容疑者飛段
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デイダラとイタチは夕食を済ませたあと、「ありがとうございました」とウエイトレスの声を背中で聞きながら、ファミレスから出てきた。
辺りは徐々に暗くなりつつある。
2人は街中で肩を並ばせながら歩いた。
「飛段の奴、大丈夫かな。うん」
飛段もファミレスに誘おうとしたが、イタチが「あいつは今、夕方・夜は誘わない方がいい」と言ったので、仕方なく2人で行ったのだ。
今日、デイダラとイタチの両親は旅行と仕事でいないからだ。
イタチも塾は休みである。
「あいつはただでさえ目立つからな。容姿もいいし、派手に動くし…」
このまま飛段に何事もなければいいが、と願うイタチ。
しかし、そんなイタチの仲間想いは早くも打ち砕かれた。
「デイダラー! イタチー!」
「!」
「うん?」
遠くの方で名前を呼ばれ、2人は同時に振り返った。
遠くの方から、先に帰ったはずの飛段が腕を交互に振ってこちらに駆けてくる。
「飛段?」
「あいつ、帰ったんじゃ…」
そして、飛段の後ろを見たイタチははっとする。
遅れてデイダラもそれにはっとした。
大勢の警官が飛段の背後を追いかけているからだ。
飛段は引きつれたまま2人に突っ込んでくる。
「助けてくれェェェェ!!」
((なにィィィィ!!?))
助けを求められてもどうすることもできない。
それどころか、飛段の叫びは確実に背後の警官達にも聞こえたはずだ。
警官達は飛段の関係者であるデイダラとイタチをつかまえようとするだろう。
2人は顔を見合わせ、頷いたあと、飛段とともにそこから逃走した。
「このトラブルメーカー!」
「あれほど目立つなと言っただろう!」
「オレが悪いんじゃねえって!」
3人は逃げながら言い合いになる。
「あれ? なんか、あっちも数が増えましたよ」
警官はそんな3人を不思議そうに見ながら追いかけた。
*****
狭い路地を走ったり、塀を越えたりしながら、3人は見事警官達を振り切った。
全力で走った挙句、橋の下へと逃げ込む。
「ゼーッ、ハーッ」
コンクリートの地面に倒れ込んだ3人は精いっぱい呼吸を繰り返す。
汗を吸った服が背中に貼りついて気持ち悪い。
「い…、一体なにがあったんだ…」
落ち着いたイタチが飛段に問うた。
「そ…、ゲホゲホッ、それが…」
飛段は未だに荒く呼吸を繰り返しながら、学校を出たあとからのことを話した。
説明も全力である。
「なんで逃げたんだよ? 逃げた方が疑われるに決まってるだろ。うん」
「完全に疑われてたから逃げたんだ! 遭って速攻警察が来やがったんだぜ! 早すぎだろ!」
元から疑われてたとしか思えない。
捕まれば拘置所行きだ。
「落ち着け」
イタチは憤りを隠せずにいる飛段をなだめた。
「相手は警察だぜ。いくら飛段でも逃げ切れねーよ。うん。……イタチ、おまえの親父さんに…」
デイダラの言いたいことを察したイタチは遮るように即答する。
「ムリだ。オレの友人だろうが、父さんは平等だ」
それが正しい警察だ。
デイダラと飛段は顔を見合わせたまま黙りこむ。
イタチは飛段に顔を向けて言う。
「飛段、おまえに残された選択は2つだけだ。拘置所に行くか、本物の犯人が捕まるまで逃げ続けるか…」
飛段は目を伏せて黙ったあと、顔を上げ、イタチと目を合わせて言う。
「もうひとつだけ、選択肢はある」
「?」
「オレらが、犯人捕まえりゃいいんだ」
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