このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

眠る

目が覚める。唇から荒い息が漏れ出る。気付かなかったが魘されていたようだった。枕元に置いてある目覚まし時計は夜中二時を指していた。どおりで暗いわけだ。
冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを取り出し、一気飲みをする。シンクにペットボトルを置くとコンッと鳴った。
懐かしい記憶を垣間見た。あれは少なくともトラウマになっている、ということを暗に示しているのだろう。つい瞼を閉じて、皺を寄せた眉間を摘む。
私の世界からまた、二人消えた。人が消える感覚はいつになっても慣れないものである。
このまま太陽が昇れば、身元確認をしなければならない。いやだ行きたくないと、そう本能的に思うも自分から日にちを指定したのだから行かなければならないことは理解していた。
もし両親を目の前にすれば。葬式の日になれば。きっと私はまた、哭くのだろう。
わかっている。哭きたくないから明日を迎えたくないことを。嫌でも受け入れなければならないことを。
哭いてしまえば受け入れてしまう。
私は今でも子どものままだった。

太陽が昇る。ここからは大人のフリをしなければならない。身なりを整えて重い足取りで、部屋を出た。
2/2ページ