桜色の秒針
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暁高校のある暁町では、年に一回のマラソン大会が開催される。
参加は自由なのだが、暁高校の教師全員がその大会に出席することになった。
強制したのは校長である。
「キミ達最近たるんでるから走ってこい」とこんな軽いノリで。
「ふざけるな。貴重な休日を休ませろ」
先に文句を言いだしたのが角都。
他の教師も同意見であった。
「給料下げるから」
この一言に教師達はぐっと唸った。
当日のよく晴れた日曜、それは行われた。
スタート地点は暁高校の校門前だ。
町を一周してゴールすれば終わりである。
ピストルが鳴り、参加者達が走り出す。
最初は体力温存のため、ゆっくりめに走っている。
先頭より少し手前を角都と鬼鮫とサソリが走る。
角都とサソリはやる気なさそうである。
「もっとしっかり走ってください」
真面目な鬼鮫は2人の姿につられて脱力しそうになる。
「トップの商品って、洗濯機だろ? アレよりいいもの持ってるっての」
「せめて賞金にするんだな」
ちなみに、2位は電子レンジ、3位はコーヒーメイカーである。
「はーい、そこー、頑張ってくださいねー」
スピーカーの声に振り向くと、トビが軽トラの助手席の窓からスピーカーを片手に顔を出していた。
角都達のスピードに合わせるように並んでいる。
角都とサソリのやる気ケージがどんどん下がっていく。
それは露骨に表情に表れていた。
「もー、なんなんスか、その顔。せっかく応援に来たってのに…」
「貴様の応援なんか子バエの羽音と変わらん」
「酷っ!! 違いますよー。オレじゃなくて…」
その時、トビの乗っている軽トラの後ろから、べつの軽トラがやってくるのが見えた。
振り返ると、荷台に黒の学生服をきっちりと着た3人組の男が乗っている。
それが角都達の隣に並ぶと同時に声を張り上げた。
「フレー、フレー、かーくーずぅー」
「フレー、フレー、だーんーなぁー」
「ふ…、フレー、フレー、きーさーめー」
同時に声を張り上げたため声がごっちゃまぜになる。
現れた生徒3人に教師3人は唖然となる。
飛段はお構いなしに「声小ェぞー!!」と“I LOVE KAKUZU”とピンクの刺繍で不器用に縫われた旗を振っている。
デイダラとイタチは必死に腕を振っている。
角都達だけでなく、角都達の背後を走っている参加者も注目していた。
「頼もしい応援ですね」
「あの芸術の欠片もねえ旗に意味あんのかよ」
鬼鮫とサソリが話しているとき、飛段が角都に声をかけた。
「角都ゥー、この格好どうよ? 似合…」
「チェンジだ!!」
「!!」
ガーン!!
鬼の形相とともに言われ、飛段はショックのあまりあとずさりし、その場にがっくりと膝と手をついた。
「頑張れ飛段。うんうん」
「大丈夫だ、似合ってるぞ飛段」
左右からデイダラとイタチに励まされる飛段。
角都は逃げるようにそこから走り去っていく。
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