灼熱の太陽の下
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イタチは落ちたあと、足をくじいてしまい、現在鬼鮫におぶられていた。
「痛みますか?」
「いえ…、だいぶ、マシになってきました」
「それにしても、なぜあんなところにバナナの皮が…」
「不覚でした…」
イタチは地面に落ちていたバナナの皮を踏んでしまったのだ。
バナナの皮で滑るなんて本の中だけかと思っていた。
「…また、先生に助けられました…。あの時も…」
それは1年の時だった。
容姿端麗で成績優秀なうえ、父親は警察庁長官だ。
イタチはそれをひけらかしたことは一度もない。
だが、疎む連中はいた。
イタチに突っかかっては返り討ちの繰り返しだ。
うんざりな日々だったが、それでもイタチは親に言うことはなかった。
ある日イタチは体育館の倉庫の中に閉じ込められてしまった。
誰がいたというわけでもない。
単なる嫌がらせだ。
夏の倉庫は暑く、蒸し風呂状態の場所で長時間、小さい頃から体が丈夫ではないイタチは脱水症状を起こしかけていた。
そこへ駆けつけたのが鬼鮫だ。
当時、イタチの担任だった鬼鮫はいつまで経っても教室に戻ってこないイタチを、授業を自習にしてまで捜しまわっていたのだ。
救出されたイタチはすぐに保健室へと連れて行き、ワケを聞かされた。
真剣に自分と向き合ってくれたその時の鬼鮫に、嘘はつけなかった。
その後、鬼鮫はイタチを閉じ込めた生徒達を、指導室にある意味長時間閉じ込めた。
出てきた生徒達は半泣きだったそうだ。
それからイタチに対する嫌がらせは減った。
飛段とデイダラと組み始めてからは嫌がらせはぱったりと止まったのだ。
「あの時のことは、本当に感謝しています」
イタチは改めて礼を言った。
「…ある意味…、目が離せない人ですからね…」
「え…」
背負われているため顔はのぞきこめなかったが、鬼鮫の耳が微かに赤い。
「その…、心配という意味も含まれていますが……」
イタチは鬼鮫の言いたいことが理解してきたのか、顔が真っ赤になる。
今なら己の気持ちを言える気がして口を開きかけた時だ。
「「!!!」」
茂みから人影がぬっと現れた。
イタチと鬼鮫ははっと振り向く。
「イタチ!! 危ね―――!!」
ゴッ!!
デイダラの叫びが聞こえると同時に反対側の茂みから飛段が飛び出し、突如現れた人影の顔面に飛び蹴りを食らわせた。
「このヤロウ!! さっきはよくもおどかしてくれやがったなァ!!」
飛段は反撃される前に相手の顔をボッコボコに殴る。
コブシに痛みを感じるのは相手が面を被っているからだ。
応戦するようにあとから現れたデイダラも飛段に混じって相手をボコボコに殴り始める。
「鬼鮫」
「無事か?」
サソリと角都も現れた。
イタチは飛段とデイダラが殴り続けるのを黙って傍観していたが、ふとあることに気付いて2人に声をかける。
「待て、一度やめろ2人とも」
「一度やめたらオレ達が殺されるだろバーカァ!」
「なら、やめなくていいから耳を澄ませろ」
飛段とデイダラは殴りながら耳を澄ませる。
「いだいいだいいだいいだいいだいいだいっスよー!!」
その聞き覚えのある声にピタリと2人の動きが止まる。
「「トビィ!?」」
トビはボロ雑巾の状態にあった。
7人は別荘へと戻ってきた。
トビは殴られて歪んだ仮面を外さず、ソファーに座って冷たいお茶を飲みながら話し始める。
「酷いっスよ。せっかく会えたのにボコボコに殴るんスから」
「てめーが紛らわしいことしたからだろが!」
飛段はトビに指をさして唸るように言い返す。
「だって、別荘は鍵開いてなかったし、窓から入ろうとしたところにちょうど飛段さんが来たから声かけようとしたら、そりゃもう見事に気絶しちゃうし」
喧嘩を売られたと感じた飛段は気持ちのままにトビの胸倉をつかんだ。
デイダラは「まあまあ、それはあとでいいから」となだめる。
トビは胸倉をつかまれながら話を続ける。
「車でここら一帯にきたはいいものの、途中でガス欠しちゃって…。仕方ないから歩きで行って気付いたら夕方っスよ。おやつにとバナナを持ってきといてよかったっス」
「あのバナナはおまえだったのか」
イタチは足をくじいた元凶を睨みつけた。
「ていうかトビ。おまえ、高校生のくせに車で来たのか? うん?」
デイダラの言葉にトビははっとする。
「な、なに言ってんスか、デイダラさん。ヒッチハイクに決まってるじゃないっスか」
「それで、なんで逃げた?」
ヘタな言い訳に苛立った角都は話を促した。
「だって、誰か待ってたらすごい剣幕で角都先生が来るんスもん。そりゃ普通逃げるっスよ」
「誰か簀とロープを持ってこい。スマキにして海に放りこんでやる」
サソリは「まあまあ、それは今すぐじゃなくていいだろ」となだめる。
「オレ、皆さんと遊びたかっただけっスよ~」
それを聞いた飛段は優しくトビの肩に手を置き、あるものを渡した。
ビニールテープまみれのビーチボールだ。
「じゃあ、今から角都達とビーチバレーやろうぜ」
「飛段さん」と顔をぱっと明るくさせるトビ。
((確信犯!!))
イタチとデイダラの顔が青くなる。
*****
翌日、恐怖のビーチバレーで夜を明かし、トビの面はさらに歪んでいた。
先に目覚めたのは誰よりも早く寝たデイダラだった。
つられるように飛段も目を覚ます。
あのままダイニングで眠ってしまったようだ。
2人は目の前の光景に思わず照れてしまう。
「…朝からこういうのはカンベンしてほしいよなァ…」
「おまえも人のこと言えないぞ。うん…」
イタチと鬼鮫は手をつないだまま、ソファーに座って肩を寄り添わせながら眠っていた。
ジェイソンもどきを探索している間になにかあったことだけは伝わってきた。
その光景を見て羨ましく思った2人は、それぞれの恋人の傍に近寄り、寄り添うように2度寝を始める。
自分たちのバカンスは最後の最後まで満喫したいのだ。
.To be continued