熟れるセピア(三井)
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みっちゃんと付き合い始めた。お互いに昔から知っている仲ではあったから、恋人として付き合うには、新鮮さがない。と思っていたのは、私だけだったみたい、、、?
「暑っ。もわっとしてんな、この部屋。」
「ちょっと待ってよ、今エアコン付けたから。」
高校三年生の夏休みである。受験生な私達は一緒に勉強しようということになり、駅前で待ち合わせてファミレスで数時間。ドリンクバーも飽きたし、と言われて気分を変えて、外に出てみたけれど、まだ夏も半ば。照りつける太陽とアスファルトからの跳ね返る熱に挟まれて、早々に外に居ることをギブアップした私達は、屋内へ避難した。まあつまり、どこへ避難したかというと、私の家なんだけども。あまりの暑さに脳みそも溶けたのか、この時、深く考えていなかった。みっちゃんが、名前の家行こーぜ、と言うし、二人がいた地点から近いのは私の家だったんだし。うん、いいよ、なんて素直に受け入れてしまった。結果、あれ?部屋で二人きり?実は初めて?気付いたのは、エアコンがゴオオーと勢いを上げて、強風を吐き出したあたり。
「今日、親いねーの?」
「平日だもん、仕事行ってる。」
「おっしゃ。」
、、、おっしゃ?わかりやすく心の中でガッツポーズしてたよね、今。これに突っ込むのは嫌な予感。変な空気になりそうな気がするから黙っておく。ついついギクシャクした動きの私に、みっちゃんが気付く。こういう時だけ勘がいい奴。
「お前、急に警戒し出したな。」
「、、、え?べべべ、別に?」
やば。声が上擦った。
「何だよ?変なことしねーよ。よっと。」
そう言って、みっちゃんは私の背後に回り、私のお腹に手を回して座った。後ろから抱きしめられた形になる。イチャイチャモード全開じゃないですか、、、!
「みっちゃん、高校入ってチャラくなったぁ、、、。」
そう言うのが精一杯で、身動き取れない。だけども、この体勢だとみっちゃんに、ゆでダコみたいに真っ赤な私の顔を正面から見られなくて済むのは幸いだった。
「うるせーな。ホラ、勉強すんだろ?だからこうして後ろに回ってやってんだ。」
ぎゅっ、とさらに体を寄せてきたので、私は固まってしまった。こんなに密着されると、心臓のバクバクまで伝わってしまうよ。
「みっちゃん、、、こんなんで、勉強できるわけ、、、。」
「どんな状況でも集中できるようになるのが受験生だろーが。」
「ぷっ。みっちゃんだって受験生、、、。」
「、、、一応な。」
「もしかして。推薦もらえなかったら、浪人する気?」
「、、、す、推薦来る。いや、取る。」
みっちゃんはケホッ、とわかりやすく咳払いをした。図星っぽかった。私の怪訝な雰囲気を察したのか、頭の上からみっちゃんの声がゆっくりと降ってくる。
「、、、ちゃんと勉強もするよ。分かってるよ。」
「私も頑張るし。」
「おう。」
「みっちゃんと一緒に大学生になりたいし。」
「お、おう。」
「ホントはもっと、こういうことも、、、し、したいし。」
と言って、みっちゃんの手を握った。もう片方の手で、握るみっちゃんの手の甲を撫でる。ああ、自分のドキドキを鎮めたい。私だって別に清純派気取ってるわけじゃないんだからね?ただ、いつもいつも冗談言い合ってて、未だ私の中では友達の延長線上にあって、みっちゃんと、、、っていうのがまだ想像つかないだけで。照れ臭いっていうか?あの、勿論、彼のこと、好きなんですよ?好きなんですけど、、、。心の中でひたすら誰にするでもない言い訳をする。
「名前、、、めっちゃ固まってっから、こういうの嫌なのかと思ってた。」
みっちゃんの声は少しの驚きと、でも嬉しさを含む。やっぱりなんかチャラいな。
「そんなことないけど、、、ただ、付き合ってすぐから、ハイ、私達、イチャイチャします、なんて出来ないよ。恥ずかしいじゃん。むしろなんでそんなにグイグイ距離縮めてこれんの?!」
そうなのだ。みっちゃんって、愛情表現薄いタイプなのだと思っていた。一緒に歩くといっても、歩調合わせるような人じゃない(いつも私、後ろ姿眺めてる)。好きと分かりやすく言葉にする人じゃない(未だ言われていない気がする)。たまにチラチラ見え隠れする、ぶっきらぼうだけど、優しい物言いにドキッとするくらいで。それでも十分に私は満たされていたにもかかわらず。
「オレ、どっちかっつーとこっちのタイプだぞ?」
「嘘ぉ?今までそんな感じ微塵も出してなかったよね!?」
「二人だけの時限定。」
は〜、やっぱこういうこと出来るのは家しかないよな〜、なんて私の肩に顎を乗せ、もたれかかりながら呟く。独り言になっていないよ、みっちゃん、、、。
「そういうの、ムッツリって言うんじゃ、、、。」
「あん?彼女と二人でいて、何もしないわけねーだろがよ。」
「カノジョ、、、」
みっちゃんからの彼女、というワードに少しの特別感を抱いて、不用意にニヤついてしまった私。彼女って、、、!いやそうなんだけども!背中から伝わる感触もこそばゆくて、ソワソワしてしまう。そしてそして、そういうところを決して見逃さないのが私の彼氏。
「ニヤニヤしてんじゃねーよ。」
「うはは。ゴメン。やばい。嬉しくて。」
「、、、勉強、、、続けんの?」
みっちゃんの声のトーンが変わったのが分かった。ここから先はおそらく、未知の世界だ。私の返答次第で二人はどこに転がっていくか分からない。イエスと言ったら?ノーと言ったら?賽を投げるのは私のようだ。頭の中は高速で思考を回転させる。
「わ、分からない、、、。」
だって、これが本音。
「分からないって何だよ。勉強するのかどうか聞ーてんの!」
軽く笑って、私の頬にみっちゃんの唇が触れた。
「こっち、向いて。」
喋り方が甘い。雰囲気が甘い。この状況に相反していつまでも力が抜けない私を、みっちゃんは私の体ごと向き合わせた。ゆっくりと二人の視線を合わせ始める。私の戸惑いの表情を解きほぐすように両手で顔を包まれて、親指で唇に触れられた。
「名前、唇、カッサカサだな。」
「う、うるさいな、、、!こんな準備して、、、なかったもん。」
目を伏せて、独りごちる。ああ、これ、絶対来る。
「こんな準備って?」
聞き直してるくせに、聞きたいわけじゃないんでしょ?みっちゃんは私の言葉を待たずに近づいて、遮って、少し間を置いて、離れた。私は唇を噛んで、恥ずかしさに耐える。
「みっちゃんだって、ガサガサだよ。」
私は必死に甘い余韻が残る唇の感触から、どうにか苦し紛れな感情を探して訴える。
「、、、慣れろよ、色々と。」
頭に手をポンと軽く添えられて、ようやく私は顔を上げてみっちゃんを捉えると、もう片方の手で自分の口元を隠す彼は顔を逸らしてそう言った。耳まで赤くして。
「、、、みっちゃんもね。」
笑いながら、私もそう言った。
「暑っ。もわっとしてんな、この部屋。」
「ちょっと待ってよ、今エアコン付けたから。」
高校三年生の夏休みである。受験生な私達は一緒に勉強しようということになり、駅前で待ち合わせてファミレスで数時間。ドリンクバーも飽きたし、と言われて気分を変えて、外に出てみたけれど、まだ夏も半ば。照りつける太陽とアスファルトからの跳ね返る熱に挟まれて、早々に外に居ることをギブアップした私達は、屋内へ避難した。まあつまり、どこへ避難したかというと、私の家なんだけども。あまりの暑さに脳みそも溶けたのか、この時、深く考えていなかった。みっちゃんが、名前の家行こーぜ、と言うし、二人がいた地点から近いのは私の家だったんだし。うん、いいよ、なんて素直に受け入れてしまった。結果、あれ?部屋で二人きり?実は初めて?気付いたのは、エアコンがゴオオーと勢いを上げて、強風を吐き出したあたり。
「今日、親いねーの?」
「平日だもん、仕事行ってる。」
「おっしゃ。」
、、、おっしゃ?わかりやすく心の中でガッツポーズしてたよね、今。これに突っ込むのは嫌な予感。変な空気になりそうな気がするから黙っておく。ついついギクシャクした動きの私に、みっちゃんが気付く。こういう時だけ勘がいい奴。
「お前、急に警戒し出したな。」
「、、、え?べべべ、別に?」
やば。声が上擦った。
「何だよ?変なことしねーよ。よっと。」
そう言って、みっちゃんは私の背後に回り、私のお腹に手を回して座った。後ろから抱きしめられた形になる。イチャイチャモード全開じゃないですか、、、!
「みっちゃん、高校入ってチャラくなったぁ、、、。」
そう言うのが精一杯で、身動き取れない。だけども、この体勢だとみっちゃんに、ゆでダコみたいに真っ赤な私の顔を正面から見られなくて済むのは幸いだった。
「うるせーな。ホラ、勉強すんだろ?だからこうして後ろに回ってやってんだ。」
ぎゅっ、とさらに体を寄せてきたので、私は固まってしまった。こんなに密着されると、心臓のバクバクまで伝わってしまうよ。
「みっちゃん、、、こんなんで、勉強できるわけ、、、。」
「どんな状況でも集中できるようになるのが受験生だろーが。」
「ぷっ。みっちゃんだって受験生、、、。」
「、、、一応な。」
「もしかして。推薦もらえなかったら、浪人する気?」
「、、、す、推薦来る。いや、取る。」
みっちゃんはケホッ、とわかりやすく咳払いをした。図星っぽかった。私の怪訝な雰囲気を察したのか、頭の上からみっちゃんの声がゆっくりと降ってくる。
「、、、ちゃんと勉強もするよ。分かってるよ。」
「私も頑張るし。」
「おう。」
「みっちゃんと一緒に大学生になりたいし。」
「お、おう。」
「ホントはもっと、こういうことも、、、し、したいし。」
と言って、みっちゃんの手を握った。もう片方の手で、握るみっちゃんの手の甲を撫でる。ああ、自分のドキドキを鎮めたい。私だって別に清純派気取ってるわけじゃないんだからね?ただ、いつもいつも冗談言い合ってて、未だ私の中では友達の延長線上にあって、みっちゃんと、、、っていうのがまだ想像つかないだけで。照れ臭いっていうか?あの、勿論、彼のこと、好きなんですよ?好きなんですけど、、、。心の中でひたすら誰にするでもない言い訳をする。
「名前、、、めっちゃ固まってっから、こういうの嫌なのかと思ってた。」
みっちゃんの声は少しの驚きと、でも嬉しさを含む。やっぱりなんかチャラいな。
「そんなことないけど、、、ただ、付き合ってすぐから、ハイ、私達、イチャイチャします、なんて出来ないよ。恥ずかしいじゃん。むしろなんでそんなにグイグイ距離縮めてこれんの?!」
そうなのだ。みっちゃんって、愛情表現薄いタイプなのだと思っていた。一緒に歩くといっても、歩調合わせるような人じゃない(いつも私、後ろ姿眺めてる)。好きと分かりやすく言葉にする人じゃない(未だ言われていない気がする)。たまにチラチラ見え隠れする、ぶっきらぼうだけど、優しい物言いにドキッとするくらいで。それでも十分に私は満たされていたにもかかわらず。
「オレ、どっちかっつーとこっちのタイプだぞ?」
「嘘ぉ?今までそんな感じ微塵も出してなかったよね!?」
「二人だけの時限定。」
は〜、やっぱこういうこと出来るのは家しかないよな〜、なんて私の肩に顎を乗せ、もたれかかりながら呟く。独り言になっていないよ、みっちゃん、、、。
「そういうの、ムッツリって言うんじゃ、、、。」
「あん?彼女と二人でいて、何もしないわけねーだろがよ。」
「カノジョ、、、」
みっちゃんからの彼女、というワードに少しの特別感を抱いて、不用意にニヤついてしまった私。彼女って、、、!いやそうなんだけども!背中から伝わる感触もこそばゆくて、ソワソワしてしまう。そしてそして、そういうところを決して見逃さないのが私の彼氏。
「ニヤニヤしてんじゃねーよ。」
「うはは。ゴメン。やばい。嬉しくて。」
「、、、勉強、、、続けんの?」
みっちゃんの声のトーンが変わったのが分かった。ここから先はおそらく、未知の世界だ。私の返答次第で二人はどこに転がっていくか分からない。イエスと言ったら?ノーと言ったら?賽を投げるのは私のようだ。頭の中は高速で思考を回転させる。
「わ、分からない、、、。」
だって、これが本音。
「分からないって何だよ。勉強するのかどうか聞ーてんの!」
軽く笑って、私の頬にみっちゃんの唇が触れた。
「こっち、向いて。」
喋り方が甘い。雰囲気が甘い。この状況に相反していつまでも力が抜けない私を、みっちゃんは私の体ごと向き合わせた。ゆっくりと二人の視線を合わせ始める。私の戸惑いの表情を解きほぐすように両手で顔を包まれて、親指で唇に触れられた。
「名前、唇、カッサカサだな。」
「う、うるさいな、、、!こんな準備して、、、なかったもん。」
目を伏せて、独りごちる。ああ、これ、絶対来る。
「こんな準備って?」
聞き直してるくせに、聞きたいわけじゃないんでしょ?みっちゃんは私の言葉を待たずに近づいて、遮って、少し間を置いて、離れた。私は唇を噛んで、恥ずかしさに耐える。
「みっちゃんだって、ガサガサだよ。」
私は必死に甘い余韻が残る唇の感触から、どうにか苦し紛れな感情を探して訴える。
「、、、慣れろよ、色々と。」
頭に手をポンと軽く添えられて、ようやく私は顔を上げてみっちゃんを捉えると、もう片方の手で自分の口元を隠す彼は顔を逸らしてそう言った。耳まで赤くして。
「、、、みっちゃんもね。」
笑いながら、私もそう言った。
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