冬の頁
石造りの地下室はけしてあたたかいわけではなかったが、ベッドに腰掛けて寄り添い合うふたりの心はあたたかった。
とくんとくん、と、お互いの心臓の鳴る音が聞こえてくる……気がする。
頬がほわほわと熱を帯びている……気がする。
とにかく、秋に愛を誓い合ったふたりは、正直浮かれていた。嬉しくてたまらなかったのだ。ふたりとも、自分のことを孤独──ひとりぼっちだと想っていた。けれど、それは違ったのだ。お互いがいる。だから、けして独りではない。
──時の歯車を止めてしまって、永遠にふたりでいられたら。
こう、考えなかったこともなかった。呪いで不老不死のルカと、病で余命わずかなミーティア。ふたりの間には寿命という名の壁があった。ミーティアは必ず、ルカを置いて逝ってしまう。
けれど、ふたりはもう、さみしくはなかった。ミーティアは、死んでもルカの心に存在し続けると誓い、ルカはミーティアを絶対に忘れないと誓ったのだ。これで──ふたりは離れない。
「ミーティア。……体は痛くないか」
「大丈夫よ。……やっぱりうそ、少しだけ苦しい」
「そう、か……」
「でも、昨日よりずっと良いのよ。だから、あなたに会いに行けた」
「それは嬉しいけど……でも、絶対に無理はするなよ」
「ふふ、はあい」
本当にわかっているんだか……。とため息を吐くルカの肩にミーティアは頭を預けた。
「ああそうだ。ルカ、今日はあなたと食べたいものを持ってきたの」
「食べたいもの?」
「そう、ケーキよ。わたし、冬生まれだから……誕生日の数週間前にはこれを作るの。焼きたてはさくっとしているのだけれどね、だんだんしっとりとしてきて……と、とにかく食べてみて? とってもおいしいのよ」
「冬生まれなんて初めて聞いたんだけど」
「今言ったもの!」
「早く言ってくれ!」
「えへへ、ごめんなさい」
ミーティアがいたずらっぽく笑いながらバスケットから布に包まれたそれを取り出し、広げる。そこに置かれていたのは粉砂糖がまぶされた半円状の数切れの菓子であった。断面にはドライフルーツやナッツが練り込まれている。どことなくほんのりとスパイスやバターの香りがし、何よりも鼻をくすぐるのは酒の芳醇な香りだ。大人っぽさを感じるそれに、ルカは目を見開いた。
「見たことないケーキだ」
「うふふ。ちょっとずつ切って食べるのよ、だからわたしたちが食べられるのもこれだけ。食べましょう?」
「うん。ありがとうミーティア、いただきます」
ふたりはケーキを手に取る。そして口に入れると──バターの香りのやわらかいこと! しっとりとした生地は見た目よりも重たく、ゆっくりと噛めば噛むほど、生地の甘さがじんわりと広がっていく。
やがて、酒に漬けられたレーズンやオレンジピールが顔を出した。果実の甘さの奥に、少しだけ見える大人びた苦み。そして砕いたくるみやアーモンドが小気味よい音を立てて、食感に小さな彩りを添えた。
表面を覆う粉砂糖は、雪のように静かに溶けていく。けれど、甘いだけでは終わらない。さまざまなスパイスの香りが、冬の冷たい空気に灯る暖炉の火のようなぬくもりを、喉の奥に残していく。
不思議な菓子だ……そう、ルカは思った。ひとくち食べるごとに、長い冬の日々──そう、ミーティアの誕生日を待つ日々まで、このケーキのなかに一緒に閉じ込められているような気がした。甘さだけではない。少しだけ背伸びをしたような香りと、ゆっくりと熟した時間そのものを味わっているようだった。
「どう? お口にあったかしら」
「……美味しい」
「ああ、よかった!」
「ミーティア……。僕はいつも、お前からもらってばかりだ。愛も菓子も……僕は何も返せていない。不公平だ」
「そんなことを気にしているの? そんなことないのに」
「気にするだろう」
そう? と首をかしげるミーティアに、そうだ。とルカは頷いた。そんなルカを見て、ミーティアはうーんと声を小さく上げて考える。そしてそっと、彼の胸に自身の頭をうずめた。
「わ、ミーティア……?」
「うふふ。ならくっつかせて? わたしのこと、ぎゅうって抱きしめて? ルカ……」
「……うん」
ルカはそっと、ミーティアの背に手を回す。あの日、あの秋のような必死なものではなかったが、それでもその腕は力強く、けして彼女を離すことはないものであった。
「……わたし、冬が好きなのかもしれないわ。寒いとルカがこうしてくれるもの」
「べつに、ミーティアが望むならいつだって抱きしめるのに」
「ほんとう? ふふっ、じゃあお願い。しばらくこうしていて」
「もちろん」
静かな時間だった。ルカはミーティアの月色の金髪を撫で、愛しげに頬を寄せた。淡い月色の髪は、すっかりルカの好きな色になっていた。たとえ彼女に会えない日が続いても、空を見上げれば彼女の色をした大きな星が浮かんでいる。そのことが、ルカの心を安らぎで満たした。
ミーティアはルカの胸に手を当て、耳を寄せる。彼の心臓の音が──きっと、何百年、あるいは何千年も打ち続けた鼓動が聞こえる。静かに、けれど確かに。きっと自分は彼より先に死んでしまう。けれど、彼のこの胸の中で、自分は生き続けるのだ。
「……ルカ。わたしね、あなたとしたいことがあるの」
「したいこと?」
「そう。きっとお互いできなかったこと」
「できなかったこと……」
ルカが首をかしげる。ミーティアは体をルカから離し、そして両手で彼の両手を包んで立ち上がった。
「ダンス、踊ってみない?」
「え……」
「ほら、やったことないでしょう?」
「たしかに、したことはないけど……でも、こういうのってどちらかがリードするものだろ? 男女なら男が。僕、ミーティアを上手くリードできる自信なんて無い」
お互い、ベッドの上で夢見ていたことであった。リズムを、ふたりで刻むこいびとたちの特別なやり取り。けれどここには音楽をかける楽団もいなければ、踊り方を教えてくれる者もいないのだ。
「わたし、歌うから……ルカは好きにわたしとくるくるしてくれたら良いの」
「強引だな……」
「ふふっ、知ってるでしょう? わたしが強引なのは」
「……知ってる。歌ってくれるのか? どんな歌を?」
「ええ、古い歌なのだけれど……わたしたちにぴったりだと思ったの。さあ立って? 踊りましょう?」
ルカはゆっくりとうなずいた。立ち上がったルカはそっとミーティアの腰に手を添え、ミーティアは歌を口ずさむ。そしてくるくるとゆったりとしたリズムでステップを踏むのだ。
はるのはな。
なつのほし。
あきのきぎ。
ふゆのゆき。
すべてがわたしのたからもの。
どうかすべてをわすれないで。
か細い声で紡がれるそれは、愛を歌ったわらべ唄だった。ふたりは見つめ合う。
その三拍子のリズムを、ゆっくりと、ステップ、ステップ。そして、ターン。くるり。見つめ合って、微笑み合って──けれど、
「あ……」
「……! ミーティア」
よろり、とミーティアはルカの腕の中へ身を預けた。受け止めたルカは、彼女の顔色を見てはっとする。ミーティアのただでさえ白い顔は、もはや蒼白と言っても良いほど悪くなっていた。ルカはミーティアを抱き留めたまま座り込み、彼女の額を撫でる。熱は出ていなかった、けれど、ぞっとするほど冷たかった。
「もう帰るんだ、ミーティア。送っていくから……」
「……わたし、今とってもうれしいのよ。わたしの王子さま」
「嬉しい? 苦しいじゃなくて?」
「苦しい、もあるけれど……でも、好きなひととダンスを踊るの、夢だったの……」
「……。……」
ルカは黙ってミーティアを抱え、立ち上がる。まさしく物語の王子が姫君にするようなそれをしたルカは、彼女の冷たい額に口づけを落とした。
「ミーティアの歌、きれいだった」
「……うれしい……」
「だから、次は僕の願いも聞いてくれ。これからベッドの中に入って、砂糖が入ったあたたかいミルクを飲んで、眠りにつくんだ。……約束、してくれる?」
じっと、金色の瞳で少年は少女を見つめた。少女は淡い青色の瞳で、彼を見つめ返す。そして、こくりとうなずいた。
「約束するわ。わたし、あなたの夢を見ると思う」
「……僕も。夢でまた会おう、ね」
「ふふっ、ええ」
獣であるルカはとても力持ちであった。彼は片腕でミーティアを抱え、空いた手ではしごを掴み、外へと向かった。
外は未だちらほらと雪が降っており、先ほどよりも地面が白く染まっていた。
「つかまっていて」
「ええ」
外套のフードを頭に被りそのしろがね色のツノを隠し、再び彼は彼女を姫君のように優しく抱く。歩き出すルカの体温を感じながら、ミーティアは気づけばうとうとと眠りについていた。
やがて彼女の屋敷にたどり着いたルカは、あの夏の日のように扉をノックする。出てきた使用人は目を見開いた。
「あなた……本当に妖精なのですか?」
「……」
「あ! ちょっと! お茶のひとつでも飲んでいかれたらいいのに……」
使用人にミーティアを託して走り去っていく彼の後ろ姿を見て、彼女はため息を吐いた。お嬢様の大切な友人、そんな存在を……もっと知りたい気持ちこそ彼女にはあったが、ミーティアも内緒にして話さないのだ。けれど、こうしてお嬢様を運んでくれる彼(彼、のように使用人は感じた)を見ていると、とても優しい存在のように感じて、彼女は安心するのであった。
とくんとくん、と、お互いの心臓の鳴る音が聞こえてくる……気がする。
頬がほわほわと熱を帯びている……気がする。
とにかく、秋に愛を誓い合ったふたりは、正直浮かれていた。嬉しくてたまらなかったのだ。ふたりとも、自分のことを孤独──ひとりぼっちだと想っていた。けれど、それは違ったのだ。お互いがいる。だから、けして独りではない。
──時の歯車を止めてしまって、永遠にふたりでいられたら。
こう、考えなかったこともなかった。呪いで不老不死のルカと、病で余命わずかなミーティア。ふたりの間には寿命という名の壁があった。ミーティアは必ず、ルカを置いて逝ってしまう。
けれど、ふたりはもう、さみしくはなかった。ミーティアは、死んでもルカの心に存在し続けると誓い、ルカはミーティアを絶対に忘れないと誓ったのだ。これで──ふたりは離れない。
「ミーティア。……体は痛くないか」
「大丈夫よ。……やっぱりうそ、少しだけ苦しい」
「そう、か……」
「でも、昨日よりずっと良いのよ。だから、あなたに会いに行けた」
「それは嬉しいけど……でも、絶対に無理はするなよ」
「ふふ、はあい」
本当にわかっているんだか……。とため息を吐くルカの肩にミーティアは頭を預けた。
「ああそうだ。ルカ、今日はあなたと食べたいものを持ってきたの」
「食べたいもの?」
「そう、ケーキよ。わたし、冬生まれだから……誕生日の数週間前にはこれを作るの。焼きたてはさくっとしているのだけれどね、だんだんしっとりとしてきて……と、とにかく食べてみて? とってもおいしいのよ」
「冬生まれなんて初めて聞いたんだけど」
「今言ったもの!」
「早く言ってくれ!」
「えへへ、ごめんなさい」
ミーティアがいたずらっぽく笑いながらバスケットから布に包まれたそれを取り出し、広げる。そこに置かれていたのは粉砂糖がまぶされた半円状の数切れの菓子であった。断面にはドライフルーツやナッツが練り込まれている。どことなくほんのりとスパイスやバターの香りがし、何よりも鼻をくすぐるのは酒の芳醇な香りだ。大人っぽさを感じるそれに、ルカは目を見開いた。
「見たことないケーキだ」
「うふふ。ちょっとずつ切って食べるのよ、だからわたしたちが食べられるのもこれだけ。食べましょう?」
「うん。ありがとうミーティア、いただきます」
ふたりはケーキを手に取る。そして口に入れると──バターの香りのやわらかいこと! しっとりとした生地は見た目よりも重たく、ゆっくりと噛めば噛むほど、生地の甘さがじんわりと広がっていく。
やがて、酒に漬けられたレーズンやオレンジピールが顔を出した。果実の甘さの奥に、少しだけ見える大人びた苦み。そして砕いたくるみやアーモンドが小気味よい音を立てて、食感に小さな彩りを添えた。
表面を覆う粉砂糖は、雪のように静かに溶けていく。けれど、甘いだけでは終わらない。さまざまなスパイスの香りが、冬の冷たい空気に灯る暖炉の火のようなぬくもりを、喉の奥に残していく。
不思議な菓子だ……そう、ルカは思った。ひとくち食べるごとに、長い冬の日々──そう、ミーティアの誕生日を待つ日々まで、このケーキのなかに一緒に閉じ込められているような気がした。甘さだけではない。少しだけ背伸びをしたような香りと、ゆっくりと熟した時間そのものを味わっているようだった。
「どう? お口にあったかしら」
「……美味しい」
「ああ、よかった!」
「ミーティア……。僕はいつも、お前からもらってばかりだ。愛も菓子も……僕は何も返せていない。不公平だ」
「そんなことを気にしているの? そんなことないのに」
「気にするだろう」
そう? と首をかしげるミーティアに、そうだ。とルカは頷いた。そんなルカを見て、ミーティアはうーんと声を小さく上げて考える。そしてそっと、彼の胸に自身の頭をうずめた。
「わ、ミーティア……?」
「うふふ。ならくっつかせて? わたしのこと、ぎゅうって抱きしめて? ルカ……」
「……うん」
ルカはそっと、ミーティアの背に手を回す。あの日、あの秋のような必死なものではなかったが、それでもその腕は力強く、けして彼女を離すことはないものであった。
「……わたし、冬が好きなのかもしれないわ。寒いとルカがこうしてくれるもの」
「べつに、ミーティアが望むならいつだって抱きしめるのに」
「ほんとう? ふふっ、じゃあお願い。しばらくこうしていて」
「もちろん」
静かな時間だった。ルカはミーティアの月色の金髪を撫で、愛しげに頬を寄せた。淡い月色の髪は、すっかりルカの好きな色になっていた。たとえ彼女に会えない日が続いても、空を見上げれば彼女の色をした大きな星が浮かんでいる。そのことが、ルカの心を安らぎで満たした。
ミーティアはルカの胸に手を当て、耳を寄せる。彼の心臓の音が──きっと、何百年、あるいは何千年も打ち続けた鼓動が聞こえる。静かに、けれど確かに。きっと自分は彼より先に死んでしまう。けれど、彼のこの胸の中で、自分は生き続けるのだ。
「……ルカ。わたしね、あなたとしたいことがあるの」
「したいこと?」
「そう。きっとお互いできなかったこと」
「できなかったこと……」
ルカが首をかしげる。ミーティアは体をルカから離し、そして両手で彼の両手を包んで立ち上がった。
「ダンス、踊ってみない?」
「え……」
「ほら、やったことないでしょう?」
「たしかに、したことはないけど……でも、こういうのってどちらかがリードするものだろ? 男女なら男が。僕、ミーティアを上手くリードできる自信なんて無い」
お互い、ベッドの上で夢見ていたことであった。リズムを、ふたりで刻むこいびとたちの特別なやり取り。けれどここには音楽をかける楽団もいなければ、踊り方を教えてくれる者もいないのだ。
「わたし、歌うから……ルカは好きにわたしとくるくるしてくれたら良いの」
「強引だな……」
「ふふっ、知ってるでしょう? わたしが強引なのは」
「……知ってる。歌ってくれるのか? どんな歌を?」
「ええ、古い歌なのだけれど……わたしたちにぴったりだと思ったの。さあ立って? 踊りましょう?」
ルカはゆっくりとうなずいた。立ち上がったルカはそっとミーティアの腰に手を添え、ミーティアは歌を口ずさむ。そしてくるくるとゆったりとしたリズムでステップを踏むのだ。
はるのはな。
なつのほし。
あきのきぎ。
ふゆのゆき。
すべてがわたしのたからもの。
どうかすべてをわすれないで。
か細い声で紡がれるそれは、愛を歌ったわらべ唄だった。ふたりは見つめ合う。
その三拍子のリズムを、ゆっくりと、ステップ、ステップ。そして、ターン。くるり。見つめ合って、微笑み合って──けれど、
「あ……」
「……! ミーティア」
よろり、とミーティアはルカの腕の中へ身を預けた。受け止めたルカは、彼女の顔色を見てはっとする。ミーティアのただでさえ白い顔は、もはや蒼白と言っても良いほど悪くなっていた。ルカはミーティアを抱き留めたまま座り込み、彼女の額を撫でる。熱は出ていなかった、けれど、ぞっとするほど冷たかった。
「もう帰るんだ、ミーティア。送っていくから……」
「……わたし、今とってもうれしいのよ。わたしの王子さま」
「嬉しい? 苦しいじゃなくて?」
「苦しい、もあるけれど……でも、好きなひととダンスを踊るの、夢だったの……」
「……。……」
ルカは黙ってミーティアを抱え、立ち上がる。まさしく物語の王子が姫君にするようなそれをしたルカは、彼女の冷たい額に口づけを落とした。
「ミーティアの歌、きれいだった」
「……うれしい……」
「だから、次は僕の願いも聞いてくれ。これからベッドの中に入って、砂糖が入ったあたたかいミルクを飲んで、眠りにつくんだ。……約束、してくれる?」
じっと、金色の瞳で少年は少女を見つめた。少女は淡い青色の瞳で、彼を見つめ返す。そして、こくりとうなずいた。
「約束するわ。わたし、あなたの夢を見ると思う」
「……僕も。夢でまた会おう、ね」
「ふふっ、ええ」
獣であるルカはとても力持ちであった。彼は片腕でミーティアを抱え、空いた手ではしごを掴み、外へと向かった。
外は未だちらほらと雪が降っており、先ほどよりも地面が白く染まっていた。
「つかまっていて」
「ええ」
外套のフードを頭に被りそのしろがね色のツノを隠し、再び彼は彼女を姫君のように優しく抱く。歩き出すルカの体温を感じながら、ミーティアは気づけばうとうとと眠りについていた。
やがて彼女の屋敷にたどり着いたルカは、あの夏の日のように扉をノックする。出てきた使用人は目を見開いた。
「あなた……本当に妖精なのですか?」
「……」
「あ! ちょっと! お茶のひとつでも飲んでいかれたらいいのに……」
使用人にミーティアを託して走り去っていく彼の後ろ姿を見て、彼女はため息を吐いた。お嬢様の大切な友人、そんな存在を……もっと知りたい気持ちこそ彼女にはあったが、ミーティアも内緒にして話さないのだ。けれど、こうしてお嬢様を運んでくれる彼(彼、のように使用人は感じた)を見ていると、とても優しい存在のように感じて、彼女は安心するのであった。
