スターマイン(藤真)
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「ありがとう、苗字さん。助かった。」
「ううん。この講義、ノートとっててもよく分かんないよ?」
バイト終わりに、藤真君と待ち合わせた。暗がりの中で自動販売機の明かりに照らされた藤真君へアパート前の道端で、大学の講義ノートを渡す。バイト先で知り合った藤真君とは、学科は違うけれど、同じ大学で同じ学部の同級生だった。最もそれを知ったのは、バイト先の店長にたまたま教えられたからで、シフトも殆ど被ってはいない。私は夕方の時間帯から入るし、藤真君は深夜からだから、たまに入れ替わりにお店のバックヤードで顔を合わせるくらい。しかし学部が同じだと、共通して受ける講義がこうやって被っていたりするのは珍しくない。
「哲学概論なんて藤真君、取ってたんだね。全然気付かなかった。」
「うん。あんまり出席して無ぇ。はは。でも単位欲しいじゃん?オレの学科の奴、誰も哲学取ってなくてさ。ノート、ほんとサンキュ。」
「まあ、私の学科は必修科目だから。、、、むしろ藤真君がこの講義取ってる方がびっくりだよ。」
「なんか、前期さ、ちょうど二限が空いててさー。時間割埋めときたくて。でもそのくせサボっちまうんだけど。」
藤真君とここまでしっかり喋ったのは実は初めてで、こうやって二人で会うことなど通常ありえない。藤真君の周りには男女問わず、常に人がいる。鼻筋が通り、色素が薄いからか中性的な雰囲気を感じさせる彼は大学内でもちょっとした有名人だった。以前、私は藤真君と大学のキャンパス内ですれ違ったことがある。藤真君が私に気付いて、さりげなく頭を下げて挨拶してくれたのだが、それだけでも周囲の女子が反応してしまって、そんな彼女達の興味本位の視線がグサグサと私に刺さってきた時には息が詰まる思いがした。そんな経験からも、とどのつまり、私は藤真君のことを別世界の住人だと思っている。好きとか嫌いとか以前の問題で、藤真君に対してどう振る舞って良いのか分からず常にうろたえるのだ。だって確かに顔はかっこいいのだもの。伏し目がちな目元からは、降りてくる睫毛の長さが強調されて、眺めているだけでも綺麗だなあ、と思ってしまうのだから。そんな藤真君というイケメンを前にして、舞い上がって、テンパってしまう自分を俯瞰して見ると異様にダサいと思う。周囲と自分を区別した時、自分が他人にどう見られるかを過剰に気にしてしまう。こうした自意識が無駄に強い私は、羞恥心も作用し合って、自分のこのダサさに遭遇しないように藤真君を無意識に避けていたのかもしれない。
だから普段、私から話し掛けることはしないし、藤真君とはシフトが数時間だけ被った際に、店長経由で連絡先を渋々交換していたことを、
『苗字さんってさ、哲学概論の講義取ってるよね?』
とメッセージが入ったことでようやく思い出したくらいだった。ちなみにそんなメッセージが入っただけでも、やはり私は狼狽した。藤真君を相手にどんな返信をしたら良いのか分からなくなって、30分ほど悩まされた。やっとの思いで返したのは、『うん。』という三文字で、そのあとすぐに既読がつくかどうかを見張ってしまった。そして、ああ、今しがた送ってしまった『うん。』はもしかしたら冷たい印象を与えてしまったかもしれない、どうしよう、なんて相手の顔が見えないにも関わらず、バカみたいに私は藤真君の顔色を想像して心配する。そして慌ててデフォルトの笑顔のスタンプをメッセージに続けて送ってみる。こんなしょうもない印象操作を講じてもなお、ドキドキしてまた既読がつくのを見張るのだ。そんな私はやっぱりダサいと思う。うん、すごくダサい。藤真君を前にすると、スマホ越しでも分かる絶妙なまでの自分の洗練されなさが浮き彫りにされてしまい、今ですらもう会話に困る私は、ソワソワと早くこの自意識からも逃げ出したくなっている。
「あ、じゃあ、私、帰るね。もうレポート書き終えてるし、返すのはいつでもいいから。」
そう言って、元来た道を戻ろうと藤真君に背を向けたら、パンという軽い炸裂音が聞こえた。私も藤真君も振り返って、空を見上げると、淡い光に照らされた煙が空に散ったのが見えた。
「あれ、もしかして花火?マジ?」
「え、どこでやってるんだろう。今日、花火大会?」
「さあ?へぇ、花火か。毎年やってんのかな。」
「うーん?私、地元じゃないし。」
「うん、オレも。分かんねーな。」
私も藤真君も大学近くのアパートで一人暮らしをしている大学生だ。お互いにどこが地元かも知らないが、実家から通う地元の人間ではないことは明らかだった。
「見に行ってみようぜ。」
「ええ?!藤真君、どこでやってるか知ってるの?」
随分と遠そうだ、と思ったが口にできない。
「知らない。でもあっちの方だろ?なんとなく行けるだろ。」
「え?え?待ってよ、調べようよ。」
スマホを取り出す私を、藤真君は制した。空からは先ほどより長めの炸裂音が聞こえる。藤真君の頭の向こうで空が明るく光る。
「ダメだっつの。調べたら面白くないじゃん。」
私にピシャリと言った藤真君はとても楽しそうに、建物と建物の隙間から見えそうで見えない花火の根元を探し始めていた。驚いて何も言えなかった。むやみに突っ込んで行けない慎重派の私は用意周到に、何時から花火大会は始まるのか、会場はどこなのか、出店はあるのか、交通は、臨時バスが出ているのか、そういったあらゆる情報を事前に知って、段取り良く進めていきたい。なのに目の前の彼は、空に浮かぶ花火を頼りに、「あっちの方」なんて漠然とした情報だけで辿り着こうとしている。運良く辿り着けたとしても、もう終わっているかもしれないのに、なんて終了時間を気にしてしまう私とは大違いだ。
「よし、とりあえず歩くか。」
「えぇ!?本気?」
「何?なんかこの後用事あった?」
「いや、ない、、、けど。」
おし、大通りに出てみようぜ、なんてワクワクを隠せない様子で言う藤真君は、もう歩き出していた。私の返事を待たない彼は、さきほどの会話の往復で私の合意が取れたのだと勝手に判断したらしい。繊細そうな顔をしている割に、他人に遠慮なんかしないタイプなんだな、と思った。
「あ、オレ手ブラで外、出てきた。悪いけどノート持っててくんない?」
今貸したばかりの哲学概論の講義ノートが私の手元に戻ってくる。遠慮のない人だとは先程からの会話ですでに感じていたが、こうした他人を当てにした藤真君の言動に、不思議と嫌な感じはしなかった。藤真君は花火に向かってただ歩けばいいと思っている。期待と落胆、理想と現実の差を出来るだけ縮めて生きることにエネルギーを使うような私にとって、思うがままに行動する藤真君の存在は、不安になると同時に少しの憧れを抱かせる。目の前を歩く彼と一緒に空を見上げて花火を追いかけてみたら、自分で作り出している窮屈さから抜け出せる気がした。そんな微かな興味と期待から、私は藤真君から手渡されたノートを肩掛けのトートバッグに仕舞い込んだ。そして藤真君の背中と頭上の光や煙を追った。
***
「交差点の向こう渡ってみるか。この辺ビル多くて見通し悪いよな。」
藤真君は独り言みたいに言う。決して私のことを気にしてはいない。私が返事ようがしまいが、きっと藤真君にはあまり関係のないことなのだろう。向こうの空のうっすらとした煙や光を頼りに、国道沿いを二人でテクテクと歩く。 Tシャツと背中の間で汗が一筋流れて、結構な距離を二人で歩いていることを私に知らせた。時折、空が何事もなかったかのように暗く静まり返る。次の打ち上げに備えてなのか。けれども疑り深い私は天邪鬼な想像で、下を向くような発言をしてしまう。
「あれさ、本当に花火なのかな?」
「光ってるし。音も鳴ってんじゃんよ。ほら、また始まった。」
「でもよく見えない、、、。」
藤真君はビルの隙間から見える煙たい光と音を指差して言う。ずいぶん歩いたが、私は未だ期待値を上げられない。藤真君についてきたのは自分だけれども、藤真君といることにまだ慣れないという矛盾があった。私なんかと歩いたって楽しくないんじゃないだろうかと、調和のとれない不安定な思いが巡る。会話もまだ手探りで、言葉をなんとなく繋ぐだけだ。
「藤真君って、あの、普通に明るい人なんだね。」
「はあ?普通に、って何?」
藤真君は口元に手をやって噴き出すのを堪えるように言った。
「や、なんかこう、バイトの時ってクールじゃない?全然裏でも喋らないし。だから、花火とか大して興味なさそうだなって。」
「オレ、自分ではすげぇ普通だと思うんだけど。」
「えー、それはな、、、、いんじゃないかなあ。」
途中まで語気を強めて否定したことに焦って、私は声を窄めていく。藤真君のことを何も知らないのに、決めつけた物言いになったのは失礼だったかもしれない。他人に消極的な私は、距離感を改めるように、濁点のある咳払いをして続けた。
「私と同じ時間に入ってるアキちゃんって分かる?高校生の。あの子が、藤真君はモデルのバイトもやってるんじゃないかって言ってたよ。」
「、、、は?」
「藤真君はすごくかっこ良くてファンが多いから、目立ちたくなくて、うちのバイトはそのために深夜帯でシフト組んでるらしいって。」
「何だよそれ。女子高生の想像力怖っ。それ全部間違ってるって、今度言っといて。」
藤真君は腕を組み、ケラケラと笑い飛ばすように言った。
「でもきっと、ファンは多いと思う。藤真君、高校の時もモテたでしょ。」
こうやって、私とも気さくに喋ってくれるところなんか、きっと性格も悪くない。藤真君が笑いかけてくれたら、勘違いする女の子がこれまでにもたくさんいたんだろうな、と隣の笑顔を眺めて思う。
「苗字さんさ、知らない奴から付き合って下さいって言われたことある?」
「えっ、、、無いよ、無い。そんなこと。」
「その場で断っても、友達からでもいいです、って言われみ?友達からでもって何?オレどうしていいか分かんねえし。」
早口で捲し立てた藤真君の話は、一足飛びで進んでいき、私に相槌を打たせるチャンスすらくれない。どうやら自身の経験をなぞらえて語っていたようで、私の頭がようやく彼の話に追い付いた時には、藤真君は圧力のかかった言葉をポンポンと吐き出していた。
「オレ、そんなに急に態度変えられないし、社交的でもないんだよ。だいたいさ、友達から、なんて宣言してくる子ってその後のことなーんも考えてないじゃん。こっちは別に友達になりたくねーし。無理に友達になる必要ってあんの?その先、期待されてもなあ?最初に断ってんじゃん?って、はっきり言ったら言ったで泣かれて結局気まずい空気になるの、もうオレすげぇ嫌で。そういうの、オレうまくやれねぇんだよ。それで、だから自分にもだんだん腹立ってくるし、もう最悪。」
「、、、ふ、藤真君、今日すごい喋る。ふ、ふふふ。」
「何、笑ってんだよ。」
「ご、ごめん。」
ヒートアップしていく藤真君の少し後ろを歩いていた私は、笑ってしまったことを隠そうとしたのだが、藤真君にはバレバレだったみたいだ。それもまた可笑しくて、私は無意識に上がっていく口角を両手で隠した。学校やバイトの時よりも二人でいる時の藤真君はよっぽど積極的で、その優しくない本音ですらも魅力的に見えた。
「綺麗な顔して、言うことエグいね。」
藤真君の本音に半ば引きずられるようにして、私も思ったことを瞬間的に伝えてしまった。
「だから、普通だってオレ。周りが勝手にイメージ作ってるだけじゃん。クールて何だよ。まあ、普段あんまりテンション上がんないけど。根暗だから。」
「そんなことないよ。いつも大学内で誰かと一緒にいるところを見るし、賑やかだよ?バイト先でもお客さんと笑って喋れるし。」
「、、、一人も嫌いじゃないけどな。」
「、、、私は一人が好きだけどな。」
その一言を受けて藤真君の視線が空から降りてきた。そして藤真君は振り向きざまに私に聞いた。
「あ、迷惑だった?」
しかし今のこの状況を私に問う割に、興味なさそうな口ぶりと仕草から、大して気を遣った言葉ではなさそうだ。さらに藤真君は先程自販機で買ったペットボトルの水を少しだけ残して、キャップをしめると、私に押し付けてきた。
「あと、全部飲んでいいよ。」
その強引さと、一口にも足りない水の量は、やはり藤真君の私へのふざけた気遣いをあらわした。要するに藤真君はペットボトルを持って歩くのが単に面倒くさくなっただけだ。
「藤真君、あのさ。こういうのは迷惑です、、、。」
私はペットボトルを振り、水をチャポチャポと音を鳴らすことで嫌味に伝える。そして、ぶはっ、と二人で一緒に笑った。
「苗字さんってさ、なんであそこのバイト選んだ?」
「うーん、家から近かったし。私、サークルとか入ってないしさ、結構シフト入れるかなって。」
「週5だもんな。すげー働くなって、オレ思ってたもん。」
「夕方だけだから。藤真君こそ、深夜帯だと朝の授業眠たくない?」
「だから哲学概論出席できてねぇんだって。」
私と藤真君はまだ歩いた。藤真君の地元は神奈川で、高校までバスケをしていたこと、私はこないだ車の免許を取ったこと、二股中の店長の彼女が深夜のバイト先に乗り込んできて藤真君は修羅場に巻き込まれたこと、私は賞味期限切れの食パンを放ったらかしにしてカビを生やしたこと、どうでもいい下らない話を私も藤真君も思いつくままに繰り返した。たまに話が尽きて黙る時間もあったが、夜のとばりが都合良く二人の表情も、私のぎこちなさも隠してくれたから、もう藤真君を前にして緊張はしなくなっていた。
「あ。」
気付いたのは私の方だった。空に飛び上がる口笛のような高い音。それは国道沿いを走る車のエンジン音にかき消されるほどの小ささで、短い炸裂音が連続して響く。夜空に咲いた閃光が三発、輪になって広がる。青、赤、緑から黄色に変わった火の粉がチラチラと暗闇に混ざって消えた。
「今の!見えた!花火だよね!?わあ!やったあ!見たっ?藤真君?!」
すぐそばにいるのに早く気付いて欲しくて、私は咄嗟に藤真君のTシャツを摘んでグイグイと引っ張った。色彩も爆音も決して派手ではなかったが、花火を見つけられたことが不思議な達成感に繋がって、私は高揚した。
「見た。見たって。え、なんか凄いテンション上がってるんですけど、苗字さん。」
「ご、ごめん。だって嬉しくない?嬉しいよ、私。」
「テンション上げるタイミング完璧失ったし。オレだって、うお、花火!って思ったよ。思ったのに。」
私に盛り上がるタイミングを奪われたみたいで、藤真君は少し恨めしそうだった。あー、苗字さんのせいで、なんて自分勝手にぶつくさ言う藤真君は、自分のことを先程から根暗と表現していたが、私からすると物事の捉え方がねじけていて素直でないだけだと思う。
「、、、難しいなぁ、もう。」
親しみを込めて、私がポツリと呟くと、藤真君は空を見上げながら花火の先を探すフリをして聞こえてない風を装った。それが手にとるように分かってしまうのは、藤真君の不器用さが自分と重なった気がしたからだ。私達は、しばらく立ち止まって遠くの空を見つめて次を待った。しかし夜空はずっとずっと沈黙を貫いていた。
「もしかして、さっきので終わりかよ?」
「、、、かも。」
この会話で私達も沈黙する。そして私は自分の気持ちも沈んだことに気が付く。今夜は藤真君に振り回されていたはずなのに、藤真君ともう少し花火を見てみたかったなぁ、と私は残念がったのだ。もし藤真君と花火をもう少し長く見ることができたらば。夜はドラマチックだ。たった一瞬の花火でも目に焼き付いて何度でも反芻できてしまうのだから、降り注ぐような大輪の花火がもし藤真君を明るく照らしたら、私は結構あっさりと好きになってしまっていたかもしれない。先程、興奮した隣で藤真君が盛り下がってくれたのは、逆に良かったのかもしれない、などと変なところに納得と落ち着きを求めた私は、やはり藤真君と同じくらいねじけていて素直ではなかった。
「藤真君。もう、帰ろっか。」
だから私からこの夜と、この気持ちから撤退することにした。足取りは努めて軽いフリをした。藤真君も私の後ろをついてきた。帰り道は行きとは逆に私が藤真君を連れて歩くような格好となる。
「苗字さん、明日、バイト何時から?」
「17時から。でも夕方って結構人数いるからさ、今日みたいに早めに上がったりもする。」
「ふうん。」
交差点の信号待ちで私達は並んだ。行きに上を見上げながら歩いた国道沿いを、今度は下を向いて帰る。藤真君の白のコンバースが、やたら視界に入ってきて、私はずっとそれを眺めることしか出来なかった。
***
藤真君とは当然あっさりとお別れして、自宅に着く。家の鍵を開けようとして、肩掛けのトートバッグに手を入れる。そこでようやくバッグの中身に、あるはずのないものが存在していることに気付く。
「あ。藤真君にノート、、、。」
渡しに行ったはずのノートを、あの時、藤真君に返されてそのまま持ち帰ってきてしまった。これじゃあ、ただ花火を探しに藤真君と散歩をしただけだったねと、今日を思い出してクスリと笑う。このタイミングでスマホが光った。藤真君からの連絡だった。
『ごめん。ノート、借り忘れた。』
『私も今家に着いて気が付きました。』
『ただの散歩だったな。まあ、花火見られたからいっか。』
藤真君も同じことを考えていた。それが分かって、私は何度もメッセージを読み返す。楽しさと嬉しさが、今になってようやくやってきて、自然と顔が緩んだ。誰に見られるわけでもないのに、それをこらえようと私は頬を膨らませた。
『明日、バイトだろ?ノート持ってきてくんない?オレもバイト、夜からなんだけど、苗字さんの終わる時間に合わせて早めに行くことにするから。ほんとすみません。』
明日、藤真君に会うことになりそうだ。会ってしまったら、もうこの気持ちに名前を付けてしまうかもしれない。難しいなぁ、もう、と私は呟いた。
『うん。了解です。』
とスマホに文字を送り込んで、その画面を見守ってしまう。藤真君に最初にノートを貸して欲しいとメッセージが入って来た時とは異なる緊張感であることは、もう分かりきっていた。私は既読マークがつくのをドキドキしながら待つ。相変わらずダサい私は、ソファに沈み込んで大きく深呼吸をするのだ。スマホを両手に抱いて。
「ううん。この講義、ノートとっててもよく分かんないよ?」
バイト終わりに、藤真君と待ち合わせた。暗がりの中で自動販売機の明かりに照らされた藤真君へアパート前の道端で、大学の講義ノートを渡す。バイト先で知り合った藤真君とは、学科は違うけれど、同じ大学で同じ学部の同級生だった。最もそれを知ったのは、バイト先の店長にたまたま教えられたからで、シフトも殆ど被ってはいない。私は夕方の時間帯から入るし、藤真君は深夜からだから、たまに入れ替わりにお店のバックヤードで顔を合わせるくらい。しかし学部が同じだと、共通して受ける講義がこうやって被っていたりするのは珍しくない。
「哲学概論なんて藤真君、取ってたんだね。全然気付かなかった。」
「うん。あんまり出席して無ぇ。はは。でも単位欲しいじゃん?オレの学科の奴、誰も哲学取ってなくてさ。ノート、ほんとサンキュ。」
「まあ、私の学科は必修科目だから。、、、むしろ藤真君がこの講義取ってる方がびっくりだよ。」
「なんか、前期さ、ちょうど二限が空いててさー。時間割埋めときたくて。でもそのくせサボっちまうんだけど。」
藤真君とここまでしっかり喋ったのは実は初めてで、こうやって二人で会うことなど通常ありえない。藤真君の周りには男女問わず、常に人がいる。鼻筋が通り、色素が薄いからか中性的な雰囲気を感じさせる彼は大学内でもちょっとした有名人だった。以前、私は藤真君と大学のキャンパス内ですれ違ったことがある。藤真君が私に気付いて、さりげなく頭を下げて挨拶してくれたのだが、それだけでも周囲の女子が反応してしまって、そんな彼女達の興味本位の視線がグサグサと私に刺さってきた時には息が詰まる思いがした。そんな経験からも、とどのつまり、私は藤真君のことを別世界の住人だと思っている。好きとか嫌いとか以前の問題で、藤真君に対してどう振る舞って良いのか分からず常にうろたえるのだ。だって確かに顔はかっこいいのだもの。伏し目がちな目元からは、降りてくる睫毛の長さが強調されて、眺めているだけでも綺麗だなあ、と思ってしまうのだから。そんな藤真君というイケメンを前にして、舞い上がって、テンパってしまう自分を俯瞰して見ると異様にダサいと思う。周囲と自分を区別した時、自分が他人にどう見られるかを過剰に気にしてしまう。こうした自意識が無駄に強い私は、羞恥心も作用し合って、自分のこのダサさに遭遇しないように藤真君を無意識に避けていたのかもしれない。
だから普段、私から話し掛けることはしないし、藤真君とはシフトが数時間だけ被った際に、店長経由で連絡先を渋々交換していたことを、
『苗字さんってさ、哲学概論の講義取ってるよね?』
とメッセージが入ったことでようやく思い出したくらいだった。ちなみにそんなメッセージが入っただけでも、やはり私は狼狽した。藤真君を相手にどんな返信をしたら良いのか分からなくなって、30分ほど悩まされた。やっとの思いで返したのは、『うん。』という三文字で、そのあとすぐに既読がつくかどうかを見張ってしまった。そして、ああ、今しがた送ってしまった『うん。』はもしかしたら冷たい印象を与えてしまったかもしれない、どうしよう、なんて相手の顔が見えないにも関わらず、バカみたいに私は藤真君の顔色を想像して心配する。そして慌ててデフォルトの笑顔のスタンプをメッセージに続けて送ってみる。こんなしょうもない印象操作を講じてもなお、ドキドキしてまた既読がつくのを見張るのだ。そんな私はやっぱりダサいと思う。うん、すごくダサい。藤真君を前にすると、スマホ越しでも分かる絶妙なまでの自分の洗練されなさが浮き彫りにされてしまい、今ですらもう会話に困る私は、ソワソワと早くこの自意識からも逃げ出したくなっている。
「あ、じゃあ、私、帰るね。もうレポート書き終えてるし、返すのはいつでもいいから。」
そう言って、元来た道を戻ろうと藤真君に背を向けたら、パンという軽い炸裂音が聞こえた。私も藤真君も振り返って、空を見上げると、淡い光に照らされた煙が空に散ったのが見えた。
「あれ、もしかして花火?マジ?」
「え、どこでやってるんだろう。今日、花火大会?」
「さあ?へぇ、花火か。毎年やってんのかな。」
「うーん?私、地元じゃないし。」
「うん、オレも。分かんねーな。」
私も藤真君も大学近くのアパートで一人暮らしをしている大学生だ。お互いにどこが地元かも知らないが、実家から通う地元の人間ではないことは明らかだった。
「見に行ってみようぜ。」
「ええ?!藤真君、どこでやってるか知ってるの?」
随分と遠そうだ、と思ったが口にできない。
「知らない。でもあっちの方だろ?なんとなく行けるだろ。」
「え?え?待ってよ、調べようよ。」
スマホを取り出す私を、藤真君は制した。空からは先ほどより長めの炸裂音が聞こえる。藤真君の頭の向こうで空が明るく光る。
「ダメだっつの。調べたら面白くないじゃん。」
私にピシャリと言った藤真君はとても楽しそうに、建物と建物の隙間から見えそうで見えない花火の根元を探し始めていた。驚いて何も言えなかった。むやみに突っ込んで行けない慎重派の私は用意周到に、何時から花火大会は始まるのか、会場はどこなのか、出店はあるのか、交通は、臨時バスが出ているのか、そういったあらゆる情報を事前に知って、段取り良く進めていきたい。なのに目の前の彼は、空に浮かぶ花火を頼りに、「あっちの方」なんて漠然とした情報だけで辿り着こうとしている。運良く辿り着けたとしても、もう終わっているかもしれないのに、なんて終了時間を気にしてしまう私とは大違いだ。
「よし、とりあえず歩くか。」
「えぇ!?本気?」
「何?なんかこの後用事あった?」
「いや、ない、、、けど。」
おし、大通りに出てみようぜ、なんてワクワクを隠せない様子で言う藤真君は、もう歩き出していた。私の返事を待たない彼は、さきほどの会話の往復で私の合意が取れたのだと勝手に判断したらしい。繊細そうな顔をしている割に、他人に遠慮なんかしないタイプなんだな、と思った。
「あ、オレ手ブラで外、出てきた。悪いけどノート持っててくんない?」
今貸したばかりの哲学概論の講義ノートが私の手元に戻ってくる。遠慮のない人だとは先程からの会話ですでに感じていたが、こうした他人を当てにした藤真君の言動に、不思議と嫌な感じはしなかった。藤真君は花火に向かってただ歩けばいいと思っている。期待と落胆、理想と現実の差を出来るだけ縮めて生きることにエネルギーを使うような私にとって、思うがままに行動する藤真君の存在は、不安になると同時に少しの憧れを抱かせる。目の前を歩く彼と一緒に空を見上げて花火を追いかけてみたら、自分で作り出している窮屈さから抜け出せる気がした。そんな微かな興味と期待から、私は藤真君から手渡されたノートを肩掛けのトートバッグに仕舞い込んだ。そして藤真君の背中と頭上の光や煙を追った。
***
「交差点の向こう渡ってみるか。この辺ビル多くて見通し悪いよな。」
藤真君は独り言みたいに言う。決して私のことを気にしてはいない。私が返事ようがしまいが、きっと藤真君にはあまり関係のないことなのだろう。向こうの空のうっすらとした煙や光を頼りに、国道沿いを二人でテクテクと歩く。 Tシャツと背中の間で汗が一筋流れて、結構な距離を二人で歩いていることを私に知らせた。時折、空が何事もなかったかのように暗く静まり返る。次の打ち上げに備えてなのか。けれども疑り深い私は天邪鬼な想像で、下を向くような発言をしてしまう。
「あれさ、本当に花火なのかな?」
「光ってるし。音も鳴ってんじゃんよ。ほら、また始まった。」
「でもよく見えない、、、。」
藤真君はビルの隙間から見える煙たい光と音を指差して言う。ずいぶん歩いたが、私は未だ期待値を上げられない。藤真君についてきたのは自分だけれども、藤真君といることにまだ慣れないという矛盾があった。私なんかと歩いたって楽しくないんじゃないだろうかと、調和のとれない不安定な思いが巡る。会話もまだ手探りで、言葉をなんとなく繋ぐだけだ。
「藤真君って、あの、普通に明るい人なんだね。」
「はあ?普通に、って何?」
藤真君は口元に手をやって噴き出すのを堪えるように言った。
「や、なんかこう、バイトの時ってクールじゃない?全然裏でも喋らないし。だから、花火とか大して興味なさそうだなって。」
「オレ、自分ではすげぇ普通だと思うんだけど。」
「えー、それはな、、、、いんじゃないかなあ。」
途中まで語気を強めて否定したことに焦って、私は声を窄めていく。藤真君のことを何も知らないのに、決めつけた物言いになったのは失礼だったかもしれない。他人に消極的な私は、距離感を改めるように、濁点のある咳払いをして続けた。
「私と同じ時間に入ってるアキちゃんって分かる?高校生の。あの子が、藤真君はモデルのバイトもやってるんじゃないかって言ってたよ。」
「、、、は?」
「藤真君はすごくかっこ良くてファンが多いから、目立ちたくなくて、うちのバイトはそのために深夜帯でシフト組んでるらしいって。」
「何だよそれ。女子高生の想像力怖っ。それ全部間違ってるって、今度言っといて。」
藤真君は腕を組み、ケラケラと笑い飛ばすように言った。
「でもきっと、ファンは多いと思う。藤真君、高校の時もモテたでしょ。」
こうやって、私とも気さくに喋ってくれるところなんか、きっと性格も悪くない。藤真君が笑いかけてくれたら、勘違いする女の子がこれまでにもたくさんいたんだろうな、と隣の笑顔を眺めて思う。
「苗字さんさ、知らない奴から付き合って下さいって言われたことある?」
「えっ、、、無いよ、無い。そんなこと。」
「その場で断っても、友達からでもいいです、って言われみ?友達からでもって何?オレどうしていいか分かんねえし。」
早口で捲し立てた藤真君の話は、一足飛びで進んでいき、私に相槌を打たせるチャンスすらくれない。どうやら自身の経験をなぞらえて語っていたようで、私の頭がようやく彼の話に追い付いた時には、藤真君は圧力のかかった言葉をポンポンと吐き出していた。
「オレ、そんなに急に態度変えられないし、社交的でもないんだよ。だいたいさ、友達から、なんて宣言してくる子ってその後のことなーんも考えてないじゃん。こっちは別に友達になりたくねーし。無理に友達になる必要ってあんの?その先、期待されてもなあ?最初に断ってんじゃん?って、はっきり言ったら言ったで泣かれて結局気まずい空気になるの、もうオレすげぇ嫌で。そういうの、オレうまくやれねぇんだよ。それで、だから自分にもだんだん腹立ってくるし、もう最悪。」
「、、、ふ、藤真君、今日すごい喋る。ふ、ふふふ。」
「何、笑ってんだよ。」
「ご、ごめん。」
ヒートアップしていく藤真君の少し後ろを歩いていた私は、笑ってしまったことを隠そうとしたのだが、藤真君にはバレバレだったみたいだ。それもまた可笑しくて、私は無意識に上がっていく口角を両手で隠した。学校やバイトの時よりも二人でいる時の藤真君はよっぽど積極的で、その優しくない本音ですらも魅力的に見えた。
「綺麗な顔して、言うことエグいね。」
藤真君の本音に半ば引きずられるようにして、私も思ったことを瞬間的に伝えてしまった。
「だから、普通だってオレ。周りが勝手にイメージ作ってるだけじゃん。クールて何だよ。まあ、普段あんまりテンション上がんないけど。根暗だから。」
「そんなことないよ。いつも大学内で誰かと一緒にいるところを見るし、賑やかだよ?バイト先でもお客さんと笑って喋れるし。」
「、、、一人も嫌いじゃないけどな。」
「、、、私は一人が好きだけどな。」
その一言を受けて藤真君の視線が空から降りてきた。そして藤真君は振り向きざまに私に聞いた。
「あ、迷惑だった?」
しかし今のこの状況を私に問う割に、興味なさそうな口ぶりと仕草から、大して気を遣った言葉ではなさそうだ。さらに藤真君は先程自販機で買ったペットボトルの水を少しだけ残して、キャップをしめると、私に押し付けてきた。
「あと、全部飲んでいいよ。」
その強引さと、一口にも足りない水の量は、やはり藤真君の私へのふざけた気遣いをあらわした。要するに藤真君はペットボトルを持って歩くのが単に面倒くさくなっただけだ。
「藤真君、あのさ。こういうのは迷惑です、、、。」
私はペットボトルを振り、水をチャポチャポと音を鳴らすことで嫌味に伝える。そして、ぶはっ、と二人で一緒に笑った。
「苗字さんってさ、なんであそこのバイト選んだ?」
「うーん、家から近かったし。私、サークルとか入ってないしさ、結構シフト入れるかなって。」
「週5だもんな。すげー働くなって、オレ思ってたもん。」
「夕方だけだから。藤真君こそ、深夜帯だと朝の授業眠たくない?」
「だから哲学概論出席できてねぇんだって。」
私と藤真君はまだ歩いた。藤真君の地元は神奈川で、高校までバスケをしていたこと、私はこないだ車の免許を取ったこと、二股中の店長の彼女が深夜のバイト先に乗り込んできて藤真君は修羅場に巻き込まれたこと、私は賞味期限切れの食パンを放ったらかしにしてカビを生やしたこと、どうでもいい下らない話を私も藤真君も思いつくままに繰り返した。たまに話が尽きて黙る時間もあったが、夜のとばりが都合良く二人の表情も、私のぎこちなさも隠してくれたから、もう藤真君を前にして緊張はしなくなっていた。
「あ。」
気付いたのは私の方だった。空に飛び上がる口笛のような高い音。それは国道沿いを走る車のエンジン音にかき消されるほどの小ささで、短い炸裂音が連続して響く。夜空に咲いた閃光が三発、輪になって広がる。青、赤、緑から黄色に変わった火の粉がチラチラと暗闇に混ざって消えた。
「今の!見えた!花火だよね!?わあ!やったあ!見たっ?藤真君?!」
すぐそばにいるのに早く気付いて欲しくて、私は咄嗟に藤真君のTシャツを摘んでグイグイと引っ張った。色彩も爆音も決して派手ではなかったが、花火を見つけられたことが不思議な達成感に繋がって、私は高揚した。
「見た。見たって。え、なんか凄いテンション上がってるんですけど、苗字さん。」
「ご、ごめん。だって嬉しくない?嬉しいよ、私。」
「テンション上げるタイミング完璧失ったし。オレだって、うお、花火!って思ったよ。思ったのに。」
私に盛り上がるタイミングを奪われたみたいで、藤真君は少し恨めしそうだった。あー、苗字さんのせいで、なんて自分勝手にぶつくさ言う藤真君は、自分のことを先程から根暗と表現していたが、私からすると物事の捉え方がねじけていて素直でないだけだと思う。
「、、、難しいなぁ、もう。」
親しみを込めて、私がポツリと呟くと、藤真君は空を見上げながら花火の先を探すフリをして聞こえてない風を装った。それが手にとるように分かってしまうのは、藤真君の不器用さが自分と重なった気がしたからだ。私達は、しばらく立ち止まって遠くの空を見つめて次を待った。しかし夜空はずっとずっと沈黙を貫いていた。
「もしかして、さっきので終わりかよ?」
「、、、かも。」
この会話で私達も沈黙する。そして私は自分の気持ちも沈んだことに気が付く。今夜は藤真君に振り回されていたはずなのに、藤真君ともう少し花火を見てみたかったなぁ、と私は残念がったのだ。もし藤真君と花火をもう少し長く見ることができたらば。夜はドラマチックだ。たった一瞬の花火でも目に焼き付いて何度でも反芻できてしまうのだから、降り注ぐような大輪の花火がもし藤真君を明るく照らしたら、私は結構あっさりと好きになってしまっていたかもしれない。先程、興奮した隣で藤真君が盛り下がってくれたのは、逆に良かったのかもしれない、などと変なところに納得と落ち着きを求めた私は、やはり藤真君と同じくらいねじけていて素直ではなかった。
「藤真君。もう、帰ろっか。」
だから私からこの夜と、この気持ちから撤退することにした。足取りは努めて軽いフリをした。藤真君も私の後ろをついてきた。帰り道は行きとは逆に私が藤真君を連れて歩くような格好となる。
「苗字さん、明日、バイト何時から?」
「17時から。でも夕方って結構人数いるからさ、今日みたいに早めに上がったりもする。」
「ふうん。」
交差点の信号待ちで私達は並んだ。行きに上を見上げながら歩いた国道沿いを、今度は下を向いて帰る。藤真君の白のコンバースが、やたら視界に入ってきて、私はずっとそれを眺めることしか出来なかった。
***
藤真君とは当然あっさりとお別れして、自宅に着く。家の鍵を開けようとして、肩掛けのトートバッグに手を入れる。そこでようやくバッグの中身に、あるはずのないものが存在していることに気付く。
「あ。藤真君にノート、、、。」
渡しに行ったはずのノートを、あの時、藤真君に返されてそのまま持ち帰ってきてしまった。これじゃあ、ただ花火を探しに藤真君と散歩をしただけだったねと、今日を思い出してクスリと笑う。このタイミングでスマホが光った。藤真君からの連絡だった。
『ごめん。ノート、借り忘れた。』
『私も今家に着いて気が付きました。』
『ただの散歩だったな。まあ、花火見られたからいっか。』
藤真君も同じことを考えていた。それが分かって、私は何度もメッセージを読み返す。楽しさと嬉しさが、今になってようやくやってきて、自然と顔が緩んだ。誰に見られるわけでもないのに、それをこらえようと私は頬を膨らませた。
『明日、バイトだろ?ノート持ってきてくんない?オレもバイト、夜からなんだけど、苗字さんの終わる時間に合わせて早めに行くことにするから。ほんとすみません。』
明日、藤真君に会うことになりそうだ。会ってしまったら、もうこの気持ちに名前を付けてしまうかもしれない。難しいなぁ、もう、と私は呟いた。
『うん。了解です。』
とスマホに文字を送り込んで、その画面を見守ってしまう。藤真君に最初にノートを貸して欲しいとメッセージが入って来た時とは異なる緊張感であることは、もう分かりきっていた。私は既読マークがつくのをドキドキしながら待つ。相変わらずダサい私は、ソファに沈み込んで大きく深呼吸をするのだ。スマホを両手に抱いて。
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