桜色の秒針
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
本格的な冬の風が町に吹いてきた時期のことだった。
薄暗い部屋で、どんよりとした空気を纏わせ、パイプ椅子に座った少女Aは俯きながら静かに語る。
「私…、この間、手編みのマフラーを作ったんです。デイダラ先輩にあげようとして…」
少女Aの声は震えていた。
「そしたら…」
少女Aは、学校の玄関を出たデイダラにマフラーを渡そうと小走りになる。
「デイダラ先ぱ…、ぶ!?」
声をかけようとしたとき、突然体当たりされるように誰かの肩が接触し、吹っ飛ばされた。
デイダラがそちらに振り返った時には目前にサソリの顔があった。
「だ、旦那?」
「今日から本格的に寒くなるっつーのに、なんだ、その格好は」
サソリは持っていた包みをデイダラに手渡した。
「うん?」
デイダラは首を傾げ、「開けていいのか?」と聞いてから包みを開けた。
「! スゲー! コレ旦那が編んだのか!? うん!?」
その包みには赤いマフラーが入っていた。
マフラーの端には、刺繍でサソリのマークが縫われている。
「…けどコレ、長くないか? うん?」
「ロングマフラーってやつだ。嫌ならべつに巻かなくたっていいんだぜ。どうせ、気紛れで作ったもんだ」
サソリはそのまま正門へ向かって帰ろうとする。
「あ、旦那…」
デイダラは背後からサソリの首にマフラーを巻いた。
サソリは怪訝そうに振り返る。
「これならちょうどいいぞ。うん♪」
デイダラはそう言いながら、余った部分を自分の首に巻いた。
それから「一緒に帰ろう」と言いだす。
サソリはフンと鼻で笑い、デイダラと一緒に歩きだした。
正門をくぐったところで、サソリは振り返り、倒れたままこちらを見ていた少女Aに向かってハンと嘲笑の笑みを浮かべた。
当然、デイダラには見えないように。
少女Aの心はズタボロになってしまった。
「あの策略家―――!!!」
ヒステリーを起こす少女A。
顔を上げた彼女の額には、下駄箱でぶつけて出来たコブがあった。
「私なんか…!!」
そう言いだしたのは、次の被害者少女Bだ。
.