恋忘れ間に合えば(神)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おはよう、神君。」
「おはよ。今日は腫れてないね。」
「え?」
「苗字さんの、まぶた。」
隣の席の神君は、席に座る私を真っ直ぐに見て話しかけてきた。
「、、、だって、泣く理由ないもん。」
「そう。」
返事をした神君は一時間目の英語のノートに目を移した。手元のシャープペンシルをくるくると器用に回しながら。
***
「苗字さん、化学のプリント課題、今日の放課後までなんだけど。」
「えっ、うそ?!まだ終わってない、、、。」
「自分、今日日直だから先生に持っていくけど、待つよ。」
「神君、部活があるんじゃないの、、、?」
「日直の時は遅れても何も言われないし。」
と言って私に自分のプリントを見せてくれた。放課後の教室で、私はお礼を言って、せっせと書き写す。
「最近どう?」
「どうって、、、何が?」
プリントを書き写す私に神君の声がかかる。神君は私の前の椅子に腰掛ける。
「色々。」
「色々って何よう。神君は最近どう?」
努めて陽気なフリして聞いた。目は合わせない。
「ぼちぼち。部活、頑張っているよ。」
「、、、だったら良かった。」
「、、、本当にそう思ってくれてる?」
その問いに私は顔を上げる。神君は覗き込んで私の目を見る。くりっとした目が私を捉える。感情が読めない瞳で。その瞳の奥に映る私もどんな顔をしているのかよく見えない。私はなるべく無機質なトーンで話す。
「思っているよ。友達として。」
「そこ、強調するんだ?」
ボソりと呟く神君の言葉は聞こえないフリをして、私は話を変える。
「そういえば夕方から雨降るんじゃなかったっけ?天気予報。」
「どうだろう。」
神君は机に突っ伏した。
「あっ、ごめんね!あとちょっとだから、プリント!」
部活に行きたがっているんじゃないかと思い、詫びて、止まってしまっていた手を動かす。
「いいよ。ゆっくり。待つから。」
神君は優しく穏やかに私を見る。
***
こないだ全国大会に行くとかなんとかで、全校集会でバスケ部の県大会の優勝報告と激励会が行われた。そこで、三年の牧先輩を見た友達が、牧先輩、かっこいいんだけど!と騒ぎ出したので、放課後にバスケ部の練習を見学することに付き合わされてしまった。体育館の二階に上がって、手すりに寄りかかる。似たような子達がわらわらとギャラリーになって体育館を賑やかにしている。一年生の子達から神君の話題が聞こえる。
「神先輩、カッコいいよね。ほら、あれ!」
思わずコートを走る神君に注目した。Tシャツの裾を持ち上げて汗を拭くと、引き締まった腹筋がちらりと覗く。神君って線が細いから、ヒョロっとしているかと思いきや、実は筋肉質なんだよなぁ。
翌朝、おはようの挨拶をするや否や、神君は隣の席の私に話しかけてきた。
「昨日、体育館にいたよね。」
「あ、うん。え?なんで知ってるの?」
「分かるよ。見えてた。」
神君はクスっと笑った。
「牧先輩をね、見てたの。カッコいいよね、大人っぽくて。」
「牧さん?あー、そっちか。」
「そっちって、、、ほかに誰だと思った?」
神君は自身の顔を指差して。
「自分。」
「神君?まさか。そういえば神君って一年生に人気みたいだね。隣の子達が騒いでたよ。」
「そんなこと、どうだっていいよ。」
「えー、もしかしたらその中に神君のこと本気で好きな子がいるかもしれないじゃん。」
神君はため息を少しだけ吐いて、頬杖をつく。神君は何か言いかけるが、担任が教室に入ってきて、朝のホームルームが始まったので、ここで会話は遮られた。
***
「ここしかサボれる場所知らなくて。」
そう言って壁際の長椅子に腰掛ける神君。ある日の五限目が始まる頃。神君に連れてこられた先はバスケ部の部室。
「苗字さんが、なんでそんな悲しそうな顔するの。」
神君は椅子に腰掛けたまま前傾姿勢で私に向かって呆れたような、悲しい顔を見せて私に聞いた。
「、、、してない。」
「またすぐそうやって、意地張る。」
この会話が始まる少し前の昼休み。神君が一年生の女の子に呼び出されていたのを見かけた。以前、体育館で神君のことを見ていた一年生だったから、ピンときてしまった。教室に帰ってきた神君と目が合った。合ってしまった。すぐに目を逸らしてしまったのがまずかったんだと思う。神君から話しかけてくる。
「、、、何?今こっち見てたよね。なんか言いたげ。」
「別に。、、、やっぱり神君、モテモテじゃん。」
「苗字さんには関係ないでしょ?」
限りなく近付いてくるくせに、一気に距離を取るところ。私は神君のこういうところが嫌いだった。そして追い討ちもかけるエグさも。
「自分が誰と付き合ったって、さ。」
ケンカをすると、いつもこうだった。結局神君は、優しい言い方で突き放し、私を傷付ける。同じ空間に居たくない。席を立つ。口の中が苦くなる。
「どこ行くの。もう五限目始まるよ。」
「いーの。サボるから!」
勢い良く飛び出した、というよりも逃げ出す私を神君は追いかけてきた。あっという間に捕まえられる。
「じゃあ自分もサボる。」
「えぇ?!、、、はぁ?!」
神君はそのまま私を連れ去ったのだった。私の手首を掴む神君の手が熱い。遠くから聞こえてくる五限目の始まりを知らせるチャイムは、私の胸の早鐘を打ち続けた。
***
「神君、授業サボったりするんだね、、、。」
「そっちこそ、、、。」
少し埃っぽくてカビくさい部室に二人の会話が響いた。、、、じゃなくて。世間話がしたいわけではなかった。私は神君から離れたかったのに。
「なんで?」
私は少しムクれて聞く。神君にイラ立っていたのは私の勝手な都合かもしれないけれど、それでも神君の行動は解せないから、抗議の意味も込めた。
「だって、苗字さん、泣きそうな顔してたから。」
「、、、。」
「泣かせるようなこと言ってごめんね。」
「、、、神君のごめんね、はもう信用しないことにしてるの。」
「友達でも?、、、友達でしょ、自分達。」
「、、、その確認要る?」
こうやってのらりくらりと本心を隠して会話するのが常だった。付き合っていた頃は神君が部活ばっかりで全然会えないことに私が怒りをぶつけた。神君は私の怒りを優しさで跳ね返す。のらりくらりと。私ばかりが。私だけが。相手を想う公平さを判断できなくて、その積み重ねに耐えられなかったのが私。神君はずっと神君で、私が別れたい、と切り出した時も、すんなりと受け入れた。ギリギリまで彼に抱いていた糸のように細く長い期待も、この時にぷつんと切れて、ああ、やっぱり私だけが好きだったんだ、と思った。
「「友達に戻りたい」って言ったのは苗字さんだよ。」
神君のことを本気で嫌いになった訳ではない。ただ付き合うとどんどん要求が強くなる自分も、それに合わせようと無理をする神君を見ることになるのが辛くて、私は逃げた。素直に神君を好きでいることが楽しくて、彼との日常に一喜一憂するような、彼を想うだけの私一人の時間に戻ろうとしただけだった。
「片思いの方が、楽しいもん、、、。」
「何それ。」
私は黙った。二人の間に沈黙が訪れる。
「こっちはしんどいよ。」
「え」
「、、、しんどいの。」
繰り返して言う神君の言葉を飲み込めない。
「苗字さんが片思いってことは、自分も片思いってことなんだよ。」
神君は椅子から立ち上がって、私との距離を詰めた。
「好きなのに触れられないってしんどい。」
私の手を取って指を絡める。その行動に胸が締め付けられた後、反動でビリビリと電流が身体中を走ったみたいに私は何も言えないで、ただただ硬直した。愛しさも後悔も、期待も恐怖も、好奇心や欲望も、私は自分の感情の濁流に押し流される。滲む視線の先に神君がいる。心と身体が一緒になって、外に飛び出そうと、鼻の奥がつーんと刺激されて、涙がこぼれた。認めざるを得ない。神君に触れられただけでこんなにも好きが溢れてくる。
「今、苗字さんと同じ気持ちってことでいいかな?」
私はコクンと頷いて言う。
「だけど、、、」
「ん?」
両手を繋ぐ神君に応えるように、手に力を入れて握り返した。
「私、すぐ神君が困るようなこと言うよ?」
「いいよ。言って。自分も苗字さんが困るようなこと、するから。」
「え?」
「ここ、座って。」
神君に促され、椅子に腰掛ける。その後ろに神君は座って、背中から抱き締められた。
「じ、神君、、、。」
「苗字さん、困ってるでしょ。」
「え!いや、困ってるっていうか、、、、。私の中では神君がこんなに大胆な人だとは、、、。」
「好きだから、出来る限り望む事は応えてあげたいし、それは自分だって同じ。もっと望んで良いんだって思い直すことにした。」
優しく包まれる感触は、神君の気持ちがストレートに伝わってきた。
「神君も我慢してた、、の、?」
「、、、も?」
「あ、いや、こういうことに対してじゃなくて、、、もっとこう、色々なことにだよ!」
「、、、色々って?」
深い意味はなかったのに、そこに意味を持たせようとする神君がいじわるな聞き方をする。
「神君のバカ、、、。」
「バカって、、、。ヨリ戻して早々にケンカするの?」
「、、、え。違、、、。」
「嘘。もう離さないからね。ホラ。」
そう言って、強く抱き締められる。神君の手と足で作られる空間にすっぽりと収まる。それはもうずっと前から私の居場所だったかのように。
「おはよ。今日は腫れてないね。」
「え?」
「苗字さんの、まぶた。」
隣の席の神君は、席に座る私を真っ直ぐに見て話しかけてきた。
「、、、だって、泣く理由ないもん。」
「そう。」
返事をした神君は一時間目の英語のノートに目を移した。手元のシャープペンシルをくるくると器用に回しながら。
***
「苗字さん、化学のプリント課題、今日の放課後までなんだけど。」
「えっ、うそ?!まだ終わってない、、、。」
「自分、今日日直だから先生に持っていくけど、待つよ。」
「神君、部活があるんじゃないの、、、?」
「日直の時は遅れても何も言われないし。」
と言って私に自分のプリントを見せてくれた。放課後の教室で、私はお礼を言って、せっせと書き写す。
「最近どう?」
「どうって、、、何が?」
プリントを書き写す私に神君の声がかかる。神君は私の前の椅子に腰掛ける。
「色々。」
「色々って何よう。神君は最近どう?」
努めて陽気なフリして聞いた。目は合わせない。
「ぼちぼち。部活、頑張っているよ。」
「、、、だったら良かった。」
「、、、本当にそう思ってくれてる?」
その問いに私は顔を上げる。神君は覗き込んで私の目を見る。くりっとした目が私を捉える。感情が読めない瞳で。その瞳の奥に映る私もどんな顔をしているのかよく見えない。私はなるべく無機質なトーンで話す。
「思っているよ。友達として。」
「そこ、強調するんだ?」
ボソりと呟く神君の言葉は聞こえないフリをして、私は話を変える。
「そういえば夕方から雨降るんじゃなかったっけ?天気予報。」
「どうだろう。」
神君は机に突っ伏した。
「あっ、ごめんね!あとちょっとだから、プリント!」
部活に行きたがっているんじゃないかと思い、詫びて、止まってしまっていた手を動かす。
「いいよ。ゆっくり。待つから。」
神君は優しく穏やかに私を見る。
***
こないだ全国大会に行くとかなんとかで、全校集会でバスケ部の県大会の優勝報告と激励会が行われた。そこで、三年の牧先輩を見た友達が、牧先輩、かっこいいんだけど!と騒ぎ出したので、放課後にバスケ部の練習を見学することに付き合わされてしまった。体育館の二階に上がって、手すりに寄りかかる。似たような子達がわらわらとギャラリーになって体育館を賑やかにしている。一年生の子達から神君の話題が聞こえる。
「神先輩、カッコいいよね。ほら、あれ!」
思わずコートを走る神君に注目した。Tシャツの裾を持ち上げて汗を拭くと、引き締まった腹筋がちらりと覗く。神君って線が細いから、ヒョロっとしているかと思いきや、実は筋肉質なんだよなぁ。
翌朝、おはようの挨拶をするや否や、神君は隣の席の私に話しかけてきた。
「昨日、体育館にいたよね。」
「あ、うん。え?なんで知ってるの?」
「分かるよ。見えてた。」
神君はクスっと笑った。
「牧先輩をね、見てたの。カッコいいよね、大人っぽくて。」
「牧さん?あー、そっちか。」
「そっちって、、、ほかに誰だと思った?」
神君は自身の顔を指差して。
「自分。」
「神君?まさか。そういえば神君って一年生に人気みたいだね。隣の子達が騒いでたよ。」
「そんなこと、どうだっていいよ。」
「えー、もしかしたらその中に神君のこと本気で好きな子がいるかもしれないじゃん。」
神君はため息を少しだけ吐いて、頬杖をつく。神君は何か言いかけるが、担任が教室に入ってきて、朝のホームルームが始まったので、ここで会話は遮られた。
***
「ここしかサボれる場所知らなくて。」
そう言って壁際の長椅子に腰掛ける神君。ある日の五限目が始まる頃。神君に連れてこられた先はバスケ部の部室。
「苗字さんが、なんでそんな悲しそうな顔するの。」
神君は椅子に腰掛けたまま前傾姿勢で私に向かって呆れたような、悲しい顔を見せて私に聞いた。
「、、、してない。」
「またすぐそうやって、意地張る。」
この会話が始まる少し前の昼休み。神君が一年生の女の子に呼び出されていたのを見かけた。以前、体育館で神君のことを見ていた一年生だったから、ピンときてしまった。教室に帰ってきた神君と目が合った。合ってしまった。すぐに目を逸らしてしまったのがまずかったんだと思う。神君から話しかけてくる。
「、、、何?今こっち見てたよね。なんか言いたげ。」
「別に。、、、やっぱり神君、モテモテじゃん。」
「苗字さんには関係ないでしょ?」
限りなく近付いてくるくせに、一気に距離を取るところ。私は神君のこういうところが嫌いだった。そして追い討ちもかけるエグさも。
「自分が誰と付き合ったって、さ。」
ケンカをすると、いつもこうだった。結局神君は、優しい言い方で突き放し、私を傷付ける。同じ空間に居たくない。席を立つ。口の中が苦くなる。
「どこ行くの。もう五限目始まるよ。」
「いーの。サボるから!」
勢い良く飛び出した、というよりも逃げ出す私を神君は追いかけてきた。あっという間に捕まえられる。
「じゃあ自分もサボる。」
「えぇ?!、、、はぁ?!」
神君はそのまま私を連れ去ったのだった。私の手首を掴む神君の手が熱い。遠くから聞こえてくる五限目の始まりを知らせるチャイムは、私の胸の早鐘を打ち続けた。
***
「神君、授業サボったりするんだね、、、。」
「そっちこそ、、、。」
少し埃っぽくてカビくさい部室に二人の会話が響いた。、、、じゃなくて。世間話がしたいわけではなかった。私は神君から離れたかったのに。
「なんで?」
私は少しムクれて聞く。神君にイラ立っていたのは私の勝手な都合かもしれないけれど、それでも神君の行動は解せないから、抗議の意味も込めた。
「だって、苗字さん、泣きそうな顔してたから。」
「、、、。」
「泣かせるようなこと言ってごめんね。」
「、、、神君のごめんね、はもう信用しないことにしてるの。」
「友達でも?、、、友達でしょ、自分達。」
「、、、その確認要る?」
こうやってのらりくらりと本心を隠して会話するのが常だった。付き合っていた頃は神君が部活ばっかりで全然会えないことに私が怒りをぶつけた。神君は私の怒りを優しさで跳ね返す。のらりくらりと。私ばかりが。私だけが。相手を想う公平さを判断できなくて、その積み重ねに耐えられなかったのが私。神君はずっと神君で、私が別れたい、と切り出した時も、すんなりと受け入れた。ギリギリまで彼に抱いていた糸のように細く長い期待も、この時にぷつんと切れて、ああ、やっぱり私だけが好きだったんだ、と思った。
「「友達に戻りたい」って言ったのは苗字さんだよ。」
神君のことを本気で嫌いになった訳ではない。ただ付き合うとどんどん要求が強くなる自分も、それに合わせようと無理をする神君を見ることになるのが辛くて、私は逃げた。素直に神君を好きでいることが楽しくて、彼との日常に一喜一憂するような、彼を想うだけの私一人の時間に戻ろうとしただけだった。
「片思いの方が、楽しいもん、、、。」
「何それ。」
私は黙った。二人の間に沈黙が訪れる。
「こっちはしんどいよ。」
「え」
「、、、しんどいの。」
繰り返して言う神君の言葉を飲み込めない。
「苗字さんが片思いってことは、自分も片思いってことなんだよ。」
神君は椅子から立ち上がって、私との距離を詰めた。
「好きなのに触れられないってしんどい。」
私の手を取って指を絡める。その行動に胸が締め付けられた後、反動でビリビリと電流が身体中を走ったみたいに私は何も言えないで、ただただ硬直した。愛しさも後悔も、期待も恐怖も、好奇心や欲望も、私は自分の感情の濁流に押し流される。滲む視線の先に神君がいる。心と身体が一緒になって、外に飛び出そうと、鼻の奥がつーんと刺激されて、涙がこぼれた。認めざるを得ない。神君に触れられただけでこんなにも好きが溢れてくる。
「今、苗字さんと同じ気持ちってことでいいかな?」
私はコクンと頷いて言う。
「だけど、、、」
「ん?」
両手を繋ぐ神君に応えるように、手に力を入れて握り返した。
「私、すぐ神君が困るようなこと言うよ?」
「いいよ。言って。自分も苗字さんが困るようなこと、するから。」
「え?」
「ここ、座って。」
神君に促され、椅子に腰掛ける。その後ろに神君は座って、背中から抱き締められた。
「じ、神君、、、。」
「苗字さん、困ってるでしょ。」
「え!いや、困ってるっていうか、、、、。私の中では神君がこんなに大胆な人だとは、、、。」
「好きだから、出来る限り望む事は応えてあげたいし、それは自分だって同じ。もっと望んで良いんだって思い直すことにした。」
優しく包まれる感触は、神君の気持ちがストレートに伝わってきた。
「神君も我慢してた、、の、?」
「、、、も?」
「あ、いや、こういうことに対してじゃなくて、、、もっとこう、色々なことにだよ!」
「、、、色々って?」
深い意味はなかったのに、そこに意味を持たせようとする神君がいじわるな聞き方をする。
「神君のバカ、、、。」
「バカって、、、。ヨリ戻して早々にケンカするの?」
「、、、え。違、、、。」
「嘘。もう離さないからね。ホラ。」
そう言って、強く抱き締められる。神君の手と足で作られる空間にすっぽりと収まる。それはもうずっと前から私の居場所だったかのように。
1/1ページ