第二章
夢小説設定
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――翌日――
次の日の朝、レイはドタドタという大きな足音で目を覚ました。
アニ「大変ですぅ!アニスの王子様――じゃなかった!レイ様ぁ、目を覚ましてくださぁい!」
「……んぅ……どうしたんです?アニス。こんな朝っぱらから……」
アニ「はわぁ~寝ぼけてるレイ様もかわい――じゃなくってぇ!イオン様がいないんですよぉ!助けてくださぁい!」
「――えっ?イオン様が!?」
アニスの言葉ですっかり目を覚ましたレイは、驚きピョンと飛び起きた。
(――イオン様が今行きそうなのは……恐らく、聖獣チーグルの森!ここからすぐ北だ。病弱なイオン様でもすぐに行ける場所といったら、そこしかない!)
流石、互いに誕生してからずっと一緒にいる幼馴染というところか。
互いが互いにレプリカだという事を知っている仲でもあり、彼にとって、イオンがどこに行ったのかなんて事はお見通しだった。
そうと分かれば、あとは探すだけ――と、レイはアニスの方へ向き直り、彼女の手をギュッと両手で握った。
アニ「はうぁっ!?レイ様ぁ!?//」
「アニス、今すぐジェイドを連れて北の森へ来てください。イオン様は必ずそこにいます」
アニ「あっ!はぁい♪わかりましたぁ♡」
大好きなレイの命令となればと、アニスはご機嫌な様子でジェイドのところへ向かった。
その様子を見届けた後、レイは急ぐように北の森へ向かった。
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******
「――全く、イオン様ったら。人の気も知らないで一体どこに……やっぱり、今回ばかりは僕の早とちりだったのかなぁ……ジェイドとアニスに悪いことしたや……」
北の森をウロウロと歩き、イオンを探しているレイ。
勘違いをしたのかと、村へ戻ろうとした、その時――。
?「――――グルルルル……」
?「導師イオン、下がってください!」
「……なんだろう?魔物の呻き声?
――!イオン様!それに、昨日の……!!」
レイはキョロキョロと辺りを見渡すと、少し離れた場所で、イオンと昨日会ったルークと言う青年と連れの少女が、魔物に襲われているところを目撃した。
レイはその魔物を見て、どこか懐かしい感じがしたが、被験者の記憶がない彼にはそれが何なのか解らなかった。
しかし、彼の役目はイオンを守ること。ライガが暴走し、頭上から瓦礫が降ってきたところへ剣を取り出し、飛び出した。
「……イオン様!危ないっ!!
――白き光よ、
天に突き刺した剣に、天から光のような雷が集う。それを瓦礫に向かって放つと、その光の反動で、ライガ・クイーンは目を眩ました。
その瞬間、チラリと見えたレイの姿を見て、ライガ・クイーンは被験者レイの幻覚を見た。
≪……レイ≫
――そう、ライガ・クイーンは被験者レイを知っていた。
アリエッタに聞き、母親代わりだという彼女を見ようと森へやって来た被験者レイと、偶然仲良くなったのだ。
だが、よく遊びに来ていたレイが亡くなり、アリエッタはライガ・クイーンに悲しみを訴え泣いていた。
それからの事だ。この森で、彼女がレイのような死人を作らないように見守っていたのは。だが、彼女はレイを見て思った。
――もうその必要はない、と……。
≪――――レイ、生きていたんだな。良かった……アリエッタをこれからも宜しく頼むぞ……≫
ミ「ミュ……?」
ライガ・クイーンはそれだけ言い残すと、卵を背に乗せてどこか遠くへ行ってしまった。
もう見えなくなってしまったライガ・クイーンに、その場の一同は不思議そうに首を傾げていた。
それは勿論、レイ自身もだった。イオンが彼の方へ振り向く。
イ「……レイ、助かりました」
「イオン様、ご無事で何よりです。アニスも心配していましたよ」
イ「……すみません」
シュンとした様子で謝るイオンを見て、レイはいつものようにニッコリと微笑んだ。
「いいえ、本当に良かった。ルークさんといいましたよね?えっと……お連れの貴女は?」
テ「私は、
「グランツ……?もしかして、貴女がヴァンの妹ですか?」
テ「兄を……知っているんですか?」
ティアと名乗る少女は、少し驚いた様子でレイを見つめた。
ヴァン・グランツ――知らないはずがない。彼を、そしてヘルを創り出した張本人だ。自分の生みの親であると言っても過言ではない。
しかし、その彼から"自分の正体"を明かすことを禁じられており、そんなことを素直に言える状態ではなかった。
レイは、簡単に自己紹介しようとニッコリ微笑んだ。
「ええ。僕は、
テ「い、いえっ!こちらこそ//
(嘘!あの純白騎士レイ様に会えるだなんて!本当に純白天使のようなお方だわ!カッコいい……っ!//)」
実は、ティアはレイの大ファンで、彼に会えたことをとても喜ばしく感激していた。
頬を少し赤らめるティアに、鈍感なレイは少し顔を近づける。
「ティアさん?顔が赤いようですが、お風邪でも――」
イ「――コホンッ!レイ、天然も程々にしてください」
「?よく解りませんが、すみません……?」
こういう天然気のある所は、やはり同じ人間のレプリカだという事か。
どこかの黒騎士に似ているようだが、そんなことはさておき、イオンはレイを少し強めに睨んだ。イオンはレイの事が大好きだからだ。
勿論、大切な親友として――いや、それ以上だろうか。とにかく、そんな大切な彼が誰かに奪われるようなことは、イオンにとって良いことではなかったのだ。
すると、ルークがボソッと何かを呟いた。
ル「ん?確かレイって……二年くらい前に死んだって聞いたけどな……」
テ「ちょっと、ルーク!そんな事ある訳ないじゃない!だったら、彼は純白騎士レイ様の偽物だって言いたいの?」
「「!!」」
ル「ベ、別にそこまで言ってね―じゃねーか!」
"偽物"
その言葉に、イオンとレイは固まった。
ティアは、あくまでルークへの反論として口走っただけだ。正体がバレている訳ではない。
だが、レイが"本物"の代用品だという事には変わりはないのだ。
代用品にすらならなかった
ルークとティアが喧嘩をしだし、凍ったように冷たくなる空気になってしまったその場に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
ジ「おやおや、痴話喧嘩ですか?」
「「「!!」」」
アニ「えへへ~イオン様ぁ~レイ様ぁ~♡」
――そう、ジェイドとアニスだ。イオンを探しているうちに、ようやくここへ辿り着いたのだ。
アニスは、イオンとレイのところへ駆け寄った。
テ「カーティス大佐!私達はそんな関係ではありません!//」
ジ「冗談ですよ(笑)
それと、私の事はジェイドとお呼びください。ファミリーネームの方は、あまり馴染みがないものですから」
相変わらず茶目っ気のある(?)ジェイドを見て、レイは思わず笑ってしまいそうになったのを必死にこらえた。
すると、イオンが申し訳なさそうにジェイドの方へ歩み寄った。
イ「……ジェイド、すみません。勝手な事をして」
ジ「……力を使いましたね?医者から止められていたでしょう?」
イ「……すみません」
ジ「レイさんもですよ。貴方が目を離さなければ、イオン様はこんなところに来なかったはずです。しかも、民間人を巻き込んだ」
「……ジェイド、今回の件は僕が責任を取ります。イオン様は悪くありません。見逃してやってくれませんか?」
イ「レイ……」
そうやって、いつものようにイオンを庇う。イオンの為なら、処罰だって怖くはなかった。
レイが覚悟を決めた、その時。
ル「おい、謝ってんだろ!いつまでもネチネチ言ってねぇで許してやれよ、オッサン!」
ジ「おや、巻き込まれた事を愚痴るかと思っていたのですが……意外ですね」
テ(本当に以外だわ……)
ルークの言葉に、一同はキョトンとした表情でルークを見た。ティアは相当驚いたらしい。
ル「とにかく、外に出ようぜ」
「そう……ですね。ありがとうございます。ルークさん^^」
ル「……別に//」
笑顔で礼を言うレイに、ルークは少し頬を赤くした。照れているのだろう。
ルークの一言で、彼らは村を目指して帰路を辿っていった。
そんな彼らの後ろでは、ジェイドは何かを企んでいるような表情で、彼らの背中を睨んでいた。
そこで、さっきまで一緒にいたはずのアニスがいなくなっていたことに、誰も気が付かなかった。