骨まで融かして
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暁高校の近くにある、暁病院。
「骨折です」
医師は飛段のレントゲンの写真を角都達に見せながらはっきりと宣告した。
レントゲンに映っている骨は、右腕、左脚など、ところどころが折れている。
飛段は病室のベッドで半身を起こしたまま、ブスッとした顔をしている。
顔から下は包帯でぐるぐる巻きにされていた。
鬱陶しそうに身を捩るが、体を少しでも動かすと痛みが走り、苦痛に顔を若干歪ませる。
病室にいる角都とデイダラとイタチは呆れた表情を浮かべていた。
医師が「ここで安静にしていてください」と言ったあと、病室を出る。
扉が閉められたと同時に、角都達の視線が飛段へと見下ろされた。
「あの高さから落ちて、よく骨折で済んだな」とイタチ。
「不死身か、おまえ。うん」とデイダラ。
「授業をサボるからそんな目に遭うのだ」と角都。
冷たい角都に飛段は布団を頭からかぶってすすり泣く。
*****
飛段が落下したのは、こういうことがあったからだ↓
デイダラとキャッチボールしていた飛段。
デイダラが投げたボールを、左手にグローブをつけた飛段が追いかける。
「オーライオーライ」
「お、おい!」
デイダラが投げたボールは高すぎた。
柵を越えそうになったとき、飛段は腰までの高さの柵を越え、身を乗り出してボールをキャッチする。
同時に、右手を後ろに伸ばして柵につかまった。
「あ…、危ねーな。うん」
デイダラは冷や汗を拭った。
飛段はケラケラと笑う。
「オレ、野球の才能あるか…」
ベキ…ッ
「もォ…?」
雨風にさらされていた屋上の柵は、すっかり錆びていたのである。
*****
デイダラからその話を聞いた角都はため息をついた。
「馬鹿だ。不治の病に等しい」
「酷っ!!」
骨折よりも酷い、心のダメージを受ける。
「とにかく、入院している間は大人しくしていろ。着替えはオレが持ってきてやる。鍵はどこだ?」
デイダラとイタチに先を越される前に、角都は飛段の通学用カバンを探り、飛段の家の鍵を勝手に取り出した。
鍵には、丸の中に三角が入った銀色のキーホルダーがつけれられている。
それを見た飛段は酷く慌てる。
「えっ!? オレの家行くのか!? イテテッ!」
思わず身を乗り出してしまったため、痛みが走った。
角都の家に行ったことはあるが、自分に家に入れたことはない。
飛段の反応見た角都は、なにか自分に見せたくないものがあるのだと察した。
「ああ。おまえは、大人しく、ここで、安静に、していろ」
強調するように言いながら、角都は飛段の頭を撫でる。
飛段は、角都が心なしかうきうきしているように見えた。
「行くぞ」
「はい」
「じゃあ、また来るな。うん」
角都に声をかけられ、デイダラとイタチは角都についていく。
「ま、待てよ! もっとゆっくりしてってくれよォ! 帰るなよォ!」
角都を引き留めることに必死な飛段だが、病室の扉は角都と飛段を遮断した。
扉の向こうで、角都は飛段の家の鍵をクルクルと人差指でまわしていた。
((角都先生、楽しそうだな…))
その背中を見つめながら思う、デイダラとイタチ。
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