危険な看病
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ほのかなレモンの香りがする。
その香りに釣られるようにふと目を覚ますと、懐の温かいものに気付いた。
ベッドに運ばれたあと、角都の体を温めねばと飛段は半裸になって角都の掛け布団に潜りこんできたのだ。
懐中時計は首にかけたままである。
「余計に具合が悪くなる…」
「なんの?」とは聞かないように。
角都は飛段の髪を優しく撫で、起こさないように己の半身を起こした。
顔の向きを変えると、部屋の中にあるデスクの上に赤のマグカップを見つけた。
ほのかに湯気がたっている。
レモンの香りはそこからしたのだ。
ベッド脇で眠る飛段をまたいでベッドから降りてマグカップに近づき、中をのぞく。
「レモネード…」
黄色い液体の中心には輪切りにされたレモンがプカプカと浮かんでいた。
作り方はイタチか鬼鮫に聞いたのだろう。
飛段を一瞥し、マグカップのとってをつかんで一口飲んだ。
「…すっぱいな…」
それでも、優しい味だった。
マグカップの奥にはレモンの種が見えた。
おそらく、角都が早く良くなるようにと気合を入れてレモンを絞ったのだろう。
角都の口元に笑みが浮かぶ。
少し温くなっていたレモネードを飲みほしたあと、ベッドへ戻り、飛段がベッドから落ちないように抱えて眠りについた。
枕の中の氷はすっかり溶けて、ほどよい水枕となっていた。
心地いい眠りに角都は飛段の夢を見た。
未来の夢だ。
大学生になった飛段は角都の家に住み、毎日こうして寄り添って眠るのだ。
熱のせいか、人にも本人にも言えない恥ずかしい夢まで見たのは内緒である。
*****
翌日、角都の風邪は治り、飛段とともに学校へ登校した。
しかし、いつまでたっても生徒がひとりも教室にやってこない。
おとなしく自分の席についていた飛段も、HR開始のチャイムが鳴った時には「あれ?」と首を傾けた。
今日は休日ではないはずだ。
一度職員室に寄っていた角都は原因を伝えに来た。
苦渋に満ちた顔をしている。
「角都、なんでみんなこねーの?」
「……全員、風邪だそうだ」
「ええ!?」
3-Aは飛段を除いて全滅である。
携帯を見ると、イタチとデイダラから「風邪で休む」というメールがきていた。
ちなみに、鬼鮫も脱落らしい。
「なんで全員…」
「誰かが風邪を持ちこんだか…」
そして2人は「あ」と声を揃えた。
((あいつか))
2人の脳裏に、名は違えど同一人物の顔がよぎった。
.To be continued