灼熱の太陽の下
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日も沈み、海をあとにした6人はイタチの別荘へと戻った。
別荘は3階建ての木造だ。
3階の窓からは海が見え、耳を澄ませば波の音が聞こえる。
6人はイタチと鬼鮫の作った海の幸料理を食べ終えたあと、1階の広いダイニングルームの中心にある正方形でガラス製の長くて低いテーブルを囲んで勉強会をしていた。
わからないことは教師が教えてくれる。
3人の教師は、全科目を教えることができる優秀な教師だ。
「角都ゥ、これどう解くんだァ?」
角都は飛段に近づき、指さされた教科書内の一部を見る。
「馬鹿が。これは前に教えただろう」
飛段は「あ~、確かにィ」とわざとらしく言いながら、角都の肩に己の額を擦りつけている。
角都は「暑い」と言うが払おうとはしない。
「旦那、英語でこの単語わかるか? うん?」
「どれだ?」
サソリは自分からデイダラに密着している。
(いいな、2人とも…)
イタチはバカップル2人組を羨ましげに見つめる。
頭脳や運動能力は2人より上なのに、イタチにも2人に勝てない部分があるのだ。
「イタチさんはなにかわからないところはありますか?」
「えと…」
そう聞かれると逆に困る。
イタチにわからない問題はほぼ皆無だ。
予習も復習も完璧である。
「オレ、ちょっとトイレ行ってくるぜェ」
飛段は席を立ち、ダイニングを出ていく。
暗い廊下からトイレへと進む飛段は窓から小雨の音を聞いた。
(雨降ってんのか。さっきまで超いい天気だったのに…)
遠くから雷の音が聞こえる。
ピカッと光るたびに、窓から光が差しこみ、廊下を照らした。
不気味な雰囲気の廊下に飛段はさっさとトイレに行って角都のいるダイニングへ戻ろうと早足になる。
そのとき、再び雷が光った。
「!!」
通路側の廊下に人影が映った気がした。
はっとしてそちらに振り向くが、暗闇しか見えない。
警戒しながらじっとその窓を見つめていると、また雷が光り、
「!!!(汗)」
今度ははっきりと、窓にへばりつく人影を映した。
「ギャアアアアアア!!!」
飛段の恐怖の悲鳴が別荘中に響く。
それはもちろんダイニングにも響いた。
「飛段!?」
何事かと飛び出したのは角都である。
他の4人もそれに続く。
トイレの方向に向かっていると、角都は仰向けに倒れている飛段を発見した。
半身を起こして顔をのぞきこむと、飛段は魂を抜かれたかのように白目を剥いている。
「飛段! 起きろ!」
角都は飛段の頬を打つ。
4・5回打つと、飛段は頬を真っ赤に腫らしたまま、はっと目を覚ました。
そして、窓に指をさして声を上げる。
「ジェ、ジェンソンが…!!」
正しくはジェイソンである。
人影があった窓には、外から手形がつけられていた。
雨合羽を着て懐中電灯を手に、全員は一度外に出て手形がついた窓を見つめた。
角都がそれを指先でなぞると、手形の真ん中に角都の指のあとがつく。
「おい」
サソリが声をかけ、他の5人はサソリの視線を追う。
飛段が言うジェイソンが立っていた地面には足痕が残っていた。
その窪みには雨水が溜まっている。
「本当に誰かいたんだ…」
デイダラの顔が青くなる。
飛段は「な、な、だから言っただろ」と同じく顔を青くしたまま威張るように言った。
「飛段の悪戯じゃないのか」
イタチは言うが、それを否定するのは角都だ。
「こんな手の込んだ悪戯をこの馬鹿が思いつくと思うか」
「酷い庇い方だな、角都よォ」
嘆く飛段を無視し、角都は言いだした。
「おまえ達は別荘に戻ってろ。オレ達はここにいた人物を捜す」
「えー! オレも角都と行くー!」
「ワガママを言うな」
飛段は角都の腰にしがみついたまま離れない。
デイダラはサソリの腕を離さなかった。
「旦那達が危ないだろ。うん」
「てめーらとは出来が違う。心配ない」
「少しよろしいですか?」
鬼鮫は小さく手を挙げて全員を注目させ、角都とサソリだけ呼び出した。
飛段達はその背中をじっと見つめる。
鬼鮫はそれを確認しつつ、声を潜めて2人に言った。
「私達が不審者を捜している間、その不審者が別荘に入り込んでイタチさん達を襲うかもしれません。ミステリー小説でよくある展開でしょう。残された者が襲われるのは…」
それを聞いた2人ははっとする。
「鬼鮫先生―――!!」
チェンソーを振り上げたジェイソンに悲鳴を上げるイタチ。
「助けて旦那―――!!」
ジェイソンに芸術的に拘束されるデイダラ。
「角都ゥ―――!!」
服を剥ぎ取られる飛段。
ジェイソンに襲われることを想像した教師3人はばっと飛段達に勢いよく振り返った。
突然のことに飛段達は思わずビクリとする。
「「行くぞ」」
迫力のある3人に一瞬ジェイソン以上の恐怖を感じる3人であった。
*****
角都と飛段、デイダラとサソリ、鬼鮫とイタチ、というペアに分かれてジェイソンの探索にあたった。雨はまだ降り続いている。
それどころか勢いが増してきた。
鬼鮫とイタチは肩を並ばせ、茂みを掻きわけながら進む。
「ここらへんは急な下り坂があるので気をつけた方がいいですよ」
イタチは足下を懐中電灯で照らしながら注意した。
鬼鮫はふっと笑う。
「…相変わらずのしっかり屋さんですね、イタチさんは」
「!」
「あの時も…」
イタチの脳裏にも“あの時”のことが再生されようとした。
そのとき、
「!!」
イタチはなにかを踏み、横の下り坂を滑り落ちてしまった。
「イタチさん!!」
鬼鮫はすぐにイタチの救出に向かう。
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