00.幼少期 ~出会い~
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『――ぅ……――?ここ……は?』
≪お嬢様!≫
エ「!」
エミリオが住む大きな屋敷のとある個室で、彼女は目を覚ました。少女は不思議そうに辺りをキョロキョロと見渡している。そんな彼女の様子に、シリウスはホッと安心した。
エミリオは意外に早い少女の目覚めに驚いてはいたものの、すぐにハッと我に返り、マリアンへ目線を移す。
エ「……マリアン、医者を」
マ「かしこまりました、エミリオ様」
マリアンは快く微笑んで立ち上がり、すぐさま医者を呼びに駆け付けた。
エミリオは自分よりも少し小さな少女に目線を戻し、マリアンが医者を連れてくるまでの間、先程から何故か人形のように動かない彼女を見つめていた。
**********
医「……うむ、顔の筋肉と喉の神経が麻痺しているようですな。かなりのショックによって起きたものでしょう……完全に回復するまでには、長くても15年程はかかるでしょう」
マ「そんな……」
エ「……」
『!――……』
医者からの言葉に、その場にいた一同は言葉を失ってしまう。少女は天の国オールズヘブンで起こったことがトラウマになってしまい、顔は麻痺して上手く動かすことができず、更にも声が出なくなってしまったのだ。
エミリオは心配そうに少女を見つめる。不器用なりにかなり気を使っているつもりでいた。しかし少女がそれに気づくと、睨まれていると勘違いしたのかすぐに目を反らされてしまった。それを見たエミリオは、少し悲しそうに少し唇を噛む。
医「それに、少し特殊な体の持ち主のようです。暑さや寒さに弱かったりするので、温度管理を怠らぬようにして下さい。それと、言葉などの衝撃などに弱いこともありますのでご注意を……あまりストレスを与えては悪影響ですからね」
マ「わかりました、ありがとうございます」
医者はそこまで言うと、すぐに席を立ち部屋から立ち去っていった。
マリアンは一礼してそれを見届けると、少女とエミリオの方へ振り向き微笑んだ。
マ「では、私はお茶の準備でもしてきます。エミリオ様、泣かせてはいけませんよ?」
エ「わ、わかってるよ、マリアン……」
マ「うふふ、はいはい」
マリアンはそう言うと、部屋から出て行った。エミリオはそれを無事見届けると、その辺に転がっている剣の方へ視線を向けた。
エ「――……シャル、説明しろ。一体どういうことだ?」
シ≪い、いや~……その……坊ちゃんと同じですよ≫
エ「僕が分かるように説明しないか」
シ≪あー……えっと……≫
シャルと呼ばれた喋る剣――ソーディアン・シャルティエがたじたじとしていると、シリウスが喋り出した。
≪シャルティエったら、1000年経って少し変わったようですね。私はこっちのシャルも好きですよ、うふふ≫
シ≪シリウス!変な事言わないでよ!――あ、いや……1000年前の腐れ縁っていうか……この剣もソーディアンなんですよ。ソーディアン・シリウスといって……≫
エ「シリウス?そんなソーディアンは聞いたことも……」
『……幻……だから……』
エ「!」
やっと口を開いた少女に大きく目を開くエミリオ。少女はエミリオの方を少し震えながら見つめ、重い唇を精一杯動かす。
『……シリウスは……幻だから……6本のうちには……入らない……』
≪お嬢様、無理をなさらないで下さい!≫
『……大丈夫。――ソーディアン・シャルティエ……シリウスの……こいびとさんだって聞いた……だから……知ってる……』
エ「……シャルの?」
シ≪ま、まぁ……1000年も昔ですけどね……//≫
シャルは少し照れくさそうな声でボソッと呟くと、ゴホンと咳払いをして話を誤魔化した。
シ≪ま、まあ、そんなことはさておき!この女の子もソーディアンである彼女と契約をしたってことですよ!≫
エ「……そうなのか?」
『!――う……うん……そう……だよ……』
シ≪あー!坊ちゃんが女の子を怖がらせた―!≫
エ「そんなこと知るかっ!💢」
エミリオはシャルの発言に怒鳴る。しかし、少女はエミリオが自分を嫌っているのではないかと思っているだけで、怖がっている訳ではない。
それの主な原因は恐らく、先程の"あの出来事"だろう。天からいきなり投げ捨てられ、それ以降彼女は仲間達を傷つけた自分を責めている。だから、また人に嫌われるのが怖くて怖くて仕方がないのだろう。
それを知らないエミリオでも、少女が何かを怖がっていることは理解できた。エミリオは少女の方へ目線を戻し、先程までの湿った話から反らした。
エ「――で、お前名前は?」
『……ルヴィリアス・ヴィネ・エステレラ……好きに……呼んで……あなたは?』
エ「……エミリオ・カトレット」
『……うん……よろしく……エミリオ……』
ルヴィリアスと名乗った幼い少女は、エミリオに向けて精一杯の笑顔を向ける。エミリオから見ると薄ら笑いに見えるが、それでも彼女の温かさと一生懸命さは伝わってきた。
そんな微笑ましい光景を見て、シャルとシリウスが安心したように和んでいると、マリアンがお茶を持って戻ってきた。
マ「エミリオ、お茶の用意ができましたよ。小さなお客様の分もね」
エ「ありがとう、マリアン……ほら、行くぞ。
――ルヴィア」
『……え?ルヴィア?――……ルヴィア……ルヴィア……うん……エミリオ……!』
"ルヴィア"
それは、彼がつけたルヴィリアスのあだ名だろう。エミリオは、ベッドの上でずっと座ったままの少女に手を差し出す。
最初こそ戸惑ってはいたものの、ルヴィリアス基ルヴィアは、嬉しそうにエミリオの手を取ってベッドから降り立ちあがった。