酔い痴れて
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学校から自分の家に帰ってきて早々、飛段はベッドにうつ伏せになり、そのまま眠りにおちた。
それから数時間後、携帯の音で目を覚ました。
カーテンが開けっ放しの窓の色は、夕暮れの色から夜の色へと変わっていた。
「ん…」
携帯の音の出どころは、後ろのポケットからだった。
制服のまま寝てしまったことを思い出し、うつ伏せのまま携帯を取り出して通信ボタンを押し、耳に当てて眠そうな声で応答する。
「もしもしィ?」
「飛段か?」
電話越しの相手はサソリだった。
「ん…、サソリ先生ェ?」
一応、電話番号は知られていた。
だが、電話をかけあったりする仲ではない。
「なんだ、起こしちまったか?」
「んー…、なんか用?」
電話越しはどこかの店なのか、人の声で騒がしかった。
「ちょっとこっち来て、持ち帰ってほしいもんがあんだよ」
「…持ち帰ってほしいもの?」
「ジジイだ」
「ハァ?」と思ったとき、電話越しから「サソリ、誰と話している。次はどこの店に行く?」と呂律の回っていない、聞きなれた低音ボイスが聞こえた。
その瞬間、飛段の眠気は一気に醒める。
「は!? 角都酔ってんの!?」
珍しいことだった。
酒が強いうえに、自分の限界もわかっているはずなのに。
「校長と賭け事して馬鹿飲みした」
鬼鮫はペインとともに潰れた校長の面倒を見、サソリは角都の面倒を任されたらしい。
「あ、コラ、今話し中だ! 角都! 絡むな!」
電話越しで角都がなにをしているのか。
飛段はピクリと片眉を吊り上げた。
「今どこ!?」
慌てて制服で家を飛び出した飛段は、サソリに指定された場所に走って向かい、完全に泥酔した角都を回収した。
「酒臭い」と顔をしかめながらも、飛段は角都に肩を貸しながら、角都の家へと向かった。
「ほら、しっかり歩けよ」
「♪~」
飛段の苦労も知らず、角都は鼻歌で演歌を歌っていた。
やはり、制服で来たのがまずかったのか、学生が明らかに年の離れた酔った男を連れて町中を歩いているので、何人かの通行人に笑われてしまう。
「お父さん、大丈夫?」なんて声をかけてくる女性までいた。
「角都よォ、笑われてんぞォ」
それでも、おかまいなく角都は気持ちよさげに演歌の2番を歌っている。
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