、まさかお主が"闇"だったとは……娘がそんな奴だとは思っていなかった。ガッカリだよ、ルヴィリアス」
『"闇"!?違います、おとうさま!私はシリウスとお散歩に出かけただけで……――っ!!』
神「戯言など聞きたくないわっ!この悪魔を人間界に放り投げろっ!!」
『光輪が……っ!ど……して?おとうさま……っ!!』
神は、ルヴィリアスの光輪を消し去った。つまり、この天の国――オールズヘブンの天使としての契約を解除した……縁を切ったという事。
少女は意味も分からずただ単に父を呼び叫び続けるが、誰もが向けてくる殺気満ちた冷たい視線に涙が出そうになる。
そんな少女に気も止めず、近くにいた天使二人が腕を引っ張って歩いていく。人間界と交流する際に通る穴道に、無理やり突き落すつもりなのだろう。
恐怖で真っ白になりかける頭に、再び呪文のように不の言葉が流れ込む。
――どうして?みんな私をそんな目で見るの?
嫌い?キライ?きらい?
私の事、嫌いになったの?
「「「落とせーっ!!落とせーっ!突き落せーっ!!」」」
――ねぇ……。
天3「お前なんか、汚れた人間達と暮らして死んじまえばいいんだっ!!」
――なんで?
天4「危うく騙されるところだったわ。さようなら、元未来女神様っ!!」
――私のこと、嫌い……?
涙が風に沿って流れ、空中に浮かぶ。嫌われた――そんな言葉が何度も頭の中を叩くように響く。
それだけで頭も胸も痛くて、痛くて、少女はただ静かに涙を零し、スゥー……っと雲の上から落ちていった。
あっという間に、さっきまで痛いほど聞こえていた天使達の声が遠くなっていき、ルヴィリアスは地上へ向かって落ちていく。
そんな中、さっきまで悔しそうに黙っていたシリウスが、主の名を叫ぶように呼んできた。
≪ルヴィリアスお嬢様!!≫
――シリウス、あなたも私のこと嫌い?
≪そんな、こと……っ!≫
――みんなは私のこと、嫌いになったんだね。
≪――っ!≫
シリウスは悔しそうな声を漏らす。一番近くにいながらも、主を守りきれなかったことに罪悪感が芽生えてくる。自分が人間だったら、守れていたのだろうか――そんな、今となってはもう遅すぎる考えが現れた。
しかし、それでも怒りを見せず、ただ上へ舞っていく涙を流しながら、ルヴィリアスはたった一言、たった一言だけを口にした。
『……ごめんなさい…………――』
そう言って、彼女はまた目を閉じる。
"ごめんなさい"と、確かに彼女はそう言った。罪を犯したのは彼女ではない。それをもう理解しきっているのだ。あの状況でも、"闇"の男達の会話をしっかりと聞いていたのだから。
それでも、彼女は自分が仲間達を傷つけたのだと言う。そんなお人好しの一面、それは、彼女の素敵過ぎた一面でもあった。
シリウスは悔しそうにも声を振り絞って、ボソリと呟いた。
≪そんなこと、あるはずがありません……どこまでもお供しますよ、お嬢様……例えそれが、地獄の果てでも……≫
そして、それも間もなく、一人の天使と一本のソーディアンは地へ落ちた。
いつものように優しいシリウスは声は、しっかりとルヴィリアスにも届いていた――。