ノート

過去に呟いた短い妄想を少し肉付けしたまとめ。
いつか小説になるかもしれないし、ならないかもしれません。

記事一覧

  • 流川

    20210902(木)19:20
    楓はテンションが低くて朝は何も考えられない。ボーっとしているせいか、お風呂場ではシャワーのお湯と間違えて水を出しちゃって、驚いて仰け反ったみたい。その反動で棚のシャンプーやボディソープが、ガッシャーン!ガン!ゴン!と音を立てて床に落ちてしまったようだ。お風呂場とくっついた洗面所で、朝の支度をしていた私は、そのけたたましい音にビックリして、お風呂場を覗いた。なかなかの惨状で、しゃがんでる楓に声を掛けた。「何!?すごい音したけど?だ、大丈夫?」「、、、何でもねー。」楓が、落としたシャンプー達を元ある位置に一つ一つ戻していくその仕草が、ため息混じりで笑ってしまう。
    楓がシャワーを浴びたら朝食だ。「はい、コーヒー。」私は淹れたてのコーヒーを楓の前に置いた。「ドーモ。」一応、応答はするから目覚めてはいるらしい。楓は食卓に座り、テレビから流れるお天気ニュースをボーっと見ながら、いつもの動作でマグカップに口をつける。楓は自分が猫舌だったのも忘れて、毎朝ホットコーヒーの熱さを見誤るのだ。やっぱり今日も、「熱、、、っ。」と低い声で唸った。明らかに不機嫌を乗せたその声に、「楓って実はドジだよね〜。」とコーヒーを片手に私は感想を述べて、パンを齧った。楓は一瞬目を合わせたが、私の指摘はまるで無視して、「今日、昼から雨らしー。」とマグカップに息を吹き掛けながら話題を変えた。本人はいつもクールにやり過ごしているからバレてないと思ってるだろうけど、私にはバレバレだ。

    追記
    流川君はクールドジ男子という私設定があります妄想。
  • 越野

    20210901(水)20:58
    東京出張のついでに、東京暮らしの仙道君を誘って東京観光をする越野君。展望階に着くや否や「うお、思った以上にスカイツリーたっけぇー!」とテンション高めに声を上げた。「オレも初めてなんだよなあ、スカイツリー。」と腕組みをしながら下界を眺めるのは仙道君。「えっ、お前、彼女と来たりしないの?」「行かないよ、人多いし。あ、彼女に今日越野と行くって言ったらキレてた。彼女も行った事ないんだって。」「えー、オレ嫌われるじゃん。仙道、彼女と長いよな。年上だっけ。何歳?」「今年29。」「結婚すんの?」「ぶっちゃけ結婚する気ないんだよなあ。しなきゃだめかなあ。」「お前、それは相手の年齢的にも別れるって言ったら背中から刺されるやつだぞ。」「それはいやだ。おっ、これ彼女にお土産に買ってこ。」と、スカイツリーをかたどったペットボトルを手に取った。「それただの水だぞ!?仙道、それも刺されるやつ!」結局、仙道君は越野君のアドバイスは無視してスカイツリーのペットボトルを買ってしまう。帰りがけに一人であれこれと考えてしまうのは越野君。焦って心配し始めると止まらない。「こ、これも彼女に買ってけって。オレ、金出すから!」と、スカイツリーの真下で評判のお菓子を買って仙道君に押し付ける。
  • 三井

    20210901(水)19:10
    同棲中の寿との休日はイオンモール一択。都会に憧れつつも、結局車でピューンと行けちゃうし、食事も出来ちゃうし、何でも揃ってるし。「何なら映画でも見てく?」「今何やってんだっけ?」そんな会話を車内でしていたらもう駐車場に到着だ。エレベーターの三角のボタンを押してから寿が言う。「3階からでいいよな?」「うん。最後に1階で食料品ね。」車を降りて、エレベーターを待つ間の会話だっていつもこれ。何だかんだでまだ同棲を始めたばかりだし、二人で使うモノなんかは買い足しが必要で、週末は色々見て回った後、食料品を買って帰るのだ。
    渋々持たされるエコバッグとカートを押す寿を引き連れて、食料品コーナーを巡る。寿がこっそりポテトチップスをカートに入れるから、私が無言で陳列棚に戻した。「ちょ、あっ、もう、お前さぁ、、、」と、かすかに抗議の目をするも、私の前では強気に出れないのが寿だ。「どうせこの後、お酒買うんでしょ。分かってるもんね、私。そしたらまたおつまみも買おうとするじゃん。だったらポテトチップス要らないよね?太るよ?」「それはお前だろ。横から食べたいとか言って手を出すからだろ。」「は!?」「、、、いや、違っ、、、違くないけど。えーと、なぁ、早く酒んとこ行こうぜ。」急かされた私は、お酒コーナーの陳列棚をぐるりと見回して寿に尋ねる。「金麦で良いよね?」「何、そのお前の謎のサントリー推し。ってか、ビールつってんじゃん。」この会話もいつものやつ。分かってて聞いてるんだよ。「500、、、いや350でいいかぁ〜。だから6缶のやつ買っていい?」「まあ、いいけど。」私の許しが下りたので、寿は嬉しそうにカートに入れた。プレモルを。

    追記
    オチとかないです。ただイオンモールの広い店内で買い物したかっただけです。そして尻に敷かれてるミッチーを楽しむ妄想。
  • 湘北

    20210901(水)12:37
    部活帰りの湘北バスケ部。帰り道が途中まで一緒。先頭を歩く三井に、「ミッチー、何かおごってくれ。」と常に金欠の花道がねだった。花道の隣を歩くリョーちんが「おっ、あざっす、三井サン!そこ寄って行きましょ。」とポケットに突っ込んでいた手をさっと上げて、コンビニを指差した。三井が振り向いて二人に対して渋い顔をするものの「一人200円までだぞ!」と言うところに面倒見の良さが滲み出てしまう。「サスガ、ミッチー。金持ってるな。」「三井サン、こう見えて坊ちゃん育ちっすよね。小遣い多いし。」「だからグレたのか。」と、花道が呟くとリョーちんも同調する。「なるほど。だからグレた。」自分の背後で好き勝手に喋る後輩二人に、イラッとする三井はもう一度振り向きざまに冷たく言い放つ。「お前ら、、、もう奢んねー!帰る!」「ああっ!バカ花道!」「ス、スマン!ミッチー!」花道とリョーちんは、ドタバタバタと、間抜けな疾走音をくっつけて三井を追いかけた。なんとか謝り倒して三井の機嫌を回復させたものの、奢り額は減額され、次のコンビニで三井に「これ二人で分けろ。」とパピコを与えられた。
  • 三井

    20210901(水)06:40
    同じ大学に通う三井君と付き合うことになった。私の片思いだとずっと思っていた。それが昨日から彼氏だというから、まだ信じられない。たまたま水曜日の2限と3限は二人とも空いていて、ランチに出掛ける約束をした。フワフワした足取りで待ち合わせの大学の正門前に到着する。「み、三井君、お待たせ。」「おう。」「これが初デート、かな?」「あー、そゆことになるか。」私は照れてしまって、三井君の顔をまともに見れない。三井君も何となくだがいつもより口数が少ない。「あ、ねぇ、三井君、、、」私が話しかけようとしたら、三井君が遮った。「呼び方。」「え?」「なんかもっと他に無ぇの?決めよーぜ。オレ、下の名前で呼ぶわ。」先日まで三井君は私の事を苗字で呼んでいた。そんなにあっさりと切り替えられるものなのだろうか。私は長らく三井君と呼んでいたものだから、慣れるまでに時間がかかりそうだと訴えた。「はい!決まり!じゃあ今からな!」そんな私の訴えを全く無視し、私の名前を気安く呼んだ。「オレのこと、三井君って呼んだら罰ゲームな。」「そんなぁ〜。まだ私、三井君のこと何て呼ぶか決めてないのに〜。」あっはっは、と笑いながら私の肩をポンポンっと優しく叩いた三井君は、もう完全に彼氏の顔をしていた。

    追記
    ミッチーは照れたりしないで、実は切り替えが早くて、スパっと彼氏になってくれそう。他はダメダメでもいいから、こういうシーンは男らしくあってくれ、と願います。
  • 翔陽

    20210831(火)17:08
    「こないださ、営業先に高校ん時の同級生いたよ。」と少し騒がしい居酒屋で、生ビールのジョッキを静かにテーブルに置きながら話すのは長谷川一志。「え、誰?何組?」と焼き鳥を口に運びながら藤真は尋ねた。「いや、分からないし、喋ってない。でも多分あの子見た事ある。」「話しかけたらいいだろ。オレ、ハイボール行っていい?一志、次どうする?」と、空いたジョッキを指差しながら花形が喋る。「え、何て声かけたらいい?"翔陽高校でしたよね?同級生です"みたいな?あ、オレ、まだビールでいい。」一志の返事を確認し、店員を呼ぶ花形に藤真が割って入る。「花形、ついでにだし巻き玉子も食べたい。ってか一志、そういうのってたいてい向こうから話し掛けてくるもんじゃね?」と、藤真がメニュー表をテーブルの端に寄せながら言った。イケメンは何もしなくても女の子が勝手に寄ってくるのを、高校時代からずっとそばで観察していた高身長の二人は、もう腹の立て方も忘れてしまっている。「さすが藤真」とだけ言って、テーブルの串盛りに手を伸ばした。
  • 陵南

    20210831(火)15:47
    高校ジャージをなかなか捨てられない。大学へ進学しての長期休暇。地元を離れて進学した越野の一人暮らしのアパートに泊まりに行った。知らない土地で一人暮らしを満喫する越野が、ちょっとだけ大学生風をふかして、気取ってたのがイラっとしたけど、多分それはお互い様だろう。1Kに男三人の雑魚寝はちと狭いけれど、それにも増して風呂上がりのオレを見た越野の額が狭くなる。目を顰めてオレの格好に文句をつけてくる。「げっ、仙道、おまっ、陵南ジャージ持ってくんなよ!大学生にもなって!」「着心地良くない?陵南ジャージって。なぜか手放せないんだよ。」オレが笑いながら答えたら、「実はオレも。」って横から、陵南ジャージを自分のバッグからおずおずと取り出して見せたのは植草。「くそぉ、、、お前ら、、、」と、越野も実は毎日羽織ってる、なんて告白してきた。「これ、もう部活じゃん。合宿みてー。あっはっは!」笑ったオレに「高校まではな!今着てたらただのお揃いじゃねーか!」と顔を赤くして突っ込む越野。女子か。「なんか急に恥ずかしくなってきた、、、」と縮こまる植草。お前も女子か。そんな19歳くらいの夜。
  • 陵南

    20210831(火)14:53
    仙道君は出掛ける時、カバンを持って来ない。文化祭でバスケ部も部として催しに参加する。今日はその文化祭準備のために、備品の買い出しに行くことになった。メンバーは、マネージャーの私と、二年の仙道君と越野君。一年は彦一が付いて来た。
    待ち合わせの場所に、仙道君が遅れてやってくる。手には、コンビニのビニール袋をぶら下げて。「仙道さん!なんで財布もスマホもレジ袋に入れてはるんですかっ!」と彦一が聞いたら、仙道君はさも当たり前と言った風に答える。「コンビニでガムとかジュース買うじゃん。持ち物増えんのヤダから最初からこれに入れとけばいいやって。」「さすが仙道さんや!」何でも仙道君に憧れている彦一とは対照的に、隣にいた越野君は、仙道君のコンビニ袋を見ながら言い捨てる。「こういう無頓着な奴がモテるのほんと嫌。」越野君はそうやってうんざりするフリをするけれど、私は知っている。翌日越野君は部活にビニール袋を下げてやってきた。越野君はとっても男子高校生だから、何だかんだ言って、仙道君の真似をしておけば、モテるんじゃないかって思ってる。瞬く間に、男子バスケ部に、コンビニレジ袋ブームがやってきてしまい、田岡監督が不思議がっていた。