ノート

過去に呟いた短い妄想を少し肉付けしたまとめ。
いつか小説になるかもしれないし、ならないかもしれません。

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  • 藤真

    20240311(月)00:28
    ホワイトデーは忙しい。「これ、配っといて。一人一個ずつな。宜しく。」と大袋のマシュマロを私の机にドサドサと置いていったのは藤真。朝のホームルーム前に教室にやってきて、「部活前までに配り終えたら上出来。この学年は頼んだぞ、マネージャー。」などと重要任務を任せる上官のような態度を見せて、最後に笑顔で締め括り、自分の教室に帰っていった。
    バレンタインは藤真にチョコレートを渡すことが最早うちの学校ではファッションと化しているみたい。今年も大量にチョコを受け取っていた人気者藤真。今日はホワイトデーなので、藤真はそのお返しをせねばならない日だ。しかし、私と藤真はバスケ部のマネージャーと部長というだけの間柄なのだが、なぜ藤真のバレンタインデーのお返しを私が配布する役割を担っているのか。私、マネージャーではあるけど、藤真のマネージャーじゃないのよ。部活の雑用とプライベートを混同してるんじゃないの、藤真君、、、。苦い顔をしつつ、一つ深呼吸。私は大袋のマシュマロ(個包装だ)を掲げた。そして嫌味ったらしく「はいはい、これバスケ部の藤真君からのホワイトデーのお返しだそうです〜!今から配りま〜す!藤真にチョコあげた人、自己申告でお願いしまぁーす!」と声を張り上げた。
    「おっ、全部配れたか?足りた?」「足りた?じゃないよ!藤真が誰にチョコ貰ったかも知らないから、手当たり次第配りまくっただけだよ!」放課後、これから部活へ向かう藤真に遭遇した。「オレだって誰に貰ったかも把握してねーし。」「藤真、それ最悪ー。」「お返し、準備しただけでも十分だろ。あ、全部配ったんだよな?お前、一個くらい食べたりしてね?」「してないよっ!配ることに一生懸命だったわよ!」「あはは、真面目!じゃあ、これやるよ。」そう言って藤真が私にピンク色の小さな紙袋を差し出した。覗いてみるとリボンでラッピングされた袋の中に焼き菓子の詰め合わせ的なやつ。「何、これ。くれるの?私に?」「え、だって、チョコくれたじゃん。お返しくらいするだろ。」そりゃ確かにバレンタインデーの日も部活だったし、藤真にチョコレートを渡しましたけども。平然と会話する藤真に動揺する私は、手にした紙袋を見つめることしか出来なかった。誰に貰ったとか把握してないとかなんとか、さっき言ってたくせに。込み上げる嬉しさは認めるが、なんとなくこのまま素直に受け取るのも悔しい。「花形君も昼休みにホワイトデーのお返しくれたんだよね。長谷川君も。みんな優しいよね、バスケ部男子。」「、、、へぇー」あからさまにテンションが下がる藤真がいた。なんかごめん。

    追記
    好きなのか好きじゃないのか分からない感じが良いな妄想。
  • 20230908(金)12:34
    デートして楽しいかどうかって?人によって楽しみ方が違うから何とも言えないんだけど、道の駅とかで安い野菜を見つけたら「やったぁー!」って私は喜ぶし、「貸して。それ一緒に買うね。」と自分の買い物と一緒にでっかい白菜と大根をレジに持っていってくれて。それでもっておごってくれることに「やったぁー!」ってまた喜ぶし。彼が会計をしてくれている時に店員さんに聞かれて気付く。レジから離れて立っていた私を呼んだ。「エコバッグ、ある?」と、口パクに近い仕草に「あるある!」ってエコバッグを私は彼に向けて掲げて見せる。「あ、レジ袋いらないです」と、店員さんに笑顔で答える神君は素敵だな、と思うの。
    なんていう妄想を彼氏の神君に語ってしまったのは「来週、どこか行きたいとこある?」と次回のデートについて話を振られたからだ。「え?全然意味分かんないんだけど、、、。」私のどこまでも続く謎の妄想に神君は戸惑いながら呟いた。「だからぁ、何も特別なことしなくていいってこと。神君と一緒に過ごすだけで楽しいよ、って話!」「ああ、そう、、、」夢見がちなくせに、妙に現実的なところがあるんだよなあ、と神君は指摘しながら次のデートプランを計画しようとスマホを触る。

    追記
    ただただ神君と生活したい妄想。
  • 花形

    20230625(日)23:12
    成人式は懐かしい顔ぶれが揃った。堅苦しい式典に参加はするものの、知らない大人の挨拶や祝辞はそっちのけで周囲を見回した。学生時代を過ごした同級生がスーツや着物に身を包んでいるのがなんだかやたらくすぐったい。成人式の式典会場を出ると、入口前は多くの成人達で埋め尽くされてあっという間に同窓会モード。私は友人たちと共に知り合いを探そうとやっぱり周囲を見回した。「あっ、花形君だ!」後ろ姿だけだったが、私には中学のクラスメイトだった花形君だとすぐに分かった。花形君と私は高校は別々だったものの、バレー部だった私が練習試合や合同練習でよく訪れたのは翔陽高校。翔陽高校のバスケットボール部に所属していた花形君とは、同じ体育館競技ということもあり、土日のどちらかで私が翔陽の体育館を訪れると、年に数回は顔を合わせる間柄だった。ただただ会えば挨拶をする同級生男子というだけなので、深い話をするわけでもなかったが、同中出身ということに共通項を持っている気がして、高校生になっても度々顔を合わせる花形君に対して、勝手に親しみを感じていた。そんな感覚を思い出し成人式で久しぶりに見た花形君に駆け寄った。私は懐かしさが溢れて声も態度も大きくなっていたのかもしれない。「やっぱり、花形君だ!元気してた〜?」私が背中を叩いて存在を知らせたらば、少し大人びた顔付きの、でも相変わらず眼鏡姿はそのままの花形君が振り向いた。初めて見るスーツ姿にドキリとして、私は花形君の頭からつま先までをまじまじと見てしまう。よく考えたら中学時代は制服姿だし、高校時代はお互いにジャージかユニフォーム姿だった。私の思い出の中に花形君への懐かしさや親しみはあれど、花形君にとってそれが同じであるかは知る由もない。そんなことをスーツ姿に感じ取って今更ながら距離感を見失った。「あ、あはは!わ、私のこと、お、覚えてる?背が高いから私は遠くからでもすーぐ花形君って分かっちゃった、、、けど、、、」徐々に成人式特有の舞い上がり方をした自分の心を窄めるようにして声が小さくなった。しかし「オレは会場にいた時から見つけてたけど?」と、頭の上から降ってきた花形君の返しは私の心を掬い上げた。それでもって「、、、ただ振袖姿を見て昔の感じで行っていいか迷って、、、えーと、悪い、声掛けるのヒヨった。」と、歯切れの悪い言葉を続けた花形君は、眼鏡を掛け直す仕草をしながらどこを見てるんだか分からない。そんな花形君のそわついた態度が私まで伝染して、この後何を喋ったか記憶にない。だけども咄嗟に手に入れた花形君の連絡先は後日、私の心をそわつかせるには十分だった。

    追記
    先日のスペースで喋った内容を文字にしました。花形君には最後まで強気を貫いて欲しいと思いつつ、意外と素直に自分の心の内をさらけ出せる、でも結局恥ずかしがるのもいいよね妄想。
  • 20230523(火)11:59
    神君と同棲を始めて三日目の朝食後。「いやいや、毎回洗おうよ。不衛生だよ。」食卓に出していたマーガリンを私が冷蔵庫に戻そうとしたところに神君が声を上げた。私の手に持つマーガリンにバターナイフ(ここでの用途的に言えばマーガリンナイフ?)が挟まれたままであることに納得がいかないらしい。「私の実家は刺しっぱなしだったけど?」神君の指摘をまるで無視しようとする私に、神君は呆れと非難めいた口調で言った。「出た。また実家ネタ。」「だってそのための穴じゃん、ココ!」私も負けじと反論しちゃうものだから余計に二人の関係をこじらせてしまっているのも頭では分かっているけれど、それは神君も同様らしい。お互いに深呼吸で呼吸を整え、心を落ち着かせる。私には神君の深呼吸はため息にも見えたけど。私と神君は似た者同士。お似合いかもしれないけれど、殊に生活を共にする同士となればその生活習慣の違いをどちらに合わせていくかを毎度確認していかねばならない。その作業の繰り返しが同棲なのだな、と三日目にして学んだところだ。
    よって、ここは私が折れよう、と黙ってマーガリンからナイフを取ろうとしたら神君は先程の会話の流れからまだ抜け出していなかったらしい。「そんなこと言うなら、オレの実家はマーガリンじゃなくてバターだったけど?」この言葉に私は振り向いて答えた。売り言葉に買い言葉とは良く言ったものだと思う。「はあぁ?!神君、こないだも実家の食パンはダブルソフト、とかなんとか言ってたよね!何それ、実家公家自慢?」「公家ってwww至って普通の一般家庭だって。知ってるでしょ。何その言い方w公家…!あははははwwwちょ、公家!」神君がお腹を抱えて食卓に倒れ込む。私達は口論していたことも忘れて笑い合った。実は笑い上戸の神君にこうして助けられているのも事実。

    追記
    朝食のラインナップ及び商品名で一般家庭かそうでないかをついつい見分けてしまいがちな庶民。神君は言いすぎたと思っても謝ったりしない頑固者でいて欲しい妄想。
  • 三井

    20230507(日)20:15
    寿と同棲をスタートして三日目。朝食のパン用にと食卓に出したマーガリン。銀色の内蓋をつけたままにしておくか、取って捨てるかで朝から揉めた。「蓋はあるんだから、銀色のやつ要らねーだろ。」「私の実家は最後までついてたもん。」目の前で寿がベロン、と銀色の内蓋を全て剥がしてしまう。「ああっ!」怒りを露わにした私の声、そして不機嫌を追加した表情に今度は寿が不機嫌になる。「なんだよ。そんなにイラつくことじゃねーだろ。」互いの実家文化の違いによる衝突が何度目かになると、同棲が始まったら楽しいことが続くわけではないことを知る。付き合うだけでは分からなかった生活習慣のズレは、私には当たり前だと思っていたことでも寿にとっては意外なことであったりで、きっとそれが互いの不快に繋がっている模様。けれども本日の私の苛立ちはそれが直接の原因ではなく、きっかけに過ぎない。
    寿が強引に銀色の内蓋を剥がした行為。それ自体が私の意見に聞く耳を持ってくれないことを体現されたように思えて、今後の同棲生活への不安を予感させた。今、寿の手元でぐしゃりと丸められた銀色の内蓋は、表面にかろうじて付着した同棲三日分の我慢とか寿への思いやりまでめくり取ってしまったみたい。
    そんなことを(こんな天気の良い朝に)その真逆のテンションで正面で食パンを齧る男に滔々と語ってしまう私も相当難ありな女だ。
    「その無表情と長文で詰め寄ってくんの怖ぇんだよ、お前w」と寿はもはや私の行動に慣れきって呆れを通り越して笑って言った。「、、、引いてんでしょ、どーせ。面倒くさい女だって思ってんでしょ。」「や、引くとかはねぇけど。」そう言いながら寿は丸めた銀色を両手で引き伸ばしてマーガリンの内蓋とした。「これでいいだろ。よっしゃ。」「全然良くない!wwwむしろなんか汚いし!」「原状回復できてんだろ!」同棲をする際に不動産屋の賃貸契約時に耳にした原状回復という言葉を早速使ってくるあたり、私を笑わせにきてる寿に私は怒ってたことも忘れて朝から大笑いした。

    追記
    バターではなくマーガリン。どうでもいいことで言い合いになると必ず折れてくれるのが三井寿だし、最後は笑って終われるのも三井寿なんだよね妄想。
  • 藤真

    20230317(金)12:50
    会社の近くにあるコンビニがやたらシャンプーやら洗顔やら歯ブラシやらのお泊まりグッズのラインナップ充実系。「深夜残業ばんざーい、朝までコースのサラリーマン、この辺多いんだろね…。」と自らの皮肉も込めて、コンビニの陳列棚に嘆いた夜22時半。今日の仕事はこれでも早く切り上げた方だ。真向かいのデスクに座る職場の同期の藤真がもう帰ろうぜ、と残された仕事のボリュームをまるで無視して軽々しく言い出したから。そんな藤真の口調に乗せられて、私もパソコンの電源を落とした。藤真とは同じ部署で仕事をするようになってから気安く喋れるようになったが、顔面偏差値の高さゆえに、職場人気はとてつもない。だけど私は知っている。藤真ってめちゃくちゃダサい奴だってことを。
    「この辺、平日でもビジネスホテル埋まってんだよな。このあたり一帯が日本経済を支えてんじゃねーの。」「あはは、それは無いw」納期が近付いていた案件が急にトラブルになって、担当窓口だった藤真は先週は会社の近所にあるビジネスホテルに泊まったらしい。「この洗顔セット、こないだ買ったんだよ。会社に置いたままにしてる。」藤真が商品を手に取り私に話し掛けてくる。「まさに、先週の藤真のためにあるようなコンビニじゃん。」私は笑いながらお弁当コーナーに向かおうとした。晩御飯はこれからだ。「…今からうち、来ない?」私の手に取るお弁当を指差しながら藤真がおずおずと聞いた。「は?なんで?」私と藤真は会社の同期。それ以上でもそれ以下でもない。ただ藤真が最近やたら私のことを気にかけてくれているのは感じてはいたけれど。今日だって、帰りに私がコンビニに寄ると行ったら、喉乾いたとか、コンビニ寄りたかったとかブツブツ言って私に付いてきたくらいだ。私の無感情な返事に藤真は引き下がるかと思ったのに。藤真は「…ここのコンビニ、泊まり系充実してるし。」と言い出したので「うわ〜!藤真さぁ〜ん!キモすぎてマジで引きますぅ、私ぃ!」と大袈裟にがっかりしてやった。誘い方下手くそか!

    追記
    藤真君は顔が良すぎて腹立たしいがゆえ、どうしてもダサく仕上げてやりたい。でも結局しつこいから夢主が折れてくっついちゃうんでしょ妄想。
  • 20230311(土)23:44
    「花粉よ!これ、絶対花粉だわ〜。嫌だ〜!今までこんなことなかったのに!かっゆ、、、!」目がシパシパする。うん?シパシパという表現は的確かしら?こんな症状になったことがないもので、伝え方すらも要領を得ていない。かゆくて、かゆくて、涙が止まらない。認めたくないが、私は今シーズン、どうやら花粉症デビューしてしまったようだ。「そんなに?家の中でもか?」私の部屋でその状況を眺めながら牧君は聞いた。スマホを操り「か、ふん、しょう、、、目、、、かゆい、、、」と声も発しながら。どうやら私のこの状況を何とかしてくれようと思ってくれての行動のよう。「牧君は全然花粉症とかないの?」「ない。」どこか自信満々にきっぱりと言い切るところが牧君らしい。「私だって去年まで全く無縁だと思ってたわよ。うう、かゆすぎてつらい。」幸い、今のところ酷いのは目の症状だけで、鼻水とくしゃみはそれなり、だ。だけれども家のティッシュペーパーを手放せなくなってしまっていた私に、牧君が私に新たなティッシュの箱を持ってきてくれた。「今日は家でゆっくり過ごすかな。」牧君はスマホを片手に、今日、花粉すごいらしいぞ、と呟く。牧君はきっと己の人生にこれまで必要のなかったであろう花粉情報を私に知らせた。「牧君は外出しておいでよ。せっかくの休日だし、本屋行きたいとか言ってたじゃん。」そう言いながら私は目薬を手に取った。ああ、目玉を取り出して水洗いしたい。花粉症に悩む友達が全員口を揃えて言う定番中の定番の台詞をまさか私も使う日がくるなんて。「外の花粉を部屋に持ち込んでんじゃないか。へぇ。目のかゆみは、前髪に花粉がくっついてるからって書いてあるぞ。」スマホで得た情報をぞろぞろと読み上げる牧君。「そうなの?前髪、そういえばしばらく切ってないや。」私は牧君から得た情報を流し聞く。こすりすぎた涙袋がヒリヒリと別の痛みを呼んでそれどころではなかったから。私は今差したばかりの目薬をこぼすまいと目を瞑り、天井を向く。花粉症がおさまるようにと祈りも込めた。「前髪、長いんじゃないか。」牧君の声が聞こえた。そして私に近付くと、牧君の指が私の前髪を払ったようだ。「ふふ、牧君、生活指導の先生みたい。」私は目を瞑ったまま口角を上げる。「なんだそれ。」「前髪注意してくる先生。いなかった?高校の時。牧君、先生っぽいとこあるよね。」クスクスと笑っていると、近くでふわりと空気が動く。「先生はこんなことしないだろうけどな。」と今度は牧君がクスクスと笑うようなからかいの言葉と共に、控えめに唇を鳴らした。急なキスの感触にビックリして目を見開いた。目元を擦る仕草に牧君が私の手を絡め取り、わざとらしく歯止めをかける。「こら。かゆいからって手でこすったらダメだろ。」そして、都合良く私の自由を奪う牧君はからかうようなキスをしてくるのだ。

    追記
    牧君はからかいながら、二人の世界を作ってくる人であって欲しい妄想。
  • 木暮

    20230223(木)13:54
    この世には遠距離恋愛が出来る人間と出来ない人間がいるらしい。好んで遠距離恋愛なんてしたくない。ただ好きになって付き合った人が遠くの土地で暮らしている、それだけなのだ。「疲れただろ?」待ち合わせの駅の改札で私を見つけて駆け寄り、声をかけてくれるのは彼氏の木暮君。遠距離でのお付き合いを始めた頃はこの一言に彼の優しさが詰まっているようでとても嬉しかったはずなのに。今ではこの一言が木暮君との関係そのものについて言及しているんじゃないかと私の心に影を落とし始めていた。そんな気持ちに蓋をするように「ううん、大丈夫だよ。」と私は笑顔を作って応える。
    夜御飯。私が長距離移動で疲れているだろうからと、外食ではなく木暮君の自宅で済ますことにした。「パスタとか、簡単なものだけど。」と家に着くと一人暮らしの木暮君は慣れたように食事の準備を始めた。私もキッチンに並び立ち、パスタを茹でる木暮君の横顔を覗く。手を動かしながらも、時折雑談を交えて笑う木暮君は、私と電話をしている時もきっとこんな風に目を細めて笑っているのだろう。
    茹でたパスタをザルに上げるべく、お湯をシンクに流すと、同時に白い湯気が立ち上る。それはたちまちに木暮君の眼鏡も曇らせた。「わっ、ちょ、曇って何も見えない!二人分ってこんなに湯気出るんだ!?やば!今パスタどうなってる?溢れてない?!大丈夫?」慌てる彼が可愛くておかしい。真っ白な眼鏡姿に私は体をくの字にして笑った。
    木暮君は遠距離恋愛が出来る人なんだ。私は頑張ってみても出来ない側の人みたい。そんな人の前で寂しい、なんて言ったところで、優しい彼の心をただただ沈める重りにしかならないことも分かってる。そんなことを笑いながら考える。嬉しいのに悲しい。楽しいのに切ない。木暮君との物理的な距離はそんなことを私に繰り返し思い出させる。「やだ。なんか泣けてきた。」木暮君の存在を直近にすると、私は会えて嬉しいことよりも、また明日の夜には会えなくなることを思って悲しくなるのだ。「、、、木暮君のこと、好きなのに。」私は寂しい、を言い換えるようにして言葉を絞り出す。「うん。オレも。」そう言いながら、木暮君は曇って前の見えない眼鏡を私に預けた。意味を受け取れきれなくて「眼鏡?なんで?」と私が顔を上げると木暮君の顔が近付いた。持ってて、と声をかけられた時には、私が返事をするための唇はすでに塞がれていた。「もうちょっと、頑張れそう?オレも頑張るから。」木暮君は目を細めながらそう言って、またキスをくれた。もう私の手にある眼鏡の曇りは消えていた。

    追記
    木暮君、遠距離恋愛、パスタ、などのキーワードいただき、どうもありがとうございましたの気持ちで。これ、がっつり夢小説一本書けたんちゃうんか妄想。
  • 福田

    20230131(火)22:43
    うちの高校は毎年、新入学生に向けたオリエンテーションの時間を使って、部活紹介を行っている。今年は動画を使っての紹介もいいんじゃないか、と部員からアイデアが出たので。「えーっ!あたしですかぁ!?」「ほかに誰がいるっての。」バスケ部キャプテンの仙道先輩に昼休みに呼び出された私。嫌な予感しかなかったが案の定、仙道先輩はマネージャーの私に部活紹介用のムービーを作成してよ、と仕事を押し付けてきた。「なんかさぁ、スマホで?今、アプリとかあるじゃん?そういうのでパパっとさ、作ってみてよ、マネージャー。」スマホを触って調べているような素振りを見せてはいるが、おそらく仙道先輩はいい加減な知識でもって丸投げしかしていない。「私、そういうの全然センスないんですけどぉ。」反論はしてみるも、陵南バスケ部のメンツからして私がやるほかないだろうと諦めの境地に至る。こうなれば写真をいくつかつなげて、スライドショーにして、イイ感じのBGMとイイ感じの紹介文をくっつけて、などと頭の中では既に構成を考え始めていた。「大丈夫。スーパーサブをつけるから。あ、きたきた。」と仙道先輩が言うとタイミング良く、ガチャリと部室のドアノブを回す音とともに現れたのは福田先輩だ。「何だ仙道。昼休みに呼び出すとか。」「福田ぁ。ムービーとか作ったことある?」仙道先輩が福田先輩に大まかに説明を行った。「福田はさぁ、センスいいから。な?」「、、、センス。」さすが。仙道先輩は、福田先輩が褒められたら弱いということを良く分かっていた。こうして私と福田先輩で部活紹介用のムービーを作成することとなった。どうしよう、私、そんなに福田先輩とは喋ったことがないんだよね。福田先輩って言葉少ないし、何考えているのか分かりにくいのだもの。昼休みも終わりかけ。仙道先輩からの指示を渋々承諾した部室から教室へ戻りかけたその時、福田先輩がおもむろに自分のスマホを差し出してきた。「連絡先、交換。これから打ち合わせとか、色々やるから、、、。」「えっ、あっ、部活の前とか後とかじゃなくてですか?打ち合わせ、、、とか作業とか、、、って。」一緒にムービー作るとしても、てっきり学内でやるのかと思っていたのに。「、、、じゃあ、いい。」そう言って寂しそうに福田先輩がスマホをポケットに仕舞い込もうとしたので、私は慌てて訂正する。「い、いやっ!別に福田先輩と連絡先交換したくないとかじゃなくてですねぇ、、、!し、しましょう!交換!」そうしてスマホを突き合わせた。ピコン、と私の画面に福田先輩のアイコンが追加された。そしてすかさずメッセージが入ってくる。目の前に私がいるというのに。「吉兆だよん。」だよん、、、!?「あはっ、福田先輩ってなんかラインだとキャラ違うwww」「何が。」「カワイイですね。あはははは!」私がお腹を抱えて大笑いしたものだから、福田先輩は少し恥ずかしそうだった。でも決して怒ったりしないところをみると優しいのかも。苦手かと思っていた先輩だったが、もしかしたら仲良くなれるかもしれない。そんな予感に私は福田先輩とのトーク画面をもう一度目でなぞって微笑んだ。

    追記
    現代機器は惜しげもなく、躊躇もなく出しまくるのが私。ラインでキャラ変わる人ナンバーワンはフクちゃんだろう妄想。
  • 藤真

    20230117(火)07:14
    毎年2月14日は藤真にチョコレートを渡す日だ。「ああ、そか。バレンタインか。サンキュー。」藤真は興味などなさそうに私からのチョコレートを片手で受け取り、すぐさま鞄に仕舞い込んだ。これは高校一年生の時のバレンタインの話。明らかな義理チョコというのは私も藤真も了解の上。好意もなければ、期待もない。友達と一緒に出掛け、綺麗にラッピングされたチョコレートを選ぶ楽しみと買う楽しみを味わった時点で私のバレンタインは終了している。藤真に毎年渡しているのは、気軽に受け取ってくれる男の子が私の周りには藤真しかいなかったから。藤真のその他大勢の中に紛れて扱ってくれる気楽さが私のバレンタイン需要を満たしてくれた。毎年。
    聞くところによれば昔から女子に大モテの藤真。本命だろうが義理だろうがチョコレートを受け取る度に藤真はこう言う。「あ。オレ、ホワイトデーとか何も返さないけどいい?」受け取るのに先んじて女子の好意を容赦なく遮断するのはモテの経験値がそうさせるのか。ちなみにその他大勢と同じように、私もチョコレートを渡した際に同じ台詞を言われた。それが高校二年生のバレンタインの話。
    見た目に反してなかなかに雑な性格をしてる藤真。確かにあんなに沢山のチョコのお返しを律儀に用意するとなると、、、私だったら正直勘弁して欲しい。「藤真も大変だね。」高校三年生になった今年もバレンタインがやってきた。隣の席に座る私は、まだ朝のホームルーム後であるにも関わらず既に二桁はいってるであろうチョコレートの箱の山を見ながら同情を込めるように言った。「ああ、コレ?お返しとかしないってオレ、毎年言ってるんだけどな。それでもくれるっつーから貰ってるだけで。」「でもそれ、本命のチョコ達じゃないの?」私は聞いた。「オレだって本命を選ぶ権利あるだろ。そしてチョコに罪はない。」意外に甘党だったらしい藤真に私は笑う。「ドヤ顔やめてよw」反論する気も失せて私は鞄から手のひらに収まるサイズの箱を取り出した。「はい。こちら私からでーす。ハッピーバレンタイン〜。」藤真はちょこんと机の上に置かれたそれを真っ直ぐに眺めて言った。「相変わらずの義理感。」「いいじゃない。買うのが楽しいんだもん。それにチョコに罪はないんでしょ?」私は先ほどの藤真の言葉を面白がるように伝えたのだが。「なぁ。」藤真はそんな私の態度をスルーして、今渡したばかりのチョコの箱を手に取る。そして右手と左手に交互に持ち変えながら私に話しかけてきた。「何?言っとくけど、それ小さくても結構良いチョコなんだからね。」「来月空けといて。受験終わってるよな?」「えっ、来月?何かあったっけ?」「ホワイトデー、だろ。」そう言って藤真は私から目を逸らして黒板の方を向いた。「なんで?」色んなことに意味がわからなくなって発した言葉は藤真に尋ねたつもりのない私の独り言だ。それなのに私の言葉はきっちりと藤真に届いていたようだ。「あんたは義理でも、オレは本命なの。」そう言って私の席と逆方向に藤真は顔を背けると、一限目を知らせるチャイムが鳴った。

    追記
    先日開催したスペースで喋った話を一つくらい文字にしたく。スペース聞いて下さった方々ありがとうございましたの気持ちで書きました。
  • 越野

    20230109(月)15:11
    私と彼氏の越野は違うクラスなんだけど、休み時間や移動教室なんかでちょくちょく顔は合わせるんだよね。それなのに、越野は付き合った当初から絶対に目は合わせてこないし、私に話しかけたりもしないんだ。付き合いたての頃は私もちょっぴり気恥ずかしかったけど、別に私と越野との関係を隠して付き合っているわけでもない。後ろめたさなんて何もないのに。ようやく最近では目は合わせてくれるようにはなったけれど、私と校舎内で会っても越野から決して話しかけてくることはない。
    今日も越野の部活が終わるのを待って私達は一緒に帰る。待たなくていいとは言われてはいるけれど、越野の付き合い方に従順なままだと、なんだか私達って友達以上恋人未満の関係性のまま高校生活が終わってしまう気がして仕方ない。
    「なんっかさぁ、、、。」帰り道、私の最近のモヤつく気持ちを越野に上手に説明できず、その代わりに私は越野の膝裏を軽く蹴った。「イテ。何だよ。何で会ってすぐから不機嫌なんだよ、お前。」「越野が廊下で私に話しかけてきてくれない件。」「はぁ?」越野が全くもって私の心の内を一発で理解してくれない。そういうところも、彼氏なら少しは彼女の性格とか行動を理解して欲しいという私の願いを逆撫でしてくる。「越野が廊下で!彼女の!私に!用事がなくても!何かしら!話しかけてきてくれない件!」私は二度言った。物凄く腹が立っているわけではなかったが、言い始めたら坂を転がるように勢いがついてしまう。ふてくされて越野を追い越して前を歩いた。「だってお前、、、。」越野が私の隣に駆け寄って言う。「いっつも女子何人かでいるじゃん。そこにオレ、入っていけねぇって。」「は?別に関係なくない?誰も気にしてないし。」私がちょっと半笑いになって伝えたからか、越野はムキになって答えた。「お前が一人の時なら喋りかけるけどさぁ。」しかし越野の反論に力が入っていないところを見ると、私の不満が多少は越野に響いているらしい。越野も私と話がしたくないわけではない、ということが少しだけ分かったので、私は若干嬉しさで口周りがふにゃるのを抑えた。「越野と私が付き合ってるって、私の友達もみんな知ってるし。全然、廊下で話しかけてくるのって変じゃないと思う。」「お、おう。」越野はまだ心から承知してない様子だったから、私は更に伝えた。「っていうか。そんなの気にしてるの越野だけだよ。仙道君なんて私が友達と何人かで喋ってても全然話しかけてくるよ?私、友達に仙道と付き合ってんの?てこないだ聞かれたもん。んな訳ないじゃんってねw」「はぁ〜!?仙道、何で勝手に話しかけたりしてんだよ。」「いや、勝手にって、仙道君とは越野の話とかしかしてないし。」「それでも!」「それでもってwちょ、越野待ってよ、歩くの速いってば!」さっきまで私の方が不機嫌だったはずなのに、気が付けば私が越野を追いかけていた。

    追記
    次の日の朝練。越野君は仙道君をどついて「イテ。何だよ。何で会ってすぐから不機嫌なんだよ、越野。」と仙道君。昨日の帰り道で夢主に言ったことを今度は越野君が言われるっていう。女子グループの中にいる夢主に話しかけにいけないのが越野君なんだよ妄想。
  • 水戸

    20221231(土)20:53
    「おっ、年越し蕎麦。オレ、エビ絶対食べたい派。」そう言ってキッチンに近付いてきたのは彼氏の洋平。今年の大晦日は実家で過ごさずに自分のマンションで年越し。さっきスーパーで買ってきた出来合いの年越し天ぷらセットを指差して、自分の取り分を吟味した後、洋平は戸棚を開けながら言った。「七味ってどこだっけ。お、あった、あった。」「すぐ食べちゃう?お蕎麦、茹で始めてもいいー?洋平。」「おー。食べたい。なんかちゃんと大晦日って感じ久しぶり。オレ、いっつも花道とカップ麺だったし。」そうやって、七味を手にした洋平はリビングへ移動していく。私は沸騰した鍋にお蕎麦を入れて、菜箸でひと混ぜ。ぐつぐつと噴き上がる鍋の中を見つめて言った。「この後、出掛けるんだっけ?洋平。」「うん?そーだなぁ。花道達飲んでるらしいから、店を出る時に連絡するって言ってたけど。」大晦日の洋平は毎年、友達の桜木君と過ごしている。何をするわけでもないらしいけど、みんなで飲んだら、桜木君の家に行って朝まで過ごし、日が昇る頃に初詣に行き解散するらしい。これが10代の頃から続いている洋平の年越しなんだそう。「結構寂しがりだからな、花道。」そう言って洋平が笑えば、私も一緒に微笑んで、、、やれないのは、そろそろ洋平との付き合いも長くなってきたからかもしれない。「、、、やっぱり桜木君は私のライバルだなっ。」敢えて強がって声を張ってみたものの、ポロリとこぼれたのは本音。私の恋のライバルは桜木君なのだ。「あれっ?花道より寂しがり屋がここにいた。」ぼーっとしていたら、茹でてる蕎麦の前に立っていた私の背後に洋平の声と気配がしてドキリとした。洋平が友人を大切にする姿勢を否定するつもりはさらさらないのだ。だから私も思い切り桜木君への嫉妬を否定した。「寂しくなんかないですぅ。」「花道んとこには行かねーって。」洋平がクスクスと笑っているのが分かったのは、後ろから洋平に抱きつかれて私の体も揺らされたからだ。「外、寒ぃしwこっちの方があったけぇもん。」そう言って、ますます体を寄せて洋平は頬をくっつけてきた。私の両腕は洋平の腕の中。体も心も洋平にがんじがらめだ。瞬間、目の前の鍋の中が白く泡立ってきた。「ちょっ!鍋っ!お蕎麦、吹きこぼれちゃう〜!」「あっはっは。」照れ隠しを蕎麦のせいにする。洋平の一言に先に茹で上がったのは私の方だったのもきっとバレバレだ。

    追記
    今年最後の妄想は水戸洋平でした。年越し蕎麦一緒に食べたいね。来年もどうぞ宜しくお願いします妄想。
  • 陵南

    20221226(月)20:23
    陵南でボーリング行ったら、誰よりもボーリングを知っている植草君がスプリットもものともしないスペアの連続でスコアをあげる。「マジかよ、植草…。」と負けん気の強い越野君もビビるくらいに。実は器用だと思われていた越野君、負けん気が裏目に出て、誰よりも重いボールを選択。「うっ、重っ…」なのに途中でボールを変えずに投げ切るところも負けん気。「バカじゃね?あいつwww」そんな越野君に仙道君は男子高校生らしく、大笑いしてバカにするから今日も越野君は怒鳴っちゃって喉がガラガラだ。ただみんなでボーリングに来ただけなのに…。
    仙道君は朝メシ食べてきたのかと田岡監督に怒鳴られてからが勝負。2ゲーム目から強い。だけどすぐにジュース買いに行くから集中力が続かない。そして魚住君がボールを持つとハンドボールくらいの大きさに見えて、みんなで目をこすった。

    追記
    当サイトのアクセス数が増えているので、何かしら更新したいと思いましたが、陵南は夢主が登場しなくても全然成立しちゃうんだよね妄想。
  • 沢北

    20221212(月)00:32
    インターハイ直前合宿。山王工業ではマネージャーが合宿用品の買い出しを担う。といっても、さすがにマネージャー三年目ともなると、監督に言われるよりも先に在庫の確認と、不足物品のリストアップを済ませているから、業者発注し前日のうちに体育館に運び込んでおく。今日は近所のスーパーで買えるような消耗品を購入するのみだ。「あー、先輩みっけ。」声がする方向を振り向いたら、一学年後輩の沢北君が制服姿で立っていた。聞けば明日の合宿に備えて自分の買い出しのためにスーパーに寄ったそうだ。「何、その大量の、、、」私が指差した先にはレジ袋いっぱいのお菓子。「あ、これっすか。合宿中に食べるおやつっす。」「ええ〜、ちょっと、深津君や河田君に怒られないようにしてよねぇ。」「や、大丈夫っすよ。」「沢北君ならファンの子に差し入れ貰って足りてるでしょ。」私は大量のお菓子と沢北君を交互に見て聞いた。「そんなファンの子とかいないですって。」「嘘だぁ。こないだ河田君にドツかれてたじゃない。女の子に手紙貰ったとかなんとかで。」私が笑ったら沢北君は「今更どうのこうの、とかないっすよ。オレ、もうすぐ留学だし。」と、何かを諦めるような表情で言ったから、「そうだったね。寂しいなあ。」と私も隣を歩く沢北君に会話を合わせたのだが。「、、、先輩、それ本気で言ってます?」と会話をワンテンポ遅らせて沢北君が聞いた。「え?まあ、割と。沢北君、よく話しかけてくれてた、、、し?やっぱりいなくなると寂しいかなあ。」「じゃ、連絡先教えて下さい。オレ、連絡します。」「ええっ!?それこそ今更じゃない〜?私も夏でマネ引退だからバスケ遠のくと思うし。」「だから。もうバスケ部の先輩後輩の関係なくなるから丁度良くないすか。」沢北君が不遜な笑みを見せたからドキリとした。こんなに男っぽかったっけ、沢北君って。でもそれは一瞬だけ。「早くっ、連絡先!河田さんに見つかったらまずいんでっ。」わざとらしく急かしてでも私の連絡先を手に入れたいらしい沢北君に「沢北君〜。私、時差とか良くわかんないから私から連絡しないかも。」と応戦したら、「あ、オレもよく分かってないっす。」と私を脱力させた。

    追記
    沢北君、かっこつけようとしてかっこ悪くなるっていうのを自然体でこなして欲しい妄想。
  • 水戸

    20221207(水)22:46
    同じクラスの桜木君が入学早々、別のクラスの女の子に告ってフラれたらしい。桜木君は髪の毛を真っ赤に染めていて、体も大きくて、怖い噂も絶えない人だった。私だって「何、この人!?」と入学して彼を見た当初は、ビックリしたし、近寄ってはいけない男子認定していたもの。ところが先週から急に大接近。私が赤木晴子ちゃんと同じ中学出身だと知ってから、晴子ちゃん情報を手に入れたい桜木君がやたら話しかけてくるようになったのだ。きっと私が怯えつつ対応していたことはハタから見てもバレバレだったのだろう。「悪りぃね。花道がいつもいつも。」そうやって、桜木君と会話した後には必ずこの男の子から声をかけられる。桜木君といつも一緒にいる水戸君だ。こっちは背格好があまり変わらないのと、優しい口調のせいか、桜木君よりは割とソフトな対応が可能。「ううん。私がそんなに桜木君に慣れてないだけで…。桜木君、晴子ちゃんのこと好きなんだねぇ。いいなあ。」そう呟くと、水戸君が「え。いいなあって?花道のこと?」と聞いてきたから「違うよ!好きとかじゃなくて、ね!好きな人とか気になる人がいるのがいいなってこと!」私は両手を胸の前でブンブン振って答えた。「そういう奴、いないの?」「いる訳ないじゃん!まだ高校入ったばっかだよ〜あはは。」「それ、花道に言ってやってよ。」水戸君が片目を瞑って呆れて笑うから、私もつられて笑顔になった。「桜木君、晴子ちゃんと仲良くなれるといいね。」「アイツ、晴子ちゃんの前では妙にカッコつけたりすっからなあ」「そうなの?!男心って難しいんだね。」と私は言った。そろそろ水戸君と会話を終わらせようと、私は机の引き出しの教科書を鞄に仕舞い込み、帰りの準備をする。「女心ほどではないよ。」と水戸君が返事をした。「え?」と私が鞄にやってた視線を水戸君へ戻すと、私の視線を避けるように水戸君は窓側に視線をやりつつ言った。「気になる女の子をどうやったら引き止められるか考えてんだけど、その子は1ミリもオレのこと気にしてない。」「なら、一緒に帰るとかさ、誘ってみたらいいんじゃ?」水戸君の言う気になる女の子について、私が当たり障りのないアドバイスをすると、水戸君は腕組みをして少しの沈黙ののちに「そっか〜そうくるか。女心とかいう問題じゃねぇなあ。」と何かがっかりしたような、納得したような態度で呟いた。でもそんな悩みすらも楽しんでいるみたい。私と目を合わせると水戸君は目を細めて私に笑いかけた。

    追記
    いつになったら水戸君は余裕の無いところを見せてくれるんでしょうね妄想。
  • 湘北

    20221204(日)19:41
    違うスポーツになると途端にからっきし。湘北バスケ部、三年生送別会でボーリングにやってきた。「わははは!お前、そりゃないわ!」とりょーちんが下手すぎて笑うのは次に投げるミッチー。「今日の三井寿は調子良いぜぇ。」と手首クイクイしながら自信満々なミッチーだったが、ガター連発でりょーちんに「だっさ!」と笑われる。晴子ちゃんが予想外に上手くて「やったあ!またストライク!」と、飛び跳ねて花道とハイタッチ。花道は投げる順番を守らないので、安田君や桑田君が巧みに「桜木君、上手い上手い。やっぱりパワーがあるよね。」と話しかけ「ナッハッハ!さすがこの天才を毎日見ているだけあってワカッテルな!次、投げなさい、キミたち!」と自然と軌道修正が出来て順番が元通りになる不思議。流川君は寝てるから、「こいつ(流川)の番、誰か投げたい人〜?」って募る新キャプテンりょーちん。誰も流川君を起こすという発想がない。

  • 越野

    20221116(水)22:58
    「ねぇ、マネージャーってさあ、中学ん時、バレー部って言ってたよね?」と仙道先輩の一言から始まった、部活前の3on3。「あたし、バスケなんて体育の授業でしかやったことないですよぉ。」と抵抗したものの、いつもの仙道先輩のニコニコスマイルに押されて、コートに入れられてしまった。陵南高校に入学してバスケ部のマネージャーになった私。同級生の相田君が勝手に色々動いてくれることもあって実はそんなにマネージャーの仕事って忙しくなかったりする。みんなが部活をやってるコートの隅に立ち、見学している時間も多い。時間を持て余し気味だったことがバレちゃってたのかも。授業が終わって、バスケ部の面々が集まってくるまでの間、いつもはストレッチをしたり雑談をしたりする仙道先輩が「ちょっとこっち入ってよ。マネージャーもたまには遊ぼうぜ。」なんて手招き。「えー!私が入っても面白くないですよ!」「たまにはバスケやる側ってのもいいじゃん。選手の気持ち分かるかもよ?」「無茶振りすぎます、仙道先輩〜!」「マネージャーは、越野チームな。」振り向くと、越野先輩がすでにボールを持って待ち構えている。部活前の遊びとはいえ、越野先輩は勝負事には結構こだわるタイプだ。私なんかが遊びでバスケをするなんて歓迎してくれないんじゃないかな。ボールを受け取る際に越野先輩から話しかけられた。「中学ん時、部活やってたんだよな?」「えっ、うぁっ!ハイ!バ、バレー部でしたけど、、、。」「じゃあ、それなりに動けるよな?」「いや、同じ球技とはいえ、そういう問題ではないかと、、、。」しかも私、中学バレー部では補欠でしたし、なんて補足情報を伝える隙も与えてくれず、さっさと私との会話を切り上げた越野先輩は仙道先輩に「こっち攻めなー。」といってゲームをスタートさせた。当然遊びという名目なので、私相手にみんなが手加減してくれているのは分かっていたけれど。「ちょ!さっき、、、からっ!なんか!やたらボール回ってくるんでっ、、、すけどっ!」越野先輩がシュートすれば絶対入るところを、わざわざゴール前であっても私にボールを回してくる。そしてそれをことごとく外してしまう私。「全然シュート入らなかったです〜。越野先輩が自分で決めた方がよかったんじゃないですかぁ、、、。なんであんなにパスしてくるんですかぁ、、、。」ゲーム後、少し落ち込んだ様子でもって、越野先輩に抗議する形を取る私に先輩は言った。「や、ゴール決めんのが一番楽しいんじゃねえかなって、、、。オレがバスケ始めた小学生ん時、そうだったから、、、。」と、言いながらどんどん顔を下に向けていく先輩は、どうやら初心者の私のことを慮ってくれてたようで、そしてどうやらそんな行動を告白する自分に気恥ずかしさを感じているようだった。そんな越野先輩が可愛いなあと思ってしまったので、先輩であるにも関わらずついついくだけた態度になってしまう。「越野先輩が私のこと、小学生扱いしてる、、、。」「えっ!いや、ちげーって!何だよそれ!」焦りまくる越野先輩がおかしい。もっと困らせてやりたくなった。

    追記
    とっつきにくいかと思いきや、可愛いキャラであって欲しい越野君。これで夢小説一本書けたんちゃうか妄想。
  • 20221110(木)21:25
    海南のみんなと寄り道した、駅前にあるバッティングセンター。ボールに擦りもしなかった神君。翌日から部活帰りに神君のバッティングセンター通いが始まり、牧君が信長に聞いた。「どうしたんだ神は?」「菅野のストレートを攻略するとかなんとか、、、。」「あいつシュート練サボってるのか?」「それが500本は朝練前に済ませたとかで。朝はバッティングセンター開いてないっすもん。」帰りに駅前のバッティングセンターに牧君と信長が様子見に行く。「あれ、今永だろ?菅野を倒すんじゃなかったのか?」「牧さん、巨人の菅野映像のマシンは100キロなんで。今永は80キロっす。まだまだ道のり長いっす。あ、神さん、隣の小学生に打ち方聞いてるw」「清田、神ってバスケ部だよな、、、?」内に秘めた闘志はあるが、打撃フォームは別にきれいでもなんでもなかった。

    追記
    先日のスペースで神君について語り尽くしたため、浮かぶ妄想が全て神君。
  • 陵南

    20221019(水)10:02
    部活帰りにみんなでバッティングセンターに寄った。ズドン!と仙道君の前をボールが横切った。「うわぁ、速えぇ。」とバットを構えてビビる仙道君が可笑しくて私は言った。「次110キロ行こうよ、仙道君。」「鬼だね〜。無理だよ。」と仙道君とネット越しに会話していると向こうから叫び声だ。80キロと表示されたコーナーでは、越野君が大きく空振りしてて「あー!くそう、振り遅れたっ、あと2球しかねぇ!」とピッチャー映像を睨んでいる。悔しがってる越野君の隣では植草君がなぜかバントの構え。「植草、バントやってるwww」とそれを見た仙道君があひゃあひゃと指を指して笑っていた。それを横目で見たフクちゃん。目つきを光らせ100円玉を投入すると、120キロと設定されているバッターボックスに立った。「まずは目から慣らす。」とやはりバントの構え。「いや、バントって!おい、福田ぁ!」と越野君もツッコまずにはいられない。そんな部活帰りの光景。

    追記
    違うスポーツになると途端にからっきしというのが好物です妄想。
  • 仙道

    20220927(火)22:21
    私と仙道君は来週開催される体育祭のプログラムを作成している。「もう部活行っていいよ、仙道君。あとホチキスするだけだから。」そう言って何度か仙道君を部活に行かせようと促したのだが、仙道君は「今日監督来ない日だし。」とか「今日は筋トレメインだから。」とか「オレ居なくても部活回るし。」とか幾つかの理由を並べ立てては教室に居残ろうとするので、私も諦めて仙道君から渡される重ねた印刷物をホチキスで一つに留めていく。
    仙道君は両端を揃えるべく机に印刷物を置く動作を繰り返しながら喋り始めた。「こんな感じでさ、小学生の時って修学旅行のしおり作らなかった?」「あ〜懐かしいね。そうだね、作ってたな〜。」「しおりと言えばさあ、オレ、好きな子と修学旅行のバスで隣同士になってさあ。わざとしおり失くしたって嘘ついて。ちょっと見せてよ、なんつってね〜。会話のきっかけ無理矢理作ったりしてたんだよね〜。」「へぇぇ〜。それ、仙道君の初恋?」仙道君が揃えた印刷物を受け取ろうと手を差し出したタイミングで私は尋ねた。「そーそー、今思えば初恋。ははは、も少し好きな子に上手くアピールしろよってなあ、、、って、、、。」そう言って仙道君は揃えた印刷物を私に渡す瞬間、何かに気付いて動きを止めた。不思議に思った私まで仙道君につられて動きを止めた。一瞬、時が止まりかけたのだが「あ、しまったなあ。」その呟きと共に、いつもののんびり口調の仙道君が戻ってきた。それからすぐに「でもその子とはもう終わったから。」と何故か私の目を見て力強く訴えてきた。仙道君のいつものよく分からない言動には慣れっこだ。「終わるも何も小学生の初恋の話でしょ。何言ってんの仙道君。」そう言って私は仙道君から体育祭のプログラム冊子を奪い取った。「いや、違う。まーたオレ間違えた。全部。最初から。」「は!?何が。えっ、まさかこのプログラムの並べる順番間違えてる!?もう半分以上ホチキスしたのに!?ちょっと、仙道君〜!」「や、違くて。んっと、違わないけど。」「え〜!?どゆこと〜!?」私はホチキス留めした山からプログラム冊子を抜き取ってはページ数に間違いがないかを確認する。眉間に皺を寄せた私に、何故か仙道君も皺を寄せてうなだれていた。相変わらず仙道君って何がしたいのかよく分からない。

    追記
    勘が鋭いくせに鈍感なフリしてとぼける、みたいな時と、本当にただのバカなんじゃないの?って時があって、好きな子にうっかり初恋の話なんかしちゃっても全く相手にされてない男子高校生の仙道君です妄想。
  • 20220907(水)22:49
    海南大附属高校を卒業してもう何年だろう。体育館から足は遠のいてはいるが、バスケットと縁が切れたわけではない。当時マネージャーとして全国大会も経験し、濃い青春を送った私。卒業してすでに当時私と被っていた学年の後輩はいないのだけれど、海南バスケ部の試合は気になって今も追いかけている。そしてそれは他のみんなも同じだ。
    高校を卒業して、海南のバスケ部のみんなはそれぞれが大学へ進学。決してすぐに会える距離に住んではいないから、今日は同級生の武藤君や宮益君に誘われて、オンラインでみんなと喋りながら後輩達の試合を見ようということになった。
    一つ下の神君が仕切ってくれて、招待URLをみんなに連絡してくれたはずなのに、牧君が「やり方がさっぱり分からん」と当日になって言い出したらしい。牧君のIT音痴についてみんなで「期待を裏切らないな、牧はwww」なんて笑っていると、宮益君が電話にてサポートしてくれて、ようやく繋がることができた。さっきまでケラケラと笑っていたのに、遅れて画面に現れた牧君を見つけて私の心臓は跳ねる。画面越しなら目が合わないことを良いことに、私は高校時代に好きだった牧君を見つめる。昔から堂々とはしていたが、高校生っぽさが抜けてさらにカッコ良くなっていた牧君に、過去の思いが蘇って少しだけ甘酸っぱい。
    「牧さーん!久しぶりっす。」清田君は相変わらず明るく騒々しい。すると神君がチャットで「副音声がうるさい」と流して、武藤君が「マイク強制ミュートない?」と返すそのやりとりに私が堪え切れなくて笑っていると、今度は牧君が「清田は強制退室させていいだろ。」と発言したから、清田君がすかさず反応して叫ぶ。「牧さん!それはひどくないっすか!?退室ってwwwちょ、さっきまで全然ついてこれなかったくせに!」「うるせーな。」そんな二人のやりとりに画面の向こうの他のメンバーは笑っている。当時と変わらぬ会話が繰り返されている中、私のスマホの画面がふいに光った。そしてそれが牧君からのメッセージであることを知らせる。
    「久しぶり。顔見たらなんか懐かしくなった。」みんなと喋りつつ同時並行で牧君は私に連絡を寄越してきた。画面上ではそんな素振りは全く見せていないというのに、これはどうしたことかと、私はドキドキがおさまらない。でも一つだけわかった。牧君がIT音痴だなんてきっと嘘だ。

    追記
    牧君のしれっと行動起こしがちなところ、嫌いじゃないです、大好きです、今度は嘘じゃないです妄想。
  • 海南

    20220814(日)06:05
    海南大附属高校は練習でも試合でもいろんな体育館に行きまくってるから、だいたい感覚で「自販機あっちにあるよ。えーと、トイレは…ほら、あそこにある。」と指を差して教えてくれる神君がいてくれていつも助かっちゃう。
    「ってかここのウォータークーラー、水の勢い良すぎじゃないっすかw」と体育館に戻ってきた清田君が話しかけてきて「えっ、清田君Tシャツ濡れすぎだよ、水飲むだけなのにそんなことになる?!何それ!?」「いや、ウォータークーラーがぁ…」などと喋ってたらそばにいた神君からも「距離感見誤りすぎだって。どんだけwww」と笑われる。「神さん!一回行ってきて下さいよ!ボタン押したらすっげぇ高さで水出てくるんすから!」と笑いあいたい休憩時間。その会話が一段落したと思ったら、Tシャツ濡らした牧さんがやってきて「ちょ、牧さんもですか!?www」とさらに大爆笑したい。

    追記
    今年はよく体育館に行っています。なので得意になってきました体育館妄想。
  • 仙道

    20220807(日)01:02
    「あと1分でーす!」と田岡監督の隣で私は声を張り上げた。陵南の部活練習に使うのはストップウォッチではなく、料理用のタイマーだ。それを首から下げるのがバスケ部マネージャーの私。練習メニューに基づいて決められた時間をキッチンタイマーでセットしていく。大抵は1セット、1〜5分ほどの基礎練習が組まれているのだけど、秒で刻まれた時なんかは大変だ。ピピピピピッと高速で秒のボタンを何十回も押し変えなきゃいけない。ボタンの押下音は体育館では意外と響くし、耳に残る。練習も終盤になってくると、キッチンタイマーのスタートボタンの押下音を聞くだけで、全員がげっそりしていくのがありありと伝わり、見ているこちらは忍びない気持ちになる。それだけ陵南の練習量ったら半端なかったのだ。
    高校を卒業してかなり経つけれど、突然そんなことを思い出したのは彼氏の仙道君がうちに遊びに来て、珍しくキッチンで一緒に料理をした時だ。私がキッチンタイマーを引き出しから取り出してセットしていると、仙道君がげんなりした顔で言った。「げ。それ、部活ん時のきつい練習思い出すからやめてwしかも同じメーカーのやつじゃん…。」「だって使い慣れてるんだもん。」「や、そうかもしんないけど…。」「っていうか、仙道君。これが正しい使い方だってば。」と、私が隣でピッピ、ピッピとボタンを押すと、仙道君はおでこに手を当てた。「うーん、その通りではあるんだけどさあ。あー、その音まで同じなの、腹立つーwww」仙道君を困らせたいわけではないけれど、ちょっと面白いので私はボタンを連打する。二人でゲラゲラ笑った休日の昼下がり。

    追記
    特別なことなんて何も無いんですよね。でもそれが尊いんですよね妄想。
  • 藤真、神、三井、仙道、牧、沢北

    20220806(土)08:22
    二月中旬から雛人形の小さな飾りをダイソーで買ってきてリビングのテレビの前に飾っていた。同棲中の(まだ結婚の話は出ていない)藤真君から「そういや親からひな祭りっつって昔の写真送られてきたんだけど。」とスマホを傾けて私に見せてきた。「え、これ藤真君?」雛人形と共に写る小さい頃の藤真君はたいそうな美少女だった。「毎年雛人形飾ってたんだよな、うち。女いねぇのにさ。」飾りたくなる気持ちもわかります、お義母さん。結婚決まってませんが勝手に呼ばせて下さい、お義母さん。


    二月中旬から雛人形の小さな飾りをダイソーで買ってきてリビングのテレビの前に飾っていた。付き合ってまだ一ヶ月の年下の神君が家に来るなり雛人形を見つけ「こういうの好きなの?」と尋ねられた。「一人暮らしだけど、季節感大事にしたいじゃん?」なんて年上の女性ぶってみる。神君は「オレはカップルイベントも大事にしたいタイプなんだけど。」とひな祭り用に売られてたらしいケーキを差し出してこう言った。「付き合って一ヶ月記念〜。」付き合う前は淡々としているタイプかと思っていたけれど、彼氏になった途端、明るく無邪気な笑顔を見せる神君が可愛い。

    二月中旬から雛人形の小さな飾りをダイソーで買ってきてリビングのテレビの前に飾っていた。同棲中の(まだ結婚の話は出ていない)ミッチーから「今日中にこれ片付けないとマズイんじゃねーの?」と尋ねられた。時刻は3/3の23時。「ミッチーもそういうこと気にするんだ?w」と茶化すように言ったら「知らんけど」と結婚をはぐらかすので、私は目についた雛あられをミッチーに投げつけた。「おまっ、、、節分は終わっただろ!?w」「鬼は外!鬼は外!ミッチーは外!」ムカついた。


    二月中旬から雛人形の小さな飾りをダイソーで買ってきてリビングのテレビの前に飾っていた。同棲中の(まだ結婚の話は出ていない)仙道君から「これ、もう片付けてもいい?」と尋ねられた。時刻は3/3の23時。もしかして私が行き遅れないようにとか?私との結婚考えてくれてたり?なんて思って一人でニンマリしちゃってたら「テレビ見るのに邪魔だと思ってたんだよね。リモコンの赤外線遮ってんだもん。」テレビ前のソファに座っていた私はそのまま足を伸ばして、仙道君の背中を蹴る。


    二月中旬から雛人形の小さな飾りをダイソーで買ってきてリビングのテレビの前に飾っていた。同棲中の(まだ結婚の話は出ていない)牧君から「今日中にこれ片付けるのか?」と尋ねられた。時刻は3/3の23時。「まだ良いんじゃないの?」そろそろ寝ようと思っていた。「しかし雛人形片付けないと行き遅れるって言うだろ?」え、心配してるのそこ!?と私は笑って「牧君に任せるよ。」と続けたら「行き遅れないようにはするよ。」と私を見て笑った。てっきり雛人形をどっちが片付けるかの話だと思っていたのに。不意打ちだ。

    二月中旬から雛人形の小さな飾りをダイソーで買ってきてリビングのテレビの前に飾っていた。同棲中の(まだ結婚の話は出ていない)沢北君に「そういえば、ひな祭りって英語で何て言うの?」と尋ねた。アメリカへ留学していたんだから楽勝だろう。「えーと、Doll festivalとか?」時刻は3/3の23時。そろそろ寝ようかと思っていたら「それ片付けないの?よく言うじゃん。you will get married lateって。」「は?何て?ゲット?マリード?え?まさか今のって英語でプロポーズ?」英語が出来ない私の言葉に少し疲れた顔を見せる沢北君は言った。「いや、うん、、、別にそれでいいや、もう。」婚約の運びとなる。

    追記
    昔呟いていたひな祭りシリーズを少し加筆して再掲。キャラによって異なる対応を見比べるのも大好きさ妄想。
  • 三井

    20220711(月)21:56
    この場所を探し当てた私はきっと天才だと思う。「あ、部活終わったっぽい。」オペラグラスを掴んで私は体育館の出入口に標準を合わせて呟いた。ここは家庭科室や音楽室のある、私達が普段過ごしている校舎とは別棟の三階だ。私はその外階段の踊り場に待機して、いつも彼とレンズ越しに待ち合わせをするのだ。「わ、今日の三井君、一昨日と同じTシャツだった!やーん、タオル巻いてるの、やばくない!?」未だオペラグラスを構えたまま、私は隣で一緒に待っていてくれた友人の肩を叩きながら話しかけた。ヤバいのはアンタの方だよ、と私の行動にケチを付ける友人は「っていうか、こんな場所から体育館覗かなくっても、渡り廊下のとこに行けばよくない、、、!?」と言い、友人は私と一緒に体育館のバスケ部の集団を眺めた。
    体育館の出入口を出て渡り廊下を進み部室棟へ向かう三井君を目で追いかける。「三井君と喋ったこともないんだもん。ここから体育館の様子を探るので精一杯。」呟くように私は言った。決して長い片想いというわけじゃない。髪を切って、そして大きなスポーツバッグを担いで学校に来るようになった三組の三井君のことが気になり出したのは夏前のことだ。私の存在を知ってもらいたいだなんて欲張りな思いは伏せる。だけどいつか、いつか「バスケ頑張ってね。」って三井君にそれだけ言えたなら。応援していることを伝えられたらいいなって思ってる。

    追記
    ミッチーに認識されないまま卒業していく夢主がいたっていいじゃない妄想。
  • 水戸

    20220703(日)00:04
    「こないだ、ビールサーバー買ったんだよ。今度家で飲み会やるからおいでよ。」と桜木軍団の大楠君が声をかけてくれた。普段ビールはあまり飲まない私だけど、大勢でワイワイと集まって飲むのは大好き。大楠君からのお誘いに二つ返事で飛びついた。家に着いたらば、もう既に桜木軍団は揃っていて、高宮君が宅配ピザの注文をしていて、野間君が買ってきたつまみを袋から取り出し、大楠君はグラスを並べていた。大楠君が買ったというビールサーバーは、なかなかに本格的で、専用のペットボトル1リットルをセットするという。「あそこのさ、クラフトビールの専門店知ってる?空のペットボトルを持って行ったら、これ入れてくれんだよ。すごくね?」なんて自慢げにビールサーバーをポンっと叩いている。
    私もグラスを渡された。自分で注いではみたけれど、泡ばっかりになっちゃって上手く注げない。「えーなんでー?」としょんぼりして泡の部分に口を付けた。すると水戸君がするりと近寄ってきて、私の泡だらけのビールグラスを取り上げるとあっという間に飲み干してくれた。水戸君はその空になったグラスとサーバーのコックに手を掛けるやいなや聞いてきた。「オレ、やっていい?」私がどうぞ、どうぞと頷くと、水戸君はグラスを傾けて美しく注ぎ、そして最後に確かな割合の泡を乗せていく。その一部始終をガン見する私は、自分とは全然手際が違うことに感心しながら「水戸君〜、コツってあるの?」と尋ねた。水戸君は私に今注いだビールグラスをそっと返しながら「左手は添えるだけ。」と愉快そうに笑う。「それ、桜木君が前に言ってたよ、、、アハハ。」と私も可笑しくなって笑った。もう酔っ払ってる。

    追記
    映画の最新情報に祝杯だ妄想。
  • 流川

    20220628(火)00:29
    体育館のステージ奥に配電盤がある。階段に隠れたその場所で、部活の練習後に必ず私は声を上げる。「電気、消しまーす。」その声に合わせて、他の部活も片付けを終えて体育館を出たことを、ステージ奥から顔だけ出して確認する。バチン、バチン、バチン。ステージ、天井1、天井2と印の付けられたスイッチをオフの方向に押していく。あっという間に体育館は外と同様に真っ暗だ。「オイ、まだいるよ。」体育倉庫側からステージ奥にいる私に声がかかった。「わ!ごめん、流川!」男子バスケ部の流川が体育倉庫から出ていこうとしていたところ。「勝手に消すな。」どうやらモップの片付けで最後まで残っていたみたい。ちょうど私からは死角になっていて確認のタイミングが悪かった。が、そんなことは知ったことではない。「私、声かけたもん。」「聞こえてねーし。」「あっそ。」自分勝手な流川は言うだけ言ってそれだけ。帰宅すべく体育館の出口に向かおうとして、私はステージ横の階段を降りる。同時に体育倉庫から出てきた流川に追いついた。私達は横並びになって歩き出す。「真っ暗だね、体育館。」と呟いて流川の指先に自分の指を絡めた。それを合図と受け取ったのかどうだか。流川は私の前に立ち、唇を重ねた。「こら、勝手にキスするな。」「暗いって言ったのそっち。」「それ、別にキスして欲しいっていう合図じゃないし。」「あっそ。」私達はいつもタイミングが悪い。

    追記
    流川君と付き合ったら言動がバラバラすぎて心がもちません妄想。
  • 20220627(月)23:55
    体育館の引き戸が古すぎて、ギギギ…っていう。力を込めて両手でこじ開けていたら、バスケ部のキャプテンさんが私の後ろに立っていた。引き戸に気を取られて、牧先輩に全く気付いていなかった。「ふんっ!」なんて掛け声も言ってたかもしれない、私。やだ、恥ずかしすぎる。「あ、えと、お先にどうぞ、、、。」途中まで開いた体育館の扉の前に立ち、牧先輩を先に体育館の中へ促した。
    「結構な馬鹿力なんだな。」と茶化しと感心を織り交ぜた感想を言われて、私は恥ずかしくて俯いた。「朝練?」いくら私がバスケ部だからといっても、女バス一年の私にとっては、男バスの牧先輩は相当に縁遠い存在だ。牧先輩がどんなに気さくに私に話しかけてくれたって、私は「はい。」としか返せない。牧先輩に続いて、私も体育館に足を踏み入れた。バッシュの紐を結んで体育倉庫に駆け寄る。またしても具合の悪い引き戸が登場だ。しかしこの扉を開かねばボールを手にすることは出来ない。牧先輩の前では、可愛くありたい。そんな私が一瞬だけ扉を前にして怯んでしまったのを牧先輩は見過ごさなかった。「、、、オレが開けようか。」「い、いえ!一年が朝練の準備しなきゃなんでっ。」私が引き戸に手を掛けると、牧先輩も同じ場所に手を掛けた。「いい。オレがやった方が早い。」ガラッと目一杯引き戸を開いた牧先輩はボールを手に取って、私に投げる。そして「あ。」と思い出したように私を見て言った。「やっぱり馬鹿力をもう一度見せてもらえば良かったかな。」と再び茶化してきたから、「や、やめてください、、、!」と私はボールを投げ返した。

    追記
    恋にもならないような日常の積み重ねが好きなんです妄想。
  • 仙道

    20220608(水)23:03
    ウェディング雑誌によくある、教会をバックにしたお姫様抱っこ。別に結婚の話が出ているわけでもないのだけれど、たまに電車の吊り広告、またはテレビのコマーシャル、もしくはドラマのワンシーンで目にするとついつい新婦を自分に置き換えてみたくなる。
    彼氏の仙道君の家に遊びに来てみたら、無音が好きじゃない仙道君はいつもテレビをつけている。今日もまた、テレビからは結婚式場のコマーシャルが流れていたから私は言った。「お姫様抱っこってどう?仙道君。」「は?どうって?」仙道君はキッチンの冷蔵庫からお茶のペットボトルを持ち運んできて、キャップを捻りながら聞いた。「ああ、これのこと?」私の向かいに座り直した仙道君は、テレビから流れるコマーシャルから推察してくれたらしい。「え、結婚したいの?」「誰もそんなこと言ってない。何、その迷惑そうな目はっw」「いやいやいや、迷惑とかじゃねーけど。はは。あ、お姫様抱っこだっけ?どうやんだろ?首に手ぇかけてみて?」そう言って仙道君は私に自分の首を差し出した。私は両腕を伸ばし、「こう?」と仙道君に抱きついてみる。「いい?持ち上げるよ?」仙道君は、せーの、という合図で私の膝裏に手を入れて立ち上がった。私の体は宙に浮く、というか仙道君に支えられて床から離れた。が「よっととと。あ、もう無理。」仙道君が無理、と言ったか言わないか、直後、すぐ隣のベッドに私は一応ゆっくりと振り落とされた。同時に仙道君が私に覆い被さってきたから、「ちょっとぉ!絶対わざとだあ!ベッドに連れ込んだだけじゃん!下ろすの早すぎだよぉ!」「オレ、早い?うーわ、それは傷付く。」「もぉ!そっちじゃ、、、うむっ、、!」仙道君は笑ってじゃれつくようにキスして私を黙らせた。

    追記
    常に自然体な仙道君を体現しようとすると、チャラチャラ寄りになりがち妄想。
  • 三井

    20220608(水)22:25
    ウェディング雑誌によくある、教会をバックにしたお姫様抱っこ。別に結婚の話が出ているわけでもないのだけれど、たまに電車の吊り広告、またはテレビのコマーシャル、もしくはドラマのワンシーンで目にするとついつい新婦を自分に置き換えてみたくなる。
    ある時、彼氏の寿に「私もお姫様抱っこやってみたい!」と要望したら「あと10キロ痩せたらな〜。」とテレビのチャンネルを変えながら軽く断られて、私は頬を膨らませたことがある。それはそれでいいの。付き合って長くなるとラブラブイチャイチャは縁遠い存在だ。本当にお姫様抱っこなんてやられちゃうと逆に恥ずかしい、お互いに、なんていう冷静で現実的な見方も私にはあるのだ。ただ、暗に痩せろという寿からのメッセージが含まれていたことには気にしないフリをして気にしてる。
    そんなある日、二人でデート帰りにカフェに寄った。コーヒーと共にパンケーキも食べたいなあ、とメニューを見つつもバチンと閉じて言った。「やっぱコーヒーだけでいい!太るし!」すると寿は「は?そんなの気にしてんじゃねーよ。お前、全然だから。全っ然細いし。」「えー、ホント?」寿はこうやって私を甘やかすのだから、つい嬉しくなっちゃって、そんな単純さを寿にバレてしまうのも何だかな。私はメニューをもう一度開き直して笑窪のできた口元を隠し、寿を上目遣いで見た。「なんだよ?でも帰ってもお姫様抱っことかやんねーぞ、オレ。」「そんなこと一言も言ってないじゃない!もお。やっぱパンケーキ食べる!生クリーム増量で!すみませーん!」私は元気よく手を挙げて店員さんに声を掛けた。

    追記
    下げるのかと思いきや上げてくるし、肝心なところで甘やかしてくるからタチ悪いんだけど、そこが好き妄想。