酔い痴れて
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早朝の職員室にて。
「なんだ、ついに食われたのかと思った」
椅子ごと飛段の方へ方向転換したサソリは涼しげな顔で振り返ってそう言った。
その言葉に青筋を立てる飛段。
「てめーのせいかこのヤロー。残念だったな。期待通りじゃなくて」
「おまえが一番残念そうに見えるけどな」
「おい、退学覚悟でブチのめすぞオッサン!」
飛段はサソリの胸倉をつかもうとしたが、サソリはその手を軽く叩いて払いのける。
「怒るなよ。オレじゃねー。校長との賭け事が原因だと思うぜ」
「…そうだ。角都、なに賭けてんだ?」
てっきり、金かと思っていた。
サソリは「ん」と飛段に指をさした。
「おまえ」
「…は?」
サソリはデスクに向き直り、整理していた書類を整えながら話す。
「酔った校長が、調子に乗っておまえを賭けたんだよ。勝ったら、「1日飛段を貸し切り」。なにをしようが文句は言わない」
「ウソだろ…。角都がオレを賭けに…」
悲しい気持ちになったが、すぐにサソリがフォローを入れる。
「そりゃ、角都も最初は断ったぜ。「馬鹿馬鹿しい」ってな。そこで校長の挑発だ。「関係にも目をつぶってやってるんだ。まだおまえ達もCまではいってないんだろう?」」
「Cって今時言わねェよ」
「「卒業したらの約束だからな」。「そんなのは言い訳だ。誰かにとられても文句は言えないぞ。オレに負けるのが怖いか?」。「…オレが勝てば、オレ達の関係に一切口出しするな。それと、こんな馬鹿げた賭けも2度と口にするな」」
巧みな声マネをしながら、サソリは経緯を伝えた。
「それで、ノッたのか?」
「あいつはおまえのためならムチャするし、醜態もさらす。そこで負けたら、おまえに対する思いもその程度だってことだろ?」
「……………」
「ただ、あいつ、昔から飲みすぎると弱気になるところあるからな。今回は不安定な状態でおまえに迎えに来させたのオレが一番悪かった。けど、どうせ、未遂で済んだんだろ?」
「…おまえ、角都の家にカメラとか仕掛けてねーだろな?」
的を射たサソリの言葉に恐怖を覚えた。
サソリは「さぁな」と不気味に笑う。
「それで、今日、角都は二日酔いで休みか」
飛段は頷く。
(あと、罪の意識にさいなまれてんだろうな)
そう思い、サソリは、ベッドの上で「はぁ…」と重いため息をついている角都を思い浮かべた。
「ちなみに、今日はトビも休みだ」
「…? なんでトビが出てくるんだァ?」
「……………」
理由は二日酔いということは伏せておいたが、ここでトビが何者か自分で気付いてほしかった。
「角都、大丈夫かなァ」
あんなことがあっても、やはり飛段は角都が心配だった。
想像している以上の頑丈な関係に、サソリも内心安堵していた。
.To be continued
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