第二章
夢小説設定
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タルタロスの中に連れ込まれたルークとティア――そしてレイは、とある個室でジェイドの話を聞いていた。
ジ「……
ル「へっ、ネチネチ嫌味な奴だなぁ」
アニ「へへっ!嫌味だって♡大佐♡」
ジ「傷つきましたねぇ」
そう言いながらもヘラヘラと笑っているジェイドに対し、レイはジェイドに背を向けながら軽くチラッと睨む。
「……嘘つけよ。ヘラヘラ笑ってるくせに((ボソッ」
ジ「何か言いましたか?レイさん」
にこやかなジェイドの言葉に驚きも焦りもせず、レイは彼の方を見てにっこりと笑った。
「いえ、全然傷ついているようには見えないなぁとは言いましたけど^^」
ジ「ハハッ」
アニ「あわわぁ……レイ様本気で怒っちゃってるよぉ……まっ!そんなところも素敵だけどぉ♡」
そう言ってキャピキャピするアニス。この流れはいつもの事だ。
そんなことはさておき、ジェイドは急に真剣な表情に戻る。
ジ「ま、それはさておき。ティアが
ル「ルーク・フォン・ファブレ。お前らが誘拐に失敗した、ルーク様だよ」
イ・アニ「「!」」
彼の名前を聞いた瞬間、イオンとアニスが目を丸くして驚いた。レイはなんとなく察しがついていたので、そこまでは驚いていないが。
ジ「キムラスカ王国の姻戚関係にある、あのファブレ公爵のご子息……という訳ですか」
アニ「はわわぁ~公爵様のご子息……♡という事は……玉の輿チャンス……♡」
「アニス、考えてることが駄々漏れですよ」
公爵の息子という言葉を聞き、アニスは目をハートにした。もう"結婚"と"お金"の事しか頭にないようだ。
レイはそんなアニスを苦笑いしながら注意すると、ジェイドはふとした疑問を述べてきた。
ジ「何故マルクト帝国へ?それに、誘拐などと……穏やかではありませんね」
テ「誘拐の事はともかく、今回の件は単なる事故だったんです。ファブレ公爵による、マルクトへの敵対行動では決してありません!」
イ「大佐、ティアの言う通りでしょう。彼に敵意は感じません」
ジ「……まあ、確かにそのようですね」
イ「ここは寧ろ、協力をお願いしませんか?」
イオンがそういうと、傍にいた兵士達の手により、二人の手錠が外された。
手錠がカタン…と床に落ちると、ルークはレイ達の方を強く睨んできた。
ル「……散々人を犯罪者扱いしといて、協力しろだぁ?」
ジ「我々は、マルクト帝国ピオニー九世陛下の勅命によって、キムラスカ王国へ向かっています」
テ「まさか、宣戦布告……?」
ル「宣戦布告って、戦争が始まるのか!?」
バンッと目の前にあるテーブルを叩き立つルークに、アニスがチッチッチッと人差し指を立てた。
アニ「逆ですよぅ、ルーク様ぁ♡戦争を止めるために、私達が動いているんです」
ル「戦争を止める……?っていうか、そんなにヤバかったのか?キムラスカとマルクトの関係って……」
テ「知らないのは貴方だけだと思うわ」
ル「お前もイヤミだな」
ルークはティアを軽く睨むが、ティアはそんなことを気にはしなかった。
ジェイドは真剣な表情のまま、これまでの経路を軽くルークに教えることにした。
ジ「恐らくこのままだと、近いうちに大規模な戦争が始まるでしょう。ホド戦争が休戦してから15年……今では局地的な小競り合いも頻発しています」
「そこでピオニー陛下は、平和条約の終結を提案した親書をキムラスカに送ることにしたのです」
イ「僕は中立的な立場から、使者として協力を要請されました」
ル「それが本当なら、どうしてお前は行方不明ってことになってんだ?ヴァン
「――――それは……」
レイはルークの言葉で黙ってしまう。流石に、今ここで自分の正体を話すのは気が引けた。
恐らくキムラスカ王国には、七番目レプリカのイオンが来てからのレイを知らない人たちが多かったのだろう。そこで、"謎の死"という噂話が流れてしまったのだ。"本物"が魔物に殺された――という事は、ヴァンとモースが外部にわざと洩らさなかった為だ。
口籠っているレイに代わり、イオンが口を開いた。
イ「……彼の死の噂は、誰かが流した"嘘"でしょう。僕はレイと共にマルクト軍の力を借りて、モースの軟禁から逃げ出してきたのです」
ル「……モースって、誰だ?」
アニ「モースはですねぇ……イオン様と対立している派閥のトップなんですよぉ」
ジ「ローレライ教団は現在、イオン様を中心とする改革派と、モースを中心とする保守的な大詠師派とで、派閥抗争を繰り広げています」
イ「大詠師モースは、戦争が起きるのを望んでいるんです」
すると、大詠師派のティアが反発した。
テ「……っ!導師イオン!何かの間違いです!モース様は
アニ「ティアさんは大詠師派なんですねぇ……ショックですぅ……」
テ「私は中立よ」
ル「でもそのモースって奴は、なんで戦争なんて起こしたがるんだよ」
イ「それは、ローレライ教団の秘密事項に属します。お話しできません」
ル「チッ……なんだよケチくせぇ」
舌打ちするルークに、レイは少し困ったような表情で微笑んだ。
「孰れお話致します。まあ、教団の実情はともかく……僕達は親書をキムラスカに届けなければなりません」
ジ「しかし、我々は敵国の兵士。いくら和平の使者といっても、すんなり国境を超えるのは難しい。そこで、貴方の力――いえ、地位が必要だという訳です」
ル「おいおいオッサン、その言い方はねぇだろ。それに、人に物を頼む時は頭下げるのが礼儀じゃねぇの?」
ジ「……やれやれ」
ジェイドは溜め息交じりにそう言うと、ルークの目の前でしゃがみ、胸に手を添えた。所謂、騎士の礼儀の基本だ。
その場の一同は、意外過ぎる出来事にキョトンとしていた。
兵「師団長!」
ジ「どうか力をお貸しください。ルーク様」
ル「あんたプライドねぇなぁ」
ジ「生憎と、このような事で腹を立てるような、安っぽいプライドは持ち合わせていないものですから」
ル「チッ……分かったよ。伯父上に取り為せばいいんだな?」
ジ「ありがとうございますぅーでは私は仕事があるので失礼しますが、ルーク様はご自由に」
ル「呼び捨てでいいよ。キモイな」
そう棒読みでいい、その場を去ろうとするジェイドに放ったルークの言葉に、レイは思わずプッと笑ってしまった。
面白くてというより、ジェイドを少し哀れに思ったのだろうか。にやける顔を何とか保とうとしている。
ジ「わかりました。ルーク……様っ♪」
ル「……」
「……っ!アハハハッ」
しかし限界はもうそこまでのようで、イオンに背中を擦られながら、大笑いしてしまったレイなのだった――。