ノート

過去に呟いた短い妄想を少し肉付けしたまとめ。
いつか小説になるかもしれないし、ならないかもしれません。

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  • 越野

    20210921(火)19:28
    明日は名古屋支社と会議の予定だ。最近の取引先とのやりとりは先方に合わせて、zoomやteamsでのビデオ通話が主流になってきた。社歴だけは長い私は、徐々に世の中のIT化についていくのが辛くなってきた。未だ新しいシステムに慣れなくって、「もしかしてこれが若さを失ってるっていうこと?!」と、若い頃には全く感じなかった機械への抵抗感が、私を慄かせることもしばしば。とはいえ、明日の会議をそんな理由で断ることなんて出来るわけがない。事前にいくらか操作して慣れておこうと、私のデスクの正面にいる、五年目の越野君に声をかけた。「ねーねー、越野君〜。明日ね、私、web会議入ってるんだよね。越野君やったことある?越野君で練習してい?」「あー、いいっすよ。」越野君はパソコンと睨めっこしながらキーボードを叩いていた。得意先の見積書の提出日が迫っているので、契約諸々の書類の準備にも取り掛かっているのだろう。私を一切見ずに、書類とパソコンを交互に見ながら答えた。
    越野君のアカウントを選択して、通話ボタンをクリックすると、私のパソコン画面には書類を見比べながら、電卓を叩いている越野君が映った。いつもはデスクトップのパソコンが邪魔をして越野君が仕事をしている姿が見えないので、ちょっと新鮮でテンションが上がる。「わー、越野君、聞こえる?私の声〜」と言ったら、越野君がようやくパソコンの脇から顔を出して私に向かって言った。「目の前の席でビデオ通話したって、これ意味ないっしょ。バカなんすか?」越野君は眉間に皺を寄せてすぐに暴言を吐くのだ。それがたとえ先輩の私相手でも。可愛くない後輩に対して私は無言で社内チャットを起動させ「うるせぇ!越野のくせに!」と打ち込んで送った。私のパソコンから送信音がして、越野君のパソコンから受信音がした。数秒後、私のチャットに気付く越野君が椅子から転げるようにして、笑いかけてきた。「先輩、マジ絡み方がウゼェっすwww」二人でゲラゲラ笑った。今日は明日の会議の準備もあるから、少しだけ残業になりそうだけれど、目の前の越野君が笑ってくれたから頑張れそう。

    追記
    このあとチャットで「今日、メシどうすか?」って入ってきて慌てる。こういう時の越野君は何ら顔色変えないし、誰にも悟られないで誘うの上手いんだぞ妄想。
  • 20210921(火)08:06
    月曜日のオフィスに新兵器を持参した。湯タンポだ。最近はUSB充電だとか、オフィス用の便利グッズも見かけるけれど、私はこれ。従来式のお湯を入れるタイプだ。出勤後、給湯室でお湯を入れて、栓をした。湯たんぽを抱えて歩くとタプン、タプンと柔らかな水音も心地良く聞こえる。その音がオフィスの生活音とそぐわなかったためか、私と背中合わせで座る、新卒三年目の牧君が反応して振り向いた。私が席に着こうとしたら「そんなに寒いですか?」と牧君は聞いた。私は両手を擦り合わせながら答える。「私、寒がりなんだ。冬はホント苦手。冷え性でさ、手も凄い冷たいよ。」と左手を牧君の前に差し出した。片手で指先だけ触って、確認してもらうつもりだった。なのに牧君は両手で包み込んでくるようにして「、、、本当ですね。」と言ってきたので私は突然の急接近に慌てた。牧君とは仕事でしか絡んだことはない。「えっ、そんな感じでくる!?」「何がですか?」「いやぁ、牧君、手ぇ、あったかいね!は、ははは!」と照れるようにして私は笑って、そそくさと自分の席に戻る。パソコンの電源を入れる指先はかじかんで思うように動かない。多分寒さによるものじゃなくて、牧君のせいだと思う。私は全ての色々を誤魔化すようにして、両手を擦り合わせた。体がポカポカしてきた。なぜかそれは内側からだ。腰に置いた湯タンポの位置を確認するため振り向き、牧君の大きな背中を意識した。

    追記
    帝王は帝王ゆえにしれっとスキンシップしてくるから、惑わされるこっちはたまったもんじゃない妄想。
  • 流川三井南岸本

    20210920(月)20:54
    お昼はお好み焼きにしよか!となったので、流川君が「エビもタコも」と具についてリクエストしてくるし、ミッチーは「オレ広島風。麺マスト。」と言ってくるし、南君と岸本君は「白飯もつけてや。」「麺とか認めへんで」って好き勝手に言ってきたので私は、「オイ!流川!お前はたこ焼きでも食ってろ!三井、南、岸本!オラっ、粉とキャベツと豚肉と麺だ!自分らで焼け!あと米も炊け!」と叫んだ。ミッチーは頭にタオル巻いて渋々作り始めたものの、南と岸本コンビは、「へへ…ええがな」と両手を合わせて粘ってくるから「関係者以外フロアに降りてきたらあかんねんで!キッチン行け!」と叱っておいた。

    追記
    夢小説にならない感じが好きです。お好み焼きという切り口で彼等を近くに感じたい妄想。南岸本コンビの原作ええがな、が好きでして。
  • 20210920(月)13:55
    「このスニーカーも古くなってきてん。何やったっけ?Nのマークの。」「ニューバランスな。」「そう、それや、ニューバランス!さすが運動部やなぁ。すぐ出てくるな!よう知っとるやん。」と私はバシバシと、そばに立つ彼氏の右腕を叩いて感心の意を示した。今日は彼氏の南と放課後デート。放課後といっても南は普段は部活ばっかりやから、定期テスト期間中を狙うしかない。翌日のテストは捨てて、南とのデートを選んだ。テストの点数とかどうでもええねん。南との相性が何点なのか、そっちの方がよっぽど大事やわ。私は久しぶりに南と半日一緒に遊べることが嬉しくて、南の隣をぴょんぴょんと跳ねながら話を続けた。「今度はシュッとしたやつ欲しいねん。シュッとしたアレ。アレや。何やったっけ?」とすぐに名前が出てこなくて、指で空中に何度もブランドマークを描いたら南は「ああ、ハリポタ。」とボケてきたから「いや、ナイキな!!何や、ハリポタて!今あたし杖持ってた?!呪文言うてた?!だいぶざっくりなハリポタ感で言うてきたなwあんた映画すら見てないやろ!」とお約束のように私は突っ込んだ。
    私の騒がしさを南は冷たくあしらうのだけれど、必ず次に私の欲しい言葉をくれる。「USJでもええで。」「え?何?」私は聞き直した。「誕生日。来週やん?スニーカー買いに行くでもええし、USJ行くでも。行きたいんやろ?」南は忙しいからと、私がずっと遠慮しとったん、バレとったんかな?私の心の声が全部南に届いていたんや、と思ったら途端に恥ずかしくなって、私は大きな声で言った。「スニーカーは今日買う!USJに行く時に履いてく!」「おー、それええな。」そう言った南の右腕に自分の腕を絡ませた。

  • 20210920(月)13:11
    「うわ、また私、やっちゃった、、、?」おはよう、よりも先に牧君に聞いてしまった。脱衣所の洗濯機の前に立ち尽くしている牧君に、起き抜けの私が遭遇。牧君のがっかりしたような、鼻から抜けるため息が私に向けられた。
    洗濯に対してズボラな私は、昨日お風呂に入る時にやっておけば良いものの、脱衣所のカゴにそのままポイっと投げ置いて、ブラジャーを洗濯ネットに入れるのを忘れた。山盛りになった洗濯物を一つ一つ確認もせずに、予約ボタンを押して、昨夜は洗濯を完了させた気になっていた。
    朝、脱水まで終わった洗濯物を、早起きの牧君がまとめて干してくれる。そういうサイクルで私達は生活しているのだ。これはこれで、とても良いコンビネーションだと思いたい。しかしそう感じているのは私だけ。今日もまた、ブラ紐が他の洗濯物と絡み合って仕方ない。絡み合う洗濯物をほぐしつつ、洗濯機から取り出し、「何でいつも絡むのオレのシャツなんだ、、、」と朝から牧君に小言を言われて、ますます私は居心地が悪くなる。こうなったら明るく笑いに変えて、この脱衣所から逃げ切るしかない。「牧君のことが好きだから絡みたくなるの!しょうがないじゃない。」そんなことを言ったら、「ネットに入れろ、頼むから、、、」と洗濯籠を抱えた牧君を朝から疲れさせてしまう。

    追記
    牧君にとにかく洗濯させたい妄想。
  • 20210915(水)12:43
    牧君と同棲を始めた。暮らし始める時に色々とルールを決めることにした。掃除はキッチン回りは私が、リビングの整理整頓とか、トイレ掃除は牧君が。食事に関しては週末に二人で買い出しに行く、なんてことを。洗濯はタオル、洋服、下着とか個別に洗いたいもの、で洗濯籠を分けて二人のうち、時間がある方が洗濯機を回し、畳むといった分担にし、機能的な二人暮らしを試みた。、、、試みたのだけれども、これは基本的に共同生活を行なう二人の家事スキルや生活に関する価値観が同等でないと成立しない、ということに気付いたのは暮らし始めて一ヶ月が経った頃。毎晩、残業で遅くなる私は、まだまだ一人暮らしだった頃の生活スタイルが抜けない。夜は同僚と飲みにだって行くし、遅く帰ってきたら、ジャージに着替え、化粧だけ落としてエネルギー切れ。そのままリビングのソファで寝てしまうこともしばしば。そういった私の一人暮らしのさまを見かねて、数ヶ月前に牧君から「もうオレの家で暮らせ。」と半ば強制的に同棲を始めたはずなのだけれども。
    朝、目が覚めたらそこはベッドの上だった。化粧を落としただけの肌は、少し頬の筋肉を動かそうものならパキパキと音がするくらい乾燥してしまっていた。「まあやってしまった、、、。ううう、分かっているのに、また、、、。」この反省は、一人の時ならば気持ちを切り替えてその日の家事を進めていく内にメンタルも回復するのだけれど、今はそうはいかない。リビングに廊下の壁を這うようにしてたどり着くと既に牧君が洗濯物を脱水、乾燥まで終わらせて、各自の衣服を山積みにして畳んでくれているのだから、私の家事における活躍の場はもう残されていないし、申し訳なさだけが生まれて、そして沈む。
    「ほら。これ。そっちの洗濯物。それからタオルは洗面所にしまっておいてくれるか?」「は、はい、、、すみません。色々と。」「気にしてないよ。今、仕事も繁忙期だろ?」そう言って牧君は私に畳んだタオルの山をドサっと渡してきたので、私はこぼれ落ちないように、タオルを顎で上から押さえ込み、両手で抱えた。「あ、それからこれも。」私の両手が塞がっていたため、牧君は追加の洗濯物を私の頭の上にポン、と置いた。「何?」私の頭上に置かれたのは、私の洗濯物の何かであろう。しかし頭の上に置かれては、詳細が分からない。ハンカチか靴下かな?なんて想像しながら牧君に尋ねた。「パンツ。」「えっ!?パ、パン、、、っ!?」動揺しかない私が、一昨日くらいまで記憶を遡って思い起こすと、おそらく脱衣所で、間違えて下着を普段洗いするものの籠に入れてしまってたんだと思う。牧君が「脱衣所の洗濯籠、分けた意味あんまりないよな?オレが殆ど洗濯機回してるし。別にいいけどさ。」とあたかも何とも思ってないように言った。それがさらに私を恥ずかしめるのだ。牧君は苦笑しながら「タオル、宜しく。あと早くシャワー浴びて来いよ。」と私の頭をポンポンと撫でて促した。パンツを間に挟みつつ。もういいや、シャワー浴びよう。そしてシャワーを浴びたら、脱衣所の籠は撤去しよう。そう思った。

    追記
    ポンコツ彼女を牧君に充てがうのが性癖なんで、似たような話がいっぱい出て参ります。夢小説になりそうにない日常回をひたすら妄想し続けるのも性癖です。
  • 山王

    20210914(火)23:13
    今日は11月11日で、巷ではポッキーの日と言われている。どうせ、かっこかわいい彼氏と彼女が、口にポッキー咥えてふざけたゲームをやったりしては、キャッキャと騒いだりするんでしょ?ってか、今時そんな奴いるの?なんて世の風潮に対して歪んだ精神を持つ山王工業高校二年電子工学科の私は、体育館裏で河田兄先輩と「一本ずつ食べるとかやってらんねーべな。」と意気投合。ポッキー1袋約20本を握りしめてから丸ごと齧った。「あ、河田兄先輩、電子工学科に友達いません?工業技術基礎の去年のテスト問題欲しいです。」「甘えんな。ってかなんだその河田兄って?そんな呼び方、おめだげだぞ?」「だって、美紀男も河田だし、、、。」そう返事して、私の隣にどっしりと座り込んだ美紀男に目をやる。私が「食べるか?」と声をかけると、美紀男が「ふぁい。」と嬉しそうな顔をしてきたので、私は封を開けていないポッキーを渡した。次の定期テストの話をしつつ、三人で握りしめた20本をボリボリ貪る。
    それにしても、美紀男がポッキーをめちゃくちゃ食べるからファミリーパックでも足りなくなってきた。昼休みに体育館でシュート練習なんかしちゃってる同学年の沢北君を河田兄先輩権力を用いて呼び出し、山王高校近所のスーパーにパシらせることにした。「何すか〜もう〜。」と言うのが口癖の沢北君は、河田兄先輩には大変従順。素直な奴なのだ。沢北君が買ってきたブツを確認して、「ほら、お礼にポッキーやるよ。」とプリッツをボケのつもりで差し出したら「いや、プリッツ!!しかも一本、、、っっ!!」と案の定、ひっくり返るようなオーバーリアクションで反応するので、私は美紀男と共に爆笑した。沢北君が買ってきたポッキー一袋をボリボリと丸噛りしながら。

    追記
    沢北君が夏を過ぎてもアメリカに行ってないっていう。
  • 20210914(火)20:28
    牧君は早起きだ。知り合った頃から、もともと多分そういう人なんだろうな、と思っていたけれど、24時間ある一日という世界を一分一秒無駄なく精力的に生きている。活力に富む牧君の日常を隣で見ているだけで、私のような生活にだらしのない人間は、気を引き締められるのだが、やはりそこは私。どうにか牧君に肩を並べたいと頑張るのだが、最後にはヒィヒィと息切れしてしまうのだ。そして牧君はそんなことばかり繰り返してきた私を見ては、「一生懸命なんだけど、要領の悪いところが見ていて面白い。」という理由だけで、私と一緒にいてくれる。私も変わってるけれど、牧君も相当変わっていると思う。
    そんな牧君と私は、一緒に暮らし始めても相変わらず自分のペースを崩すつもりもなければ、互いに歩み寄ることもない。私が目を覚ます頃には常に隣は空席だ。広い広いベッドの上でゴロンと大袈裟に寝返りをしたあとに、私は両手両足を引っ張るようにして伸びをした。
    寝ぼけた私がリビングに入って来る気配を察知すると、背中を見せていた牧君は振り返って、「おはよう」と優雅に朝の挨拶をしてくれた。もう寝起き姿ではなく、いつでも外に出られる格好で新聞を読んでいるから、牧君さすが、と毎回感想を抱いては、私は牧君が淹れてくれていたコーヒーサーバーとマグカップを手に取った。コーヒーを持ってから、パジャマ姿で牧君の向いの椅子に私が座ると、牧君は無言で新聞のテレビ欄のところだけを抜き取って渡してきた。私がテレビ欄しか見ないことがすっかり定着してしまっているではないか。「ちょ、牧君、バカにしてる?www」と軽くツッコミから入る朝に、牧君は優雅に「何が?」と聞いた。

  • 三井

    20210913(月)16:57
    Tシャツに手を入れて、ボリボリお腹掻きながら、寝ぼけ眼でリビングに突っ立っている。こっちが「おはよ!おはよう!お、は、よ、う!」って三回くらい主張して言うと、ようやく面倒くさそうに「、、、はよ」って言ってきたのは、寿。
    「さっさと朝ごはん食べてー。食器、片付けまでやっといてくれるの?私、もう出るよ?」フレックスで働く寿と違って、私の会社は勤務時間は固定している。朝はゆっくりの寿と違い、いつも私の方が先に家を出る。私はジャケットの袖を通しながら、リビングを出てすぐの廊下にある姿見で、全身を最終チェックをしながら言った。「洗濯。タオルだけ今、回してる。もうすぐ脱水終わるから、干しておいてよ?」「おう。」「あとガス。こないだ元栓締めてなかった!」「、、、おう。」「戸締りも!」「、、、だいぶ子供扱されてんな、オレw」寿は後頭部をガシガシと掻きながら下を向いて噴き出した。そしてわざとらしく眉間に皺を寄せて私を見る。「全部言わないとやらないでしょ!んじゃ私、行くね!」私は玄関に向かって廊下を歩く。その後ろを寿が付いてくる。私がパンプスを履く様子を玄関先であくびをしながら眺める寿。私がパンプスを履き終えたところで、私達はようやく朝起きて初めて向かい合うのだ。「行ってら。」そう言って寿は右手を上げてハイタッチしてくる。「部活かw」と私が突っ込んで笑った。「朝のルーチンは大事だろ。」寿も笑った。寿は朝の挨拶よりも、ハイタッチして見送る方が良いらしい。


    追記
    ミッチーは出掛ける時とか、絶対玄関まで来て見送ってくれる妄想。
  • 三井

    20210913(月)13:53
    ビールのあとは、ハイボールとかレモンサワー、日本酒、ワインなんかを飲むらしい。二次会はオシャレなバーでカクテルなんかを飲んだりするという。うそやん?ハイカラすぎん?と目を丸くした。関東圏で就職したら、誰も焼酎なんか飲まないことを知ってビックリしてしまった。ビールの後に焼酎以外の選択肢があることを知る。合コン以外で「次何飲む?」なんて会話をしたことがないし、ドリンクメニューなるものに目を通した経験があまりない。そのせいで職場の飲み会で隣に座っていた同じ部署の三井さんに、「せ、先輩〜!なんでドリンクメニューって、日本酒は銘柄書いてあるのに、焼酎は芋、麦ってざっくり表記なんですか〜〜!これが都会の常識ってやつなんですか〜!?」と新人の時に聞いてしまって以来、三井先輩から、「芋子」というあだ名で呼ばれるようになってしまったほどだ。決して私が田舎くさくて芋っぽい、という意味ではないことを信じたい。三井先輩とは、長いこと同じ部署で働いている。「おい、芋子。今日、飲みいくぞ。」と声がかかると、私には二つ返事しか用意されていない。社会人になっても体育会系な私達。いつも週末は朝までコース。三井さんが合コンに行くとか、彼女がいる時期以外は。
    今夜は職場のみんなと飲んで、三軒目でお開きとなった。タクシーで同じ方面の三井さんと二人だけになって「オレら二人だけって珍しくね?」「ですよね〜!?」なんてテンションが上がってしまい、四軒目は、三井さんちで宅飲みの流れとなる。三井さんちに上がって、パックの黒霧島出てきたのは、私が芋子だからですか?「三井先輩、黒霧って、、、!しかもパック〜!ウケる〜!オヤジですね!」と床に転がって笑った。「お前、黒霧島を黒霧って言う時点でお前もオヤジ側だからな!」って突っ込まれる。「三井先輩、赤霧も美味しいですよ。私、こないだネットで買いました。」「お前、どんだけ、、、。」と引かれつつも、三井さんは私を見て言った。「じゃ、次は◯◯んち行くわ。」三井さんが私の名前を呼んだ。いつもは芋子って呼ぶくせに。三井さんと約束なんかしたことはなかった。酔いが覚めそうだ。急に三井さんと距離が縮まり出して、どうして良いか分からなくなった。
  • 清田

    20210913(月)08:41
    どんなに機嫌が悪くても、どんなに具合が悪くても、朝起きてきてすぐの第一声は「おはよう」って言ってくれる。
    昨日の夜、一緒に暮らし始めた信長と喧嘩した。きっかけは些細なことだ。私が週末に食べようと楽しみにして、大事に取っておいた冷凍庫のアイスを、信長が勝手に食べてしまっていたこと。他人と暮らし始めて分かるのだが、自分の思っていたことと違う、期待していたことをしてくれない、そんなストレスは、好きな人に対しても溜まっていく。いや、好きな人だからこそ、遠慮はなくなるし、許せなくなるのかもしれない。些細なきっかけは爆発して、昨日の夜は信長と口もきかずに、別々に寝た。付き合うのと生活を共にするのはちょっと違うんだということを、信長と暮らすようになって実感中。
    さて喧嘩のきっかけは簡単に作れるが、仲直りのきっかけはそう簡単にはいかない。私が一人で怒って、一人でいじけて、ふて寝した手前、信長に対して下手に出るのも非常にバツが悪い。要するに気まずい朝を迎えている。とはいえ、信長の分の朝ごはんを作らない、なんていう大人げないことはできない。ごはんは炊くし、味噌汁は作るし、目玉焼きだって焼く。
    「おはよう。」信長が寝室からリビングに入ってきた。どう返事しようかと私が戸惑い、何も言わなかったのを構いもせず、信長は食卓を見て言った。「お、今朝の味噌汁、豆腐入ってる。絹?」まだ私の機嫌は治ってはいないけれど、聞かれたことに答えないわけにはいかない。「うん。絹。一昨日スーパーで安かったから。」「やったー。オレ、前から言ってたじゃん、絹ごしが好きだって。やっぱ味噌汁には絹なんすよ。」私は木綿派なんだけど。でも最近、絹ごしも悪くないと思い始めたのは、信長と暮らすようになってからだ。なんだか朝から明るく接してくれる信長を見ていると、自分だけが腹を立てているのも馬鹿らしくなって、私は言った。「早く、顔洗ってきなよ、信長。朝ごはん、食べよ。」「おー。」仲直りのきっかけはいつも信長から。一緒に暮らすようになってからの、信長の「おはよう」がとても好き。

    追記
    もうこれ夢小説じゃん、って思ったけど突き進みました。
  • 20210912(日)14:27
    今日は金曜日。明日は仕事は休みだ。定時で上がれそうだから、一週間頑張ったご褒美に、誰かと飲みに行きたい。
    ミッチーは多分仕事が遅いから無理だと思ったけれど、ダメ元で夕方16時くらいに連絡を入れてみた。断る時は返信が早いのがミッチー。「無理。残業確定。」と文字だけの返信にイラっとして私も既読スルー。
    次だ。直近で連絡を取った相手とのラインをスクロールしてみる。えーと、桜木軍団と飲みに行くって数日前に言ってた洋平とのラインに辿り着く。桜木軍団に仲間入りするつもりはないし、久しぶりに全員揃って飲む、と洋平は楽しそうにしていたので、ここは遠慮しておこう。
    続いて、牧君。きっと当日飲み行こって言われるの嫌なタイプだ。事前にスケジュール合わせておけば良かったかも、とお誘いのメッセージを途中まで入力したが指が止まる。うーん、でも牧君は優しいから連絡したら、やんわりと断られるし、「また次の機会に」なんて紳士的な返信をされてしまうと、こちらが切なくなるだけだ。私は今日、このタイミングで、誰かと、飲みたいだけの勢いしかないのだ。次回の約束を取り付けたい訳ではないのだ。
    そう思って、さあ次だ。南君は大阪にいて遠いけれど、まあ冗談のつもりで「今日飲むで!今から新幹線乗って来てよ。」とラインしてみたが、秒で「乾杯!」とやたら明るいスタンプだけの返信があった。何?どゆこと?関西人の笑いのセンス、ちょっと私には分からない。まあ、南君、クールなのはフリだけで、中身は変人だと思ってるから深く受け止めないことにして、「また今度ね」と私も相手にする気のないスタンプを押し返して終わらせた。
    さぁ、お次は、仙道君。彼のヘンテコなアイコンに目が止まる。しかし仙道君は、誘っても「おう、行く行く」って調子良く返事するくせに来なさそう。陵南繋がりで他のメンバーを頭に思い浮かべてみた。フクちゃんは、酔ったら感受性高まってすぐ泣くし、彦一はうるせーし。彦一がうるさくなると、越野君も「彦一うるせーぞ!」って騒ぐから、いや、越野君もうるさいよ、っていう鉄板のやりとりが目に浮かんだ。
    ああ、もうすぐ終業時間。壁掛けの時計の針を眺めたあと、諦めて真っ直ぐ家に帰ることにした。デスク周りを片付け始めたら「あれ?今日定時上がりですか?早いですね。」隣の席に座る、二つ下の神君が私に気付いて顔を上げた。「うん。今日飲みたい気分だったから。もう帰る。」「さっきから、スマホと時計、めっちゃ見てましたもんね。」クスクスと笑う神君とは職場で会話こそすれど、プライベートは実はよく知らない。私はバッグをデスクに乗せ、立ち上がる。「でもね、誰も掴まんなかったのよ。寂しく一人で帰ります、先輩は。」「あ、それならボク、飲みたいです。立候補していいですか?あと5分待って下さいよ。」エレベーターホールに向かおうと席を立つ私に背中から神君の声がかかったから、思わず振り向いて私は尋ねる。「…神君って会社の人と飲んだりしないよね?職場の飲み会あんまり参加しないし。」「あー、色々面倒くさいので、酒は飲めないってことにしといて下さいよ?」私に対して企んだように笑みを返す神君がパソコンの電源を落としながら言った。え?神君って何?素直な後輩かと思いきや、腹黒キャラだったりするの?思わぬ所に伏兵が潜んでいた。パソコンの画面が真っ黒になると同時に、私の頭の中は真っ白になってしまった。

    追記
    「誰か他に誘う?」とは絶対にこちらからは言わないし、神君にも言わせないようにサッサと店決めて入る。こうなったらしれっと二人きりを作るぜ妄想。
  • 20210912(日)11:01
    体育祭の打ち上げと称して、うちのクラスは居酒屋に集合した。同じクラスの男子のお父さんが経営しているお店だったから、高校生でも座敷タイプの個室を会場にすることが出来たらしい。私はそういったいわゆるクラスのリーダー的グループから外れた、大人しいグループに属しているもんだから、イマイチそんな細かな情報が伝わってこなくて、集合場所に到着して始めて、打ち上げ場所が居酒屋だったと知る。当然お酒を飲むことはないけれど、こんな場所に同級生だけで集まるなんて初めて。お店に入ったら、くじ引きまでさせられた。席をくじで決めるというので、打ち上げを仕切るグループの女の子から差し出された箱から四角に折られた紙切れを一つ手に取る。手慣れてるなあ、と思いながら、自分に充てがわれた番号の席を探して座る。そんな経験がこれまでないものだから、こういった立ち回りをさも当然といったようにやっている周りのクラスメイトがとっても大人に見えて、なんだか自分がどう振る舞って良いのか分からなくてソワソワしっぱなしだ。
    「おつかれー。15番ってここ?」席に座って周囲に萎縮している私の隣に神君が腰を下ろした。私は神君の持つ紙切れの15番に頷いた。神君は教室では私の隣の席の男の子だ。神君も私と同じことを思ったらしく声をかけてくる。「教室とあんまり変わらないね。この席。」「変わるよ、いつもは神君は私の右側だもん。今日は左側に座ってる。」私が席を指差しながら神君に示した。「細かいってw別にどっちでもよくない?」神君は被っていたキャップを外して、髪の毛を少し整えながら言った。私の左に座った神君は線が細くて、今日の格好は黒いTシャツに黒い細身のパンツを履いていた。足元のパンツの袖をクルって折り曲げて、くるぶしを惜しみ無く見せて胡座をかいている。足首がすごく細くて、私がそれをマジマジと見てしまったらしく、神君が気付く。「えっと、、、な、何?」話しかけられてから、私は神君の頭のてっぺんから、それこそ今眺めていた足首まで目線を縦に動かしてから伝えた。「神君、私服がオシャレだなーって、、、。」他のクラスメイトと同じように、神君もとっても大人に見えた。

    追記
    神君は真っ黒な感じで。モノトーン男子を貫いて欲しい妄想。
  • 食洗機シリーズ(10人)

    20210910(金)11:13
    「え?え?え?嘘、、、壊れた?」うんともすんとも言わなくなった食洗機。私の一番嫌いな家事、それは皿洗い。修理対応できなくて、新たに新品を購入したけれど。メーカーからの取り寄せになり、食洗機の配達はまだまだ先になるという。ううう、悲しい。

    ***

    食洗機が壊れて初日。合鍵を渡している仙道君がたまっている食器を洗ってくれていた。私は帰宅後にそれを見て、「えっ、嘘っ。仙道君そんなこと出来たの?!」なんてテレビを見ている仙道君の両肩を掴んで驚き喜んだ。「そりゃ、一人暮らし長いから。」と当たり前に言うものだから、「仙道君。じゃあ何でいつもはやってくれないのよ。」と言うと、「だって、キッチンに立ってる君の背中眺めるの好きなんだよねー、オレ。」なんて言うので、そろそろ仙道君と私、結婚するかもしれない。

    食洗機が壊れて二日目。合鍵を渡していない年下の神君が泊まりに来た。翌日から出張の私がバタバタと支度をしている間に、シンクに溜まっていたお皿を洗っておいてくれた。「えー!神君!ありがとう!助かるぅ〜!」と、はしゃぎながら喜ぶ私に「合鍵くれたら、もっと頑張れそうなんだけどな。」と、後ろから顔をくっつけてきた。年下だし甘えてくるかな?と思っていたけど付き合い始めて分かる。神君はこういう時はやたらと積極的で、私はいつもたじたじになる。明日は出張先から直帰できそうだから、鍵を作ってこようと思う。「合鍵、100本あれば足りる?」ふざける私に神君は言った。「…足りないかも。」明日は出張だというのに。大変だ、今夜は眠れそうにない。

    食洗機が壊れて三日目。アメリカから後輩の沢北君まで心配してやってきてくれた。コロナで大変な時期なのにありがとう。「ちゃんと洗えるの〜?アメリカでもどうせバスケしかしてないんでしょ?」と先輩面する私に「やってますよ!もう〜!」と言いながら腕まくりして皿洗いを始めてくれた。「やればできるもんだピョン。」と私が隣で見てて感想を言うと、「ちょwなんで深津さん出てくるんすかwww」と言って二人でゲラゲラ笑う。

    食洗機が壊れて四日目。今日は金曜日。遠距離恋愛中の信長がうちに泊まりにきた。土日は一緒に過ごすのだ。私がお風呂入っている間に皿洗いをしてくれたらしい。「もぉ〜!お皿洗ってくれるのは嬉しいんだけどぉ〜!なんで割っちゃうのよぉ!これ気に入ってたのに!」信長の行動は、気を利かせたつもりが裏目に出るのだ。こういう時は、私が怒ると、信長も逆ギレするのがいつものパターンなのに、今日はシュンとして続けた。「、、、悪かったよ。明日、ついでに皿も買ってやるよ。」「ついでに?何の?」言ってる意味が分からない私に信長は意志を込めてはっきりと言った。「転勤決まった。こっち戻って来る。そろそろ指輪、買おうぜ?」パリーン!予想だにしていない言葉に、手が滑り、私が持っていた皿まで割れる。プロポーズされてしまった。

    食洗機が壊れて五日目。もう皿洗いも板についてきた私は、ホームパーティーだって開催しちゃう。チームの面々がリビングで盛り上がっている中、キッチンではトレーナーの私と今シーズンうちのチームに移籍してきた流川君がお皿を洗う。「流川君、こっちはいいからみんなのとこ、行っといでよ。」「いい。ああいうの得意じゃねー。」そう言って私からお皿を奪い取った。「じゃあ、なんでうちに来たのよwホームパーティーっつったら、みんなでワイワイやる以外に何の目的あるのよw」と私が笑いながら言うと、「お前。」「え?」「目的。」と言って流川君は蛇口を捻ってお皿を洗い出したので、これ以上何も聞けなくなった。もしかして流川君、私のことを、、、?

    
食洗機が壊れて六日目。元カレの藤真君が何か食わせろ、と突然うちにやって来た。「何?食洗機壊れた?使い方が荒かったんじゃね?お前の。」と好き勝手言いつつも、キッチンに向かい、スポンジを手に取った。左利きの藤真君は、必ず私の左側に立つ。この立ち位置がちょっと懐かしくなったが、首を振るようにして私は強がった。「何よ。急に来て、急にお皿なんか洗っちゃって。」私のポイント稼ぎをしたいのがバレバレだ。藤真君は皿を洗いながら聞いた。「、、、彼氏出来た?」「出来てたら藤真君を家に入れて、ご飯なんか作ってやらないよ。」私は藤真君が洗った皿を取り上げる。「貸して。洗ったお皿、私が拭くから。」藤真君は少し嬉しそうに言った。「二人でやった方が早いよな。」「まあね。」藤真君がヨリを戻したいと言うなら、考えてやってもいい。

    食洗機が壊れて七日目。新品の食洗機を購入したが、まだ届かない。予想外の高額出費に、今月は落ち込んでいる。そんな私を見かねて、負けん気の強い越野君が宅飲みに来てくれた。「食洗機壊れたくらいで、そんな凹むなって。」お酒の弱い私が酔い潰れて、「もうやだ、洗うのめんどくさい。やだやだやだ!もう寝る〜!」とテーブルに突っ伏した。越野君がおもむろに立ち上がってキッチンに向かう。蛇口を捻り、水が流れる音がする。シンクに放置していたお皿を洗い始めたようだ。「ほんっと、こいつしょうがねぇ奴だなあ。オレが何でこうやって家まで来てんのか気付けっつの。」越野君の独り言、全部聞こえてます。モテ期到来。

    食洗機が壊れて八日目。大学の部の飲み会で酔い潰れた私を牧先輩が、部屋まで運び込んでくれた。朝方に目が覚めたら牧先輩がキッチンで、昨日から放置していた皿を洗ってくれていた。「せ、先輩!何してるんですか!か、帰らなかったんですか!?」「酔っ払いを放置できるわけないだろ。あと見かねて皿も洗っといた。よくあそこまで放置できるな、、、。」私は洗われて、綺麗に並べられた大量の皿に視線を移し「す、すみません。な、何かお礼させて下さい、、、。」「よし。そうだな、、、。」何かを思い付いた牧先輩は、キッチンのタオルで手を拭きながら、髪の毛はボサボサで化粧もボロボロの寝起きの私の方を振り向いた。来週、二人でごはんに行くことになった。これは帰りに告白と同時にキスされるパターンのやつだ。ちょっと化粧品と洋服買いに行ってくる。

    食洗機が壊れて九日目。男友達の洋平がゴハンを作りに来てくれる。「皿洗うの面倒くさいからって、自炊しないとかどんだけだよ、全く。」洋平は飲食店でバイトしていただけあって、皿洗いも手際良くて、私は隣でただただ洋平の動きを眺めるだけだ。「食洗機、明日配達されんの?」洋平がお皿に残った泡を流しながら聞いてきた。「うん、明日の午前中。」「あーあ、口実無くなったな。」と洗いながら、残念そうに呟く。「口実って?」と私は意味が理解できなくって尋ねた。洋平は「お前に会う口実。」と最後の皿を水切り籠に置いて、私を見つめた。この数秒後、多分告白される。

    食洗機が壊れて十日目。同棲中のミッチーも最初は「皿洗いくらい大した事ねーよ。」なんて言っていたけれど、とうとう音を上げてしまっていた。「やーっと、明日食洗機来るぜ。毎日皿洗うのしんどかったわ。」「私もー。見てよこの手。めっちゃ荒れたよ。」と正面に座るミッチーに、両手を差し出して見せた。ミッチーに、どれ、と握られてまじまじと見られる。手のひらを撫でられる、その手が熱い。「なんか久しぶりにお前の手、触った気がするな。」「う、うん。」そういえば同棲を始めてから生活に慣れるのにお互い必死だった気がする。ミッチーが私の手を見つめたまま聞いてくる。「生理、終わった?」今夜、私、抱かれます。

    追記
    これは当時、リアルガチに家の食洗機が壊れた時に各キャラを召喚して妄想していたもの。だいぶ精神を痛めていたなと思いますが、せっかくこんなに人数出せたので、少し修正して再掲しました。
  • 清田

    20210909(木)08:26
    「傘!持ってけって!」と玄関先で、今日は在宅勤務の信長(一緒に暮らしてる)が言った。外は曇ってはいるけれど、まだ雨は降っていない。「大丈夫だーって!降らない、降らない!」「あのな!天気予報バカにすんなよ?!」と聞こえてきたけれど、荷物が増えるのが嫌いな私は無視して家を出た。こういう瞬間的な判断しか出来ない自分を呪った。仕事が終わると、外はなかなかの雨。職場から最寄駅までは地下で繋がっていて、雨に濡らされることはなかったが、さて困った。自宅最寄駅からは徒歩しか手段はない。コンビニでビニール傘でも買おうかな。もう何本目だろう。玄関先にまたビニ傘が増えちゃう。信長にまた何か言われてしまいそうで、自分にげんなりしながら、改札を出た。「お!ナイスタイミンー!今連絡しようと思ってた。」と改札前に、スマホを片手に、傘を差した信長が待っていた。自分の傘とは他にもう一本、傘を腕に引っ掛けて。「え、迎えに来てくれたの?」「そうだよ。お前、全然オレの言う事聞かないんだもん。ほら、雨スゲー降ってんじゃん。」そう言って信長は笑った。普段は私の言動に、ブーブー文句を言うのに、ホントに助けてくれる時は、絶対に何も言わない。笑って見過ごしてくれる奴なのだ。傘を広げたら信長が話しかけてきた。「晩飯だけど、何作るか分かんなかったから、米しか炊いてないぞ?」「はは、いいよ。確かまだ冷凍の鮭あったから、それ焼こ。作り置きのポテトサラダ、冷蔵庫になかったっけ?」「あ、それ、昼間、オレ全部食べた。」「嘘でしょ!?あれ、かなり作っておいたのに!?」「だって、お前のポテトサラダめっちゃオレ好きだもん。」そう言われると、もうこれ以上信長を咎めることは出来なくなった。嬉しいけれどすぐに嬉しさを顔に出すのもなんだかな、とむずむずさせながら「えー、じゃあ、コンビニでちょっとおかず買ってこうか?」なんて私は信長に言ってしまう。私も信長と等しく褒められると結構弱い。似た者同士の私達は、コンビニに寄って帰った。

    追記
    今朝、雨が降っていて、私の脳内にも降ってきた妄想。日常妄想愛好家としては、こういう会話をひたすらやりたいんですけど、共感してくれる人がいらっしゃったら嬉しいです。本当に。
  • 三井

    20210908(水)16:32
    バイトの私が、打ち合わせスペースで会議資料のホチキス止めをしていると、昼休憩を取り損なった社員の三井さんがコンビニ弁当を持って、ひょこっと顔を出した。「わり、休憩室まで行くのだりぃからここ使わせてもらうぜ?」私は頷いて、書類を片側に寄せて聞いた。「三井さんはいつもコンビニなんですか?お昼。」「あー。時間無い時はな。多少時間ある時は、事務所近くの定食屋とか行くけど。」「私、いつもお弁当持参なんで、この辺りのお店、知らないんですよね。」私はパチン、パチンと書類を留める手を止めずに黙々と仕事を進める。「そういや、飲み会とかもあんま来ないよな。」「え、行っていいんですか?でも私、バイトなんで皆さんと仕事終わりの時間が違うんですよ。」「そうだよなあ。いきなり、残業終わりとかで今日飲み行くか、ってなるもんな、うちの部署。」三井さんはもぐもぐとお弁当を噛み砕きながら、最後にお茶で流していく。「じゃ。」そう言って、三井さんはスマホを私の前に出した。「え?何ですか、、、?」「え?ほら番号。今度誘うって、飲み会。」三井さんは営業マン。他人との関係を構築するのに慣れているのが、スマホの操作にも現れていた。こなれているのだ、なんか色々と。「あの、三井さん、今私、スマホ持ってないんです。ロッカーに入れたままで。また今度で。」私はニコっと笑顔を作って答えた。どうせ飲み会だって社交辞令だろうし、スマホが手元にないのは事実だし、有耶無耶にしてこの話は流してやろう、そう私は思った。「あ、そう?じゃ、電話番号言って。」「え?」懲りない。この人、ホントに懲りない。仕方なく電話番号を伝えた。聞き取りながら三井さんは自身のスマホをタップしていく。「彼氏いんの?」うわ、そういう質問、容赦なくしてくるタイプ?私、三井さん苦手かもしれない。「い、いないですけど。」私はもう完全に身構えてしまった。「おっしゃ。誘お。」三井さんはお弁当をガサガサとゴミにまとめて、席を立つ。去り際に三井さんが私の顔と手元を交互に見て言った。「手、止まってるぜ?んじゃ、おつかれー。」そう言われて、私はゴホンと咳払い。書類を何度かホチキスの位置を確認したりするフリをした。うわ、ありえない、三井さん。なんて言いたいところだが、顔はめちゃくちゃタイプ。初めて見た時から。悔しいけど白状しよう。そして私は、この後トイレに行くフリをして、ロッカーのスマホを取りに向かった。

    追記
    最後まで諦めない男には、こういう一面もあったらいいなと思うんだけど、これは私の行き過ぎた妄想かな。
  • 20210908(水)08:27
    蝉の鳴き声を文字に起こすなら、ジーワ、ジーワ、だ。蝉がミーンと鳴くなんて嘘だ。濁音の擬声語で不快に夏を主張してくる。「うー、暑っ、、、焼け死ぬ、、、!」あまりの暑さに額の汗を拭う昼休み。自販機でジュースを買って、教室に戻ろうとした矢先、外階段でアイスを食べていた牧に遭遇した。おそらくすぐそこの売店で買ったのだろう。「わ、アイス食べてる。」私が声を掛けると、牧はこちらを向いた。暑がりなのか、制服のボタンは上から三つほど開いており、ほかの子よりも濃い褐色の肌を露出させていた。牧は大人っぽい。老け顔と言えばそうなのかもしれないけど、物腰の柔らかさとか、仕草とかが落ち着き払っているせいもあるのだろう。だから牧が、汗だくでアイスを齧って、制服のシャツを乱して広げていたとしても、それが全然だらしなく見えないのはちょっとズルいと思った。「牧〜、フェロモン出しすぎー!前、はだけすぎだよ!」と私はふざけて笑った。牧は「、、、そうか?」と聞いて、自分の制服の着こなしを見返していた。「誰がココ通るか分かんないんだから。牧のそのカッコ、それ、もはやセクハラだからね。」そう言って私は通り過ぎようとしたのに。牧は私の忠告を真摯に受け止めてしまったらしい。「わかった。これ持ってろ。」と、牧は自分が食べていたアイスを、私の口に突っ込んだ。え?え?とビックリしている間に、牧は制服のボタンをかけ直し、「これでいいか?」と、私の口からアイスを取り返しながら聞いてきた。牧はどっちかっていうとクラスでは優等生だ。そんな牧が、私の口にアイスを突っ込んで、何も言わないでまた齧る。その行動は予想していなかった。やたら私には野生的で歪んで見えた。私はアイスの形に開いたままの口で、蝉みたいに繰り返し鳴いた。「ぎゃー!なんかエロくない!?エロくない!?ぎゃー!」「、、、ちゃんとボタン締めただろ。」「そこじゃない!いやっ、も、無理!ぎゃー!!」「暑苦しいな、静かにしろよ。」ミーンと可愛く鳴けない。汗だくの私の濁音の叫びは、私の頬も熱くした。

    追記
    牧君は高校生をしてて欲しい。子供っぽいとか、大人げないとか、そういうのが(も)好きです。
  • 三井

    20210907(火)19:02
    「ねぇ、みっちゃん。花火やりたい。」飲み会の帰り道、私は唐突に提案した。半袖は着てるけれど、もう秋の気配がすぐそこに。「はぁ?花火なんてもう季節終わってるよ。どこにも売ってねーって。」「じゃあ、探す。」「はぁ?ちょ、ちょちょちょ。待てって。」みっちゃんの静止を振り切って私は駆け足でコンビニに入って行った。今夜は、飲み友達のみっちゃんを中心に何人か呼び掛けて居酒屋に集合した。一人、二人と私が引き留めてもみんな「ごめんね」と言って、お金を置いて帰って行く。最後まで残ったのはみっちゃん。お開きになった後の私の提案に、みっちゃんは渋々付き合ってくれるから良い奴。コンビニを回り、四軒目。24時間営業のスーパーでようやく、半額シールの貼られた小さな花火セットを手にした。「ほら、見つけた。やったね。」「何してんだろ、オレら。」みっちゃんが心底疲れた、という溜息と共に私から花火セットを奪ってレジに向かう。「いいじゃん、こういうの。青春っぽくて、私好き。」「青春って歳じゃねーだろ。」そう言って、みっちゃんは、チータラとワンカップ酒も一緒に購入するから、青春を台無しにする。

    追記
    いい加減に終わらせてしまったのは、いつかちゃんと終わりまで書こうと、途中で閃いてしまったから。
  • 花形

    20210907(火)12:47
    中学まではずっと「健司君」ってみんなが呼んでたから、私も健司君って呼んでたの。いや、実際に、健司君、と声を掛けて話をする機会なんて、中学三年間で五回、、、いえ、ごめんなさい、話を盛りました。四回です。だけど私はその四回を大事に大事に胸にかかえて、健司君と同じ翔陽高校へ進学した。高校では健司君は瞬く間に有名人になったし、男女問わず、フジケンって呼ばれるようになった。一部の女子は陰で藤真王子って呼んでるけどさ。
    「花形君は苗字呼びなんだね。」私は社会科準備室で、棚の上にある世界地図に手を伸ばす花形君に話しかけた。背が高いという理由だけでこういう役を押しつけられる花形君が、「藤真のこと?」と聞くから私は頷いた。「、、、別に何て呼んでもいいと思うけどな。そういうこと気にしないだろ。あいつ。」花形君は私に「そっち、持って。」と掛軸みたいに巨大な巻物の端っこを支えろと言ってきた。「うん。」教室へ戻る途中で、藤真君のクラスの前を横切る。前を歩く私に花形君が「ストップ。」と声を掛けて足を止めさせた。「おーい、健司君。」廊下側から花形君は教室にいる健司君を呼び止める。健司君が近付いてきたら、私の心臓も急に騒がしくなる。「何だよ、その呼び方。」「フジケンって呼んだ方が良かったか?」「だから何なんだっつの。別に何でも良いよ、呼び方なんて。」「じゃ、監督。」「それは何か嫌。」はー、アホくさ、といった顔をした健司君が「次、世界史?」と私に気付いて尋ねた。私は「うん。」としか答えられないで、花形君の後ろに突っ立っているだけだ。予鈴が鳴ったから、私達は足早に廊下を去る。「な?気にしないって。」花形君は私の遙か頭上から言った。「そもそも、まともに喋れないよ。中学の頃はまだもう少し行けてた気がするんだけど、、、。」「行けてたって何だよ。笑わすなよ。」「健司君って好きな人いるの?」「どうだろね。」「花形君、また私の話聞いてね。」「どうだろね。」そう言うけど、なんだかんだで花形君はいつも私を気にかけてくれるから、つい甘えてしまうのだ。

    追記
    結果、花形君とくっつくパターンは、あると思います。
  • 流川

    20210906(月)17:23
    「お昼、何食べたい?」と私は冷蔵庫の扉を開けて、私の家に泊まりに来ている楓君に聞いた。親同士が昔からの友達で。私のお兄ちゃんと楓君が同じ歳で。親達は毎年恒例の温泉旅行に行った。これまでは親の旅行について行くしかなかった我々子供達も、塾に部活にバイトにと各々予定がある。よって今回から子供達は家で留守番をすることとなり、楓君も今日と明日はうちで過ごすことになった。とはいえ、私は中学生だし、お昼ごはんに作れるものなんてたかが知れてる。
    「キャベツ。」私の質問に、楓君は無表情で言った。「え?」まさかのメニューではなく食材指定。私は冷蔵庫にキャベツなんて入っていたっけ?と探し始める。「なんでキャベツ?」しゃがみこんで冷蔵庫の野菜室を覗き込みながら楓君に尋ねた。「何食べたい?って聞かれてテキトーに言うと親が怒るし。だから食材で答えるようにしてる。これ無難。」楓君も冷蔵庫の野菜室を前に、私と一緒になってしゃがみ込んだ。「なるほど。確かにうちもいっつもお母さんがお父さんや、お兄ちゃんが「なんでもいい」って言うと怒ってる。あはは!あれ?そういえばうちのお兄ちゃんは?」私はリビングを見回した。「二階で寝てるから、オレだけ降りてきた。」「あ、そう。じゃあ、お兄ちゃんの分は別に作らなくっていいか。でも楓君、私、キャベツの千切りしかできないよ?あとは冷凍ピラフ、チンでいい?」野菜室からキャベツを取り出した後は、冷凍庫からピラフの袋を雑に取り出した。楓君は特に何も言わないから、お昼のメニューは私の言った通りでどうやら構わないらしい。
    私がキッチンでキャベツの千切りに取り掛かると、疑うようにして腕組みをした楓君が隣に立つ。「千切りできんの?」そ、それくらい出来るわよ、と反論しようとしたら思ったより顔を上げないと楓君と目が合わない。「、、、背、高いよね、楓君。」見上げた私は感想を述べる。一つ上の楓君は、高1なのに190センチ近い。「まだ伸びてるの?」「未だ成長期。」腕組みしたまま楓君は言った。「へぇー、成長期。私はもう止まっちゃったかも。」と会話する私の手元を見ながら、楓君はまた一言「キャベツ。」と言った。「え?キャベツ?」「デカくなるらしい。」「何が?身長が?」会話の先が見えなくて私は楓君に問う。「それ。」と私の胸を指差して答えた。「楓君、、、ひどすぎる!べ、別に楓君には関係ないもんねー!」「ちょ、包丁。あぶねー。」楓君は私のことなんて、なーんとも思ってないからそんな事が言えちゃうんだ。思春期の私にはダメージ大だったけど、お兄ちゃんとケンカした時にだって悲しいかな言われ慣れてる。全くもって気にしてないんだから、と楓君を無視して食事の準備をすすめた。
    この後、キャベツの千切りをおかわりする私を見て、楓君はめちゃくちゃツボに入ったみたい。「気にしてんじゃん。」と、普段全く笑わないくせに、私から顔を背けて珍しく肩を震わせていた。ひとしきり笑った後に楓君は私と目を合わせた。口角をあげた楓君に、ちょっとだけ私の無いはずの胸が揺れたのは気のせい。

    追記
    「何食べたい?」と聞かれて広げた妄想でしたが、夢小説として仕上げれば良かったと今更。
  • 三井

    20210906(月)12:45
    「お昼、何食べたい?」と私は冷蔵庫の扉を開けて、一緒に生活している寿に尋ねた。ソファを一人で陣取って座る寿は、昼の情報番組はつまんねーな、とか独り言のようにブツブツ言っては、リモコンでチャンネルを次々に変えている。なんでこう、テレビの視聴ですら我慢できない性格なんだろう。「ねぇ、聞いてる?お、ひ、る!どうする?」私はもう一度、寿の後頭部に向かって聞いた。「あー?なんかガッツリしたもん。」そんなざっくりイメージで答えられても。さっき見ていた情報番組で豚カツ特集をやっていたから多分それに影響されていると見た。ホント単純。
    寿と相談するより、冷蔵庫と相談した方が早いな、と思い直して材料をいくつか見繕ってキッチンへ。調理スペースを確保するために、私は朝洗っていたお皿を片付けるところから始めた。
    「ガラスコップのさあ、茶渋と水垢が全然取れないんだよね。」目についたコップを掲げて、私も寿のように独り言として言ったつもりだったんだけど、寿は私の方を振り向いて「何て?」と聞き直してきた。多分見たいテレビ番組がザッピングの結果、無かったからだろう。「だから、コップ。水垢凄く気になるの。キレイにする方法調べたいんだけど、スマホで何て検索したらいいと思う?」こんなことを寿に尋ねるつもりは毛頭なかったが、昼ごはんの話題くらいしか残ってない私達なので、私は会話を続けた。寿はテレビのリモコンを手にしたまま答えた。「そんなの"コップ ピカピカ"だろ?」寿の単純さを物語るかのような、たいそう貧弱なキーワードを出してきたもんだから、私は「ピカピカてwww小学生の語彙力w」と、キッチンに座り込んでゲラゲラと笑ってしまった。ちょっと可愛らしいところもある寿は、私に笑われて恥ずかしくなったのか「うるせーな、、、」と呟いた。

  • 水戸

    20210905(日)17:20
    「お昼、何食べたい?」と私は冷蔵庫の扉を開けて、先程我が家にやってきた洋平に尋ねた。「なんでもいいよ。」と既にスウェット姿に着替えた洋平は答えた。束縛してくれない、と思った。自由すぎるのだ。優しいのと、好きにさせてくれるのはちょっと違う。ただ、お昼に何を食べたいかを尋ねただけだったのだが、洋平の回答は私の心にある雫を落とし、日々の洋平に対するひっかかりの波紋を広げた。洋平は答えをくれない。今日もこうして、何でもいい答えと、何でもいい会話で一日が終わるのだろう。バタン、と私の気持ちにも蓋をするように、冷蔵庫の扉を閉めたら、その後ろを洋平が通り過ぎる。気が付けば、換気扇の真下で洋平がタバコを咥えていた。「え?何だよ、睨むなって。ちゃんと言われた通り換気扇回してんじゃん。」と、胸ポケットからライターを取り出そうとして、違うものが入っていたことに気付いたらしい。「あ。ほら、これやるよ。」洋平は、ひょいっと下から上に何かを放り投げる。咄嗟に私は両手でキャッチ。私に向かって弧を描いて飛び込んできたのは、小さなキャラメル箱だった。どうやら、いや、間違いなく午前中に行ってきたらしいパチンコの余り玉で交換したやつ。「勝ったの?」と聞いたら、「ボロ負け。すっからかん。」そう答えると、タハハと笑いながら、洋平はタバコを吸った。「勝ってたら、そのキャラメルが指輪に変わってたんだって。ホント、ホント。カッコ良くね?どう?そのシチュエーション。」そうやってすぐ調子良いことを言うんだから。「今日、お昼、素麺ね。」私は洋平の言葉を無視して鍋に火をかけた。でも、言うことは言っておこう。ねえ、洋平、と声を掛けてから、私は洋平の正面に立ち、左手の甲を掲げた。「待ってまーす。」洋平はちょっとだけ目を見開いたように見えたけど、すぐにタハハ、と笑って頭を掻いた。
    「ってか、洋平がパチンコとタバコ辞めたら買えるでしょ。」「何?今日、圧凄くない?」素麺をすすりながら私達はいつもこんな会話をしてる。

    追記
    いつかこんな夢小説書くんだ、オレは!と思ってます。
  • 湘北

    20210905(日)17:10
    湘北メンバーで年末の鍋会。仕事もあるので、集まれる人だけでやる。「ほんっと最近益々可愛くなったんすよね、うちの嫁。お前、どうした!?って思う。浮気してんじゃねーかな。」って、鍋を突きながらリョータが愚痴る。缶ビール2本で更に加速した。「でもね?夜寝てるとき誘ったら裏拳が、こう、ガツってくるわけっすよ。でもオレだってまだ28だし?男の子だし?、、、うーん、やっぱ浮気してんじゃねーかな。」と嘆いた。それを正面に座る花道が「ぶははははは!」と手を叩いてウキャウキャ言っているのを、「こういう類になるとテンション上がるのやめんか!」と赤木が声を上げた。リョータが言った。「おい、花道、笑い事じゃねーよ!ホラ、三井サン、見てこの写真。うちの嫁、めっちゃ可愛いでしょ?」肘で三井さんをつついて、スマホを見せてくるリョータに「おー、可愛いな。」とさほど興味はないがスマホを覗くミッチー。「いや、あげないからね!?」とリョータがスマホを裏返して自分の方に寄せて引っ込めた。「はいはい。」と酔っ払いのリョータを相手にしないミッチーは、「赤木、肉追加。あとネギと白菜も入れろ。」と卓上コンロのつまみを捻り、火加減を確認しながら言い、赤木も冷蔵庫から肉を取り出すついでに、缶ビールもテーブルに置いた。「酔っ払ってんな、リョーちん!全然飲んでねーくせに!ガハハ!」と笑い転げる花道を無視して、先輩のミッチーと赤木キャプテンが鍋を仕切ってくれる。

    追記
    ミッチーは卓上コンロの火加減気にしそうだと思いました。
  • 三井

    20210904(土)20:12
    お盆の時期はみんな帰省している。高校時代同じクラスで、仲が良かった赤木君と木暮君とこの時期に会うのももう恒例。久しぶりの今夜は地元の焼肉屋に集合となった。「絶対、酒飲むつもりで来るから、あいつ。帰りは私に送らせる気だよ。」「はは、そうなの?」私のこぼした言葉に、目の前でおしぼりを掴む木暮君が笑った。「だって、さっき連絡来たもん。「車だよな?」って。自分も車で来て代行でも何でも呼べばいいでしょ!?ムカツク〜!」私はウーロン茶を生ビールのようにゴクゴクと飲んで、続けた。「そもそもさあ、あいつ、外では普通にビール美味いとか言って飲んでるけど、「ぶっちゃけ、ビールよりコーラの方がうまくね?」とか言って家ではコーラ飲んでるような奴だからね!?色々おかしくない?ねぇ、赤木君、ちょっと聞いてる!?」「、、、おい木暮。こいつ、もう酔ってるのか?」腕組みをした赤木君が隣の木暮君に尋ねる。「ははは。ウーロン茶で?さあ、どうだろ?さてと。先にいくつか注文しといていい?盛り合わせも頼むけど、他にタンとハラミ、、、いやー、でももうそんなガッツリ食べれる歳でもないかな。あ、三井は後から好きなもの注文させるか。」木暮君からその名前を聞いて、私は益々ヒートアップする。「あのね、木暮君。あいつ、鶏のムネ肉とモモ肉の違いも最近知ったのよ?!少し前に焼肉行った時も、タン、モツ、それ以外、とかいう理解で肉焼いてたし。カルビと白米だけ与えておけばいいってば。」とメニューを指差して強く主張する私の頭を、「オイ。」と軽く小突いたのは、少し遅れてお店に到着した三井寿だ。仕事で遅くなると聞いていたが、早めに切り上げられたらしい。「え?何?こいつ、まさか飲んでんの?」私の隣に座るくせに、寿は私を無視して正面の赤木君と木暮君に聞いた。「ウーロン茶一杯だ。店着いてから、三井の文句しか言ってない。」赤木君は呆れつつも笑って答え、寿はそれを聞いて言った。「うわ、なんかそれ毎回じゃね?、、、で?」と、ふざけた笑顔でようやく私を見た寿が覗き込む。「、、、で?って?」私は言いたい事を色々飲み込んで隣の寿に聞き直す。「いやいや、そうは言っても、ってやつでしょうよ?」と偉そうに言って、すぐさま正面の二人の方を向く。「あ、実はな、オレら二人も会うの久々なんだよ。ここんとこずっとオレ、休日出勤でこいつと休み合わなくってな。」なんて私達の事情を寿は赤木君と木暮君に説明した。「とゆーことで、久しぶり。」と寿が私の方を向いて、ニカッと笑いかけた。ようやくまともに目を合わせると感情がバカになる私は、「あー!好きぃぃ〜〜!!久々見たけど、今日もかっこ良すぎぃ〜〜!!!」と、テーブルに突っ伏しながら叫んだ。私を指差してゲラゲラ笑う彼氏の寿と、「何を言っとるんだ、こいつは。」とアホらしくなっている赤木君と、「肉、そろそろ注文していいかな?」と苦笑する木暮君に囲まれて。

    追記
    三井寿のこととなると感情がバカになる夢主が好きです。そして三井寿のこととなると長文妄想になるのは、私の感情もバカになっているせい。
  • 三井

    20210904(土)06:45
    ミッチーと付き合って初めて手を繋いだ。ずっと、ずっとバカを言い合える友達だったのに、急にミッチーが知らない男の人みたいに思えた。緊張と興奮で「待って待って。うわ、私ったら手汗すごい。恥ずかしい!」と心臓の音を掻き消さんと大きな声を出した。だってなんだか、いつもの私達じゃないみたいなんだもん。私はミッチーの服でゴシゴシと手汗を拭った。「なんでオレので拭くんだよっ!」とミッチーがバカにしたように突っ込んだ。あは、あはは!へへへ!なんて照れ笑って誤魔化すだけの私。ミッチーは何も言わずに私を見つめてくる。ミッチーの視線は私の気持ちを誤魔化すことを許してくれない。私は正直に告白した。「だ、だって、、、ミッチーが初めての彼氏なんだもん。ど、どうするのが正解か分かんないよ、、、。」私は熱い頬を両手で押さえ、下を向いた。ミッチーは私の隣で、はあぁ、と大きくためたような息を吐いたのが分かった。呆れられちゃったかな、と私に不安の気持ちが生まれるより早く、一瞬で腰に手を回されてミッチーにグイっと引き寄せられた。ミッチーの声がいつもより耳元に近く届く。「全部正解だよ、もう。」「、、、呆れてるの?」「正解っつってんだろ。あー、かわいい。好き。どうしよ。オレ、こういうのあんま言わないのに。」そう言って、今度はミッチーが両手で自分の顔を覆って下を向いた。

    追記
    私の考えるミッチーは、あまり照れ屋じゃないんです。結構はっきり言っちゃう。そして女子っぽく恥ずかしがって欲しい妄想。
  • 三井

    20210903(金)20:05
    ただの先輩と後輩、だと思っていた。湘北高校時代、バスケ部でマネージャーをしていた私は、卒業したある時期から三井さんとよく遊ぶようになった。単に地元に残ってた三井さんの一個下の後輩が、宮城君と私くらいしか居ないからだろうけれど。今日も宮城君に呼び出されては、目的もなく私達三人は車でドライブだ。「とりあえず江ノ島方面。」助手席の三井さんが指示して、運転手の宮城君が「ういーす。」と返事をした。私は後部座席に乗り込んだ。もうすぐ秋だというのに、134号線は未だ夏の匂いがした。カラフルなパラソルを横目に「今年は海行かなかったなぁ。」と私が呟くと「は?お前、泳ぐつもりで行かねぇだろ?」「それ、ナンパされに行くってことですか?やだ、三井さんじゃあるまいし。」私が反論をするとすかさず運転手の宮城君が口を挟む。「いやいや、三井さんはね、ナンパとか出来ねぇからw」「おい!宮城!」最後は三井さんが叫んで、私達は笑う。私達の車内は高校時代の体育館を思い出させた。
    「腹減ったから、なんか食べてくかー」と助手席から三井さんが私と宮城君に話しかける。「何系行きます?車停めれっかな、どこも混んでんなー。この辺シャレた店多いから。」とハンドルを持つ宮城君は赤信号で停車すると同時に言った。二人の間を陣取る私は、後部座席から「吉牛とか丸亀どうですか?私、好きなんですよ!」と明るく話しかけた。江ノ島は県外ナンバーの車が多くって観光客だらけ。自分が少し背伸びをしているみたいで気が引けた。三井さんは私の学生みたいな提案に「な?ほら宮城、オレ、こいつのこういうとこ好き。」と気安く言った。「オレはアヤちゃんとだったらどこでもいいんだけどなー。アヤちゃん、、、。」「宮城、今、そういうのいいから。」「もー、三井さん冷たいっす!」続く三井さんと宮城君の会話は、もう頭に入ってこなくなった。ただの先輩、後輩だと思ってたのに、三井さんの「好き」という言葉と声は、私の意識を変えるには十分な威力があった。三井さんの「好き」には深い意味はない事も十分に理解してる。だけど遠慮がない。ほんとに遠慮がないのだ、三井さんは。まだちょっとドキドキしてる。
  • 20210902(木)23:00
    偏頭痛持ちの私は、すぐに頭痛薬を口にする。外出先なんかで、頭の奥の奥でモヤっとした気配を感じると、カバンの中からポーチを取り出さずにはいられない。ポーチのファスナーを開く私に気付き、彼氏の南がそっと私の頭を撫でながら聞いてきた。「またか?」「んー、なんか嫌な予感するから先に飲んどこうかと。」ポーチの中にはいつも頭痛薬を入れている。お守りみたいなものだ。「あんま飲みすぎると効かんようになるで。薬をフリスクみたいに食べんなや。」「フリスクみたいってなんやねん。頭痛薬、そんなボリボリ食べてへんよ。おかしいやろ。ヤバい奴やん。私、何者やねんwww」南の言葉に笑いながら、カバンの中から飲みかけのファンタのペットボトルを取り出した。「、、、もしかして、それで薬飲むつもりか?」「へ?そやけど?」「水!水で飲め!アカンて、それは!」必死な形相で南が私のペットボトルを奪い、叱ってくる。実家が薬局の南にとっては、この行為は絶対に許してはならないらしい。「なんで炭酸やねん、アホか。これで飲め。」そう言って、自分のカバンからミネラルウォーターのペットボトルを取り出した。南はご丁寧にキャップをひねって、すぐに私が飲めるように渡してくれた。まだ口を付けていない買ったばかりのペットボトルだということが、パキュ、とキャップをひねる音で知らされる。口は悪いけれど、南は私に優しい。私が偏頭痛持ちだと知ってからは、南はいつもデート前にコンビニに寄って、こうして水を買っておいてくれる。
  • 流川

    20210902(木)19:20
    楓はテンションが低くて朝は何も考えられない。ボーっとしているせいか、お風呂場ではシャワーのお湯と間違えて水を出しちゃって、驚いて仰け反ったみたい。その反動で棚のシャンプーやボディソープが、ガッシャーン!ガン!ゴン!と音を立てて床に落ちてしまったようだ。お風呂場とくっついた洗面所で、朝の支度をしていた私は、そのけたたましい音にビックリして、お風呂場を覗いた。なかなかの惨状で、しゃがんでる楓に声を掛けた。「何!?すごい音したけど?だ、大丈夫?」「、、、何でもねー。」楓が、落としたシャンプー達を元ある位置に一つ一つ戻していくその仕草が、ため息混じりで笑ってしまう。
    楓がシャワーを浴びたら朝食だ。「はい、コーヒー。」私は淹れたてのコーヒーを楓の前に置いた。「ドーモ。」一応、応答はするから目覚めてはいるらしい。楓は食卓に座り、テレビから流れるお天気ニュースをボーっと見ながら、いつもの動作でマグカップに口をつける。楓は自分が猫舌だったのも忘れて、毎朝ホットコーヒーの熱さを見誤るのだ。やっぱり今日も、「熱、、、っ。」と低い声で唸った。明らかに不機嫌を乗せたその声に、「楓って実はドジだよね〜。」とコーヒーを片手に私は感想を述べて、パンを齧った。楓は一瞬目を合わせたが、私の指摘はまるで無視して、「今日、昼から雨らしー。」とマグカップに息を吹き掛けながら話題を変えた。本人はいつもクールにやり過ごしているからバレてないと思ってるだろうけど、私にはバレバレだ。

    追記
    流川君はクールドジ男子という私設定があります妄想。
  • 越野

    20210901(水)20:58
    東京出張のついでに、東京暮らしの仙道君を誘って東京観光をする越野君。展望階に着くや否や「うお、思った以上にスカイツリーたっけぇー!」とテンション高めに声を上げた。「オレも初めてなんだよなあ、スカイツリー。」と腕組みをしながら下界を眺めるのは仙道君。「えっ、お前、彼女と来たりしないの?」「行かないよ、人多いし。あ、彼女に今日越野と行くって言ったらキレてた。彼女も行った事ないんだって。」「えー、オレ嫌われるじゃん。仙道、彼女と長いよな。年上だっけ。何歳?」「今年29。」「結婚すんの?」「ぶっちゃけ結婚する気ないんだよなあ。しなきゃだめかなあ。」「お前、それは相手の年齢的にも別れるって言ったら背中から刺されるやつだぞ。」「それはいやだ。おっ、これ彼女にお土産に買ってこ。」と、スカイツリーをかたどったペットボトルを手に取った。「それただの水だぞ!?仙道、それも刺されるやつ!」結局、仙道君は越野君のアドバイスは無視してスカイツリーのペットボトルを買ってしまう。帰りがけに一人であれこれと考えてしまうのは越野君。焦って心配し始めると止まらない。「こ、これも彼女に買ってけって。オレ、金出すから!」と、スカイツリーの真下で評判のお菓子を買って仙道君に押し付ける。
  • 三井

    20210901(水)19:10
    同棲中の寿との休日はイオンモール一択。都会に憧れつつも、結局車でピューンと行けちゃうし、食事も出来ちゃうし、何でも揃ってるし。「何なら映画でも見てく?」「今何やってんだっけ?」そんな会話を車内でしていたらもう駐車場に到着だ。エレベーターの三角のボタンを押してから寿が言う。「3階からでいいよな?」「うん。最後に1階で食料品ね。」車を降りて、エレベーターを待つ間の会話だっていつもこれ。何だかんだでまだ同棲を始めたばかりだし、二人で使うモノなんかは買い足しが必要で、週末は色々見て回った後、食料品を買って帰るのだ。
    渋々持たされるエコバッグとカートを押す寿を引き連れて、食料品コーナーを巡る。寿がこっそりポテトチップスをカートに入れるから、私が無言で陳列棚に戻した。「ちょ、あっ、もう、お前さぁ、、、」と、かすかに抗議の目をするも、私の前では強気に出れないのが寿だ。「どうせこの後、お酒買うんでしょ。分かってるもんね、私。そしたらまたおつまみも買おうとするじゃん。だったらポテトチップス要らないよね?太るよ?」「それはお前だろ。横から食べたいとか言って手を出すからだろ。」「は!?」「、、、いや、違っ、、、違くないけど。えーと、なぁ、早く酒んとこ行こうぜ。」急かされた私は、お酒コーナーの陳列棚をぐるりと見回して寿に尋ねる。「金麦で良いよね?」「何、そのお前の謎のサントリー推し。ってか、ビールつってんじゃん。」この会話もいつものやつ。分かってて聞いてるんだよ。「500、、、いや350でいいかぁ〜。だから6缶のやつ買っていい?」「まあ、いいけど。」私の許しが下りたので、寿は嬉しそうにカートに入れた。プレモルを。

    追記
    オチとかないです。ただイオンモールの広い店内で買い物したかっただけです。そして尻に敷かれてるミッチーを楽しむ妄想。