01.幼少期 ~6歳~
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それから暫く経ち、マリアンが紅茶とプリンを乗せたカートを押してこちらへやって来た。休憩を知らせに来たのだろう。
マ「エミリオ、紅茶とプリンを持ってきたわよ。ルヴィリアスも一緒に食べましょう」
エ「ありがとう、マリアン」
『……っ』
いつも通りに微笑むエミリオだが、それを見たルヴィアは少し声を詰まらせる。
エミリオがルヴィアに向ける笑顔は優しくて温かく、他の誰にも見せないようなもの……。きっと、歳が近いから話しやすいといった理由だろう。だが、マリアンに向ける笑顔は少し違う。偽りのない、彼の本当の素顔……まるで、子供が母親に向けるようなものだった。
出会ってからまだ一日しか経っていないが、ルヴィアはエミリオが彼女に好意を抱いているという事を確かに確信できた。それは、この場に自分がいる事で、二人の邪魔になるのではないかという考えが過ったからだ。
ルヴィアが立ち止まり俯いている中で、エミリオは嬉しそうにマリアンと歩いていく。
マ「遠くから見ていたけれど、ルヴィリアスもとっても強いのね。エミリオも流石だったわ」
エ「でも、ルヴィアには負けたよ。――ルヴィア?」
エミリオの問いに我に返ったルヴィアは、少し悲しそうな表情で二人の方へ目線を上げた。
『――ごめん……なさい……私はいい。二人で……ゆっくりしてて……』
マ「ルヴィリアス……もしかして、甘い物は苦手だった?」
『ううん、違う……エミリオとマリアン……楽しそうだから……邪魔したくない……』
マ「あぁ、えっと……ルヴィリアス?エミリオと私は別にそんな関係じゃないの。私がここに雇われたのは、エミリオのお母さんに似ていたからなのよ」
『……エミリオの?』
エ「ああ……母は、僕が生まれてすぐに死んでしまったんだよ」
エミリオの言葉に目を大きく開くと、ルヴィアは申し訳なさそうに再び重い口を精一杯動かす。
『……そっか、ごめん。私たち……似てるね……でも、それでも……私……また……嫌われたくないから……!』
エ「ルヴィアっ!」
≪ルヴィリアスお嬢様!≫
ルヴィアはエミリオとシリウスの声を無視するように、黙って走り去ってしまった。
地面に置きっぱなしにされてしまったシリウスは、主の心情を察したうえでエミリオに声をかける。
≪エミリオ様、お嬢様も同じなんです。お嬢様も、私がお嬢様の亡くなったお母様に似ていたから、お嬢様に仕えることになったのですよ≫
エ「!――じゃあ、ルヴィアが言った"似てる"って……」
シ≪坊ちゃんと同じで、ルヴィアもお母さんを亡くして……そのお母さんの面影があったから……シリウスと契約した……≫
≪……まあ、大体はそうですね。お嬢様が3歳の頃、母親であるアテナ様がお亡くなりになられて……≫
シ≪そうだったんだ……≫
そう、ルヴィアもエミリオと同じだ。だが、シャルティエの言うこととは少し違う。
シリウスが彼女と契約したのは、彼女が生まれてすぐの事だった。3歳の頃に母親を亡くしてから父親の性格が少し厳しくなり、悲しみに満ち溢れていた彼女自身も、それだけでストレスものだった。しかし、それをシリウスが励ます度に、彼女は元気を取り戻していった。ルヴィアは、それからずっとシリウスを母親のように慕うようになったのだ。
一方、そのエミリオとソーディアン二本の会話が聞こえないマリアンは、エミリオの体調が優れないのではととても心配していた。マリアンは、心配そうにエミリオに声をかける。
マ「エミリオ、どうしたの?大丈夫?」
エ「……さがしてくる」
シ≪坊ちゃん?≫
エ「ルヴィアをさがしてくる!」
シ≪あ、は、はい!お気をつけて!≫
マ「行ってらっしゃい、エミリオ」
エミリオはそう叫ぶと、ルヴィアが走っていった方へ駆けて行った。