桜色の秒針
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
中間地点まで来たとき、角都はひとりで走っていた。
鬼鮫は先に進み、サソリは遅れて走っているのだ。
先程の応援団を思い出し、ため息をつく角都。
それからせっかく自分のために来てくれたのに、と小さな罪悪感を覚える。
考えているとき、またもあの軽トラがやってきた。
「さすが体育教師っス。鬼鮫先生はもう先頭に来てますよー。急がないと1位とられちゃいますよー」
ハエ叩きがあれば迷わずに顔面をしばいているところだ。
角都は無視を決めた。
構わずトビは声をかける。
「そんなあからさまにやる気のない角都先生にビッグプレゼントのお知らせっス。賞品追加っスよ」
その情報は聞き逃せない。
角都はトビに顔を向けて返す。
「なんだ、家電製品なら間に合ってるぞ」
トビは怪しく笑いながら、ふところからなにか取り出した。
黒い布のようなものだ。
角都はそれに金が包んであるのかと思った。
「し・た・ぎ」
すぐに手ごろな大きめな石を拾い、豪快に振りかぶる。
反応が早かったトビは「全力で逃げてください」と運転手の肩を叩いて急かし、スピードをあげて走り去った。
それでも角都は容赦なく石を投げる。
ガシャーン!
軽トラの後部の窓が割れた音がした。
そのまま奴の後頭部に直撃すればいいのに、と舌を打つ角都。
それから遅れて別の軽トラが後ろから走ってきた。
飛段とイタチが乗っている。
なぜデイダラが乗っていないかの疑問より先に、先程の衣装が変わっていることに驚いた。
2人はミニスカで、両手には黄色のポンポンがある。
「コスチューム“チェンジ”してきたぜェ。KA・KU・ZU♪」
さすが角都の恋人である。
滅多なことではめげない。
チアガールとなって角都のところに戻ってきた。
角都はこちらが妙な注文をしたように思えて気分が滅入っていた。
目の保養を覚えながら。
「デイダラは?」
「サソリ先生を応援しながら走ってくるそうです」
イタチは真面目に答えた。
(走ってくるのか…)
応援されながら走るサソリを想像してみた。
己なら耐えられない。
このままでは飛段も「オレも角都と一緒に走るゥ」と言い出しかねない。
先程と同じく逃げるように走ろうかとしたとき、少し強めの風が吹いた。
「おわっ」
「「!!?」」
角都とイタチは驚愕した。
飛段のミニスカの下はノーパンだったのだ。
角都は口からごぱっと嘔吐物以外のものを吐きだしそうになった。
そしてすぐにトビの持っていたアレを思い出す。
「わ!? なんだァ!?」
すぐに軽トラに駆け寄り、飛段を肩に担ぎ(下が見えないようにミニスカを手で押さえつける)、トビの軽トラを全力で追いかけた。
ぎゅんぎゅんと参加者を追いぬかし、鬼鮫に追いつく。
「角都さん!?」
「あの若づくり趣味の阿呆はどこだ!!?」
*****
それから角都はトビの車を発見し、コースアウトしてでも逃走中の車を追いかけて捕まえ、中の運転手とトビをタコ殴りにしたあと、無事飛段の下着を取り返した。
しかし、
「あー、これデイダラのだ」
「は?」
「オレ普段下着はかねーから、「その服着るなら履いとけ」って無理矢理渡された。ま、結局更衣室に忘れちまったんだけd」
ボゴッ!!
大会順位は、1位鬼鮫、2位サソリ、3位デイダラという結果に終わった。
翌日、角都は全身筋肉痛、トビは全身打撲で学校を休むハメとなった。
.