過去の君に会いに
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目覚めると保健室の天井が目に映り、次にのぞきこむ角都の顔が映った。
「気が付いたか?」
「ん…」
半身を起こし、自分が保健室のベッドに寝かされていることがわかった。
ベッドの脇に腰掛けている角都を見て、制服姿であることを確認する。
(過去には戻ってねえのか)
気絶する直前、目が覚めれば元の時代に戻るのではないかと思ったのだ。
しかし、飛段はまだ過去にいる。
過去に戻るためにはどうすればいいのかと思考をめぐらせたとき、角都は口を開いた。
「巻き込んでしまったな」
「…ううん」
飛段は首を小さく横に振った。
「傷はどうだ?」
額を触ると、ガーゼで手当てされていた。
触るとチクリと痛みが走ったが、大したことではない。
「大丈夫だってェ。オレこう見えて頑丈だし。もう気にすんなって角都」
「大丈夫大丈夫」と笑みを向けられた角都は、飛段の右頬に触れ、顔を近づけた。
口付けされると感じ取った飛段はすぐに右手で角都の口を塞いだ。
「ま、待った待った! オレ、べつにキスしてもらいたくて庇ったわけじゃ…」
真っ赤な顔で首を横に振る飛段に、角都は口を塞ぐ右手をそっと外し、笑みを浮かべて言う。
「知っている。そんな理由で、あんなマネができるわけがない」
その笑みは、飛段が普段の角都に向けられる笑みと重なった。
「けど…、角都はオレのこと…」
「嫌いな奴にするわけがないだろう? それに…」
角都は、弁当を食べている飛段の笑顔を思い出した。
己を可愛くみせようと笑う女子より、心から嬉しそうな笑顔を見せる飛段をカワイく思ったのだ。
そう言うのは気恥ずかしく、角都は言葉を切って飛段の唇に己の唇を押しつけた。
「…!」
唇を離した角都の顔を見て、飛段は小さく笑った。
「角都、顔真っ赤」
「うるさい。こういうキスは初めてなんだ」
「男同士のキス?」
「…そういうのではない」
飛段はデイダラの言葉を思い出した。
「愛のあるキス」と。
「ゲハハッ。じゃあオレが角都の…」
「初めてかァ」と嬉しそうに続けたとき、懐中時計の針は猛スピードで右に回り始めた。
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