最終話 あなたとあたしと
あたし、君嶋澪音 。十五歳の高校一年生。
中学生の頃は彼氏のひとりやふたりできると思っていたけれど、別にそんなことはなかった。まあでも、中学生にとっての恋人って、ゲームにおけるトロフィーのようなものだから、今のあたしはそんなに気にしていない。
さて、今あたしは本屋に来ていた。SNSで話題になっていた本を買いに来たのだ。なんでも、作者はあたしと同い年らしい。それって、すごいことだと思う。何かを成し遂げられるってすごいことだと思うから。……あたしも、そういう人になれたらいいなって、思うのだけれど。
特集コーナーを探して──ああ、あった。
タイトルは『ゆーえんみー』
中学生の少年少女の恋模様を描いたファンタジー小説、らしい。シンプルだけど可愛らしい表紙に、思わず顔がほころぶ。──いや、それだけじゃない。どこかが、本当に、嬉しいのだ。この本を手に取っていると嬉しくなる。けれど、何なのか思い出せない。ぽっかりと穴が空いたみたいな気分だ。その穴は存外大きな気がして、同時にあたしはほんの少しさみしくなる。
「……あの」
後ろから話しかけられた。振り向くと……うわ、かっこいい。きらきらときらめく銀色の髪に、透明な淡い青色の瞳の、制服姿の男の子。……って、ああ、ああ……!
あたしは全てを、思い出す。
「……ユウ?」
「……! ミー!」
彼は、ユウは、ここが本屋であるにもかかわらずあたしを抱きしめた。強く強く。それがなんだか可愛らしくて、でもやっぱり恥ずかしくて、あたしはユウの背中を軽く叩く。
「ユウ、ユウ。くるし」
「あ、ご、ごめん」
「……ね? 運命力、あったでしょ? あたし、毎年の夏を大切にしてたんだ。物語を書くのは難しいからさ」
「僕は……なんか、プロデビューしてた」
「あはは! すごいって! ねえ、ユウ。このあと暇? 一緒に、図書館にでも行かない?」
「うん、行こう。そのあとは喫茶店でクリームソーダでも」
「良いじゃん!」
あたしたちはきゅっと手を繋いだ。もう二度と、世界は終わらないしあたしたちは離れない。ああ、この本もしっかり買っておかないと。あたしがユウの本をレジに持って行くのを見て、ユウは恥ずかしそうに目をそらした。
やっぱりユウって、あたしが思ってるより可愛いひとなのかも。あたし、まだまだユウのこと、何も知らない。
だから、これから知っていく。あなたのことを、あたしは。
そういう運命も、良いじゃない?
中学生の頃は彼氏のひとりやふたりできると思っていたけれど、別にそんなことはなかった。まあでも、中学生にとっての恋人って、ゲームにおけるトロフィーのようなものだから、今のあたしはそんなに気にしていない。
さて、今あたしは本屋に来ていた。SNSで話題になっていた本を買いに来たのだ。なんでも、作者はあたしと同い年らしい。それって、すごいことだと思う。何かを成し遂げられるってすごいことだと思うから。……あたしも、そういう人になれたらいいなって、思うのだけれど。
特集コーナーを探して──ああ、あった。
タイトルは『ゆーえんみー』
中学生の少年少女の恋模様を描いたファンタジー小説、らしい。シンプルだけど可愛らしい表紙に、思わず顔がほころぶ。──いや、それだけじゃない。どこかが、本当に、嬉しいのだ。この本を手に取っていると嬉しくなる。けれど、何なのか思い出せない。ぽっかりと穴が空いたみたいな気分だ。その穴は存外大きな気がして、同時にあたしはほんの少しさみしくなる。
「……あの」
後ろから話しかけられた。振り向くと……うわ、かっこいい。きらきらときらめく銀色の髪に、透明な淡い青色の瞳の、制服姿の男の子。……って、ああ、ああ……!
あたしは全てを、思い出す。
「……ユウ?」
「……! ミー!」
彼は、ユウは、ここが本屋であるにもかかわらずあたしを抱きしめた。強く強く。それがなんだか可愛らしくて、でもやっぱり恥ずかしくて、あたしはユウの背中を軽く叩く。
「ユウ、ユウ。くるし」
「あ、ご、ごめん」
「……ね? 運命力、あったでしょ? あたし、毎年の夏を大切にしてたんだ。物語を書くのは難しいからさ」
「僕は……なんか、プロデビューしてた」
「あはは! すごいって! ねえ、ユウ。このあと暇? 一緒に、図書館にでも行かない?」
「うん、行こう。そのあとは喫茶店でクリームソーダでも」
「良いじゃん!」
あたしたちはきゅっと手を繋いだ。もう二度と、世界は終わらないしあたしたちは離れない。ああ、この本もしっかり買っておかないと。あたしがユウの本をレジに持って行くのを見て、ユウは恥ずかしそうに目をそらした。
やっぱりユウって、あたしが思ってるより可愛いひとなのかも。あたし、まだまだユウのこと、何も知らない。
だから、これから知っていく。あなたのことを、あたしは。
そういう運命も、良いじゃない?
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