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そして、やってきた文化祭当日。
暁高校は正門前から賑やかだった。
校庭には出店が、体育館では劇が、校舎内では出し物が開かれていた。
3-Aも朝からメイド喫茶が開店していた。
扉を開けると、最初に出迎えてくれるのは3人のメイドだ。
「「「いらっしゃいませ」」」
女子はたまらずに叫び出す。
中には、こっそり抜け出してやってくる別のクラスの女子もいる。
席へ案内する前に写真をお願いされたり、用もないのに呼び出されたりなど、3人は早くもヘトヘトである。
「飛段ちゃーん!」
「デイちゃんこっち向いて!」
「イタチさん、一枚お願いします」
女子に囲まれる3人を見つめるのは、奥の席に座っている角都とサソリと鬼鮫の3人だ。
「大人気ですね」と鬼鮫。
「だろうな、暁高校のアイドル共だ」とサソリ。
「若干男子が混ざっているのも気になるがな」と角都。
(((でもカワイイ…)))
結局そこである。
「では、少々お待ちください」
注文をメモしてから一礼する飛段だが、
「!!」
そんな飛段の後ろ姿を見ていた角都ははっと気付いた。
(下着が…!!)
一礼するたびに、飛段の下着が見えそうなのである。
デイダラとイタチも危うい。
それに気付いたのは角都だけではない。
サソリと鬼鮫も、相方の下着が見えそうなのをすごく気にしている。
3人の視線は明らかに裾を凝視していた。
(あの裾の位置からして、履いているのはトランクスでないのは確か。見えそうで見えないからこそ余計に気になるぜ…!)
(そもそも、うちの飛段は下着なんぞ履いているのか…!?)
(誰ですか、あんな、オタク男子とエロオヤジホイホイみたいな危ない服作ったのは…!!)
3人の視線はすっかり裾に集中していた。
それぞれが一礼をするたびにそわそわと落ち着かない。
カラン、と客がフォークを落とした。
たまたま近くにいたデイダラはそれを拾おうと前屈みになる。
思いっきり裾が引き上げられ、裾を気にしていた他の女子と男子達が一斉に注目した。
バシ!
「痛ったぁ!?」
メニューを尻にぶつけられ、デイダラは声を上げて後ろに振り返った。
そこには澄ました顔のサソリが目に入る。
「なにするんだよ、旦那」
「屈んで拾え」
それから客を睨みつけるサソリ。
女子と男子達はさっと視線を逸らし、顔を青くしてうつむいた。
「う…、うん…?」
困惑するデイダラ。
初めは出されたコーヒーの味がわからなくなるくらいそわそわしていた教師3人だったが、徐々に落ち着きを取り戻してきた。
角度に気を配り、完全に見えそうになればサソリのようにメニューをぶつければいいのだ。
イタチに対し、鬼鮫がそんなことできるのか。
気になるところだが、イタチは初めから裾の丈を気にしているようだ。
一礼の角度もデイダラや飛段より低くはない。
「確か、デイダラ達は午前中までだったな」
「ああ」
「それが終わればやっとこちらも一息つけますよ…」
それでも、もうちょっと相方のメイド服を見ていたい3人だった。
「3人の中で一番様になってるのはデイダラだな。背も低いし、筋肉もあまりついていない…」
サソリがそう言いだしたので、角都と鬼鮫はムッとする。
「いやいや、やはりイタチさんでしょう。髪も長いうえに、スッキリとした体型ですし…」
「色白さでは飛段が上だ」
しばらく沈黙が流れた。そして同時に立ちあがる。
「てめーら、少し話し合おうか」
「いいだろう」
「はっきりさせておきましょうか」
「おーい、喧嘩するなら帰れェー」
止めに入る飛段。
「!」
その時、角都は飛段の後ろの席の下にある客のカバンに気付いた。
なにかが小さく光りで反射している。
角都は立ち上がり、その違う高校の男子が座っている席へと近づき、カバンを奪った。
「あ!」
男子は手を伸ばしたが、角都はすぐに背を向けてかわし、カバンの中を探った。
そこには、ビデオカメラが隠されていた。
「…え…と…、メイド服のクオリティが高くて…」
そんな男子の言い訳が通じるはずもなく、
グシャ!!
角都はビデオカメラを握りつぶした。
「ひいいいい!」
それから男子の胸倉をつかんでその体を浮かせたまま、教室の外へと連れだした。
数分後、戻ってきた角都は飛段に堂々と言う。
「話をつけてきた」
「顔の返り血拭いたほうがいいぜ、角都」
フルボッコにして戻ってきたのだと察した。
他の客は完全にビビっている。
特に、暁高校に遊びに来た客が。
「あの6人のことを知らない奴は哀れだな」
ちょうど小南と一緒に通りかかったペインは教室の様子を見ながら呟いた。
「まるでSPね」
角都達のスーツとサングラスは似合いそうだ。
「隠し撮りは目潰し」と鬼鮫。
「ナンパは半殺し」とサソリ。
「お触りは皆殺しだ」と角都。
「関係ない奴巻き添えかよ!! うん!」
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