ヒーローと警察
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「弾、遅かったやん。ファットに可愛がられて来たんか?」
署に戻ると、直属の上司が声をかけてきた。
「違いますよ。ちょっとお茶を頂いて……連絡先交換していただけです」
連絡先のことは本当は言いたくなかったが、どうせいつか勘付かれるのだ。
後々分かってからかわれるより、今自分から言った方が被害は少ないはずだ。
「ほー? 特権乱用か?」
前言撤回。
あらぬ噂が立ちそうな単語に、夏季は食い気味に否定した。
「違いますよ!! 向こうから言って来たんです!!」
「それでまんまと交換したってか」
ニヤついた顔で見てくるものなので、夏季はぶっきらぼうに答えた。
「元はと言えば、部長が書類仕事溜め込んでたせいなんですからね!」
本来、ヒーローへの協力要請などは巡査の仕事ではない。
だが、どうしても上司の手が空いていなかったので夏季が行くことになったのだ。
ヒーロー飽和社会による、警察官の人手不足の弊害でもある。
「お陰様でかなり捗ったわ」
「そうじゃなきゃ割に合いませんよ」
縦社会である警察だが、上下関係の良さがここの部署の特徴である。
「ま、これで直接ファットに連絡取れるようなら楽んなるわ」
「……どういうことですか?」
と言いつつも、嫌な予感がしている。
「だって、これからは弾がファットに連絡してくれるんやろ?」
夏季はパクパクと言葉が出ない。
「いやー、事件のたびに事務所通して連絡入れるん面倒だと思っててん。助かるわぁ」
いい仕事したな、と言わんばかりに、夏季の肩をポンポンと叩いた。
「っはあぁぁぁ!!!?」
夏季の溜めに溜めた大声は署内中に響いたという。
かくして、夏季はファットの連絡係に任命されたのである。
怒りながらデスクに戻る夏季を見て上司が呟く。
「お茶と連絡先もらって、それで可愛がられてないとか嘘やろ」
そのことに夏季が気が付くのはもう少し先のことだ。