のちに恋人になる二人


「うわ。次の電車まで一時間待ちやん」

 時刻表を見上げ、受けが苦い顔をした。ちょっとタイミングがずれると、こういうことがある。
 受けは、後ろで同じく見上げてる攻めを見た。
 どうしようかな。ほなどっかで時間潰そか、という間柄でもないねんなあ。
 攻めとは同級生というだけで、今日はたまたま課題で行き合わせただけだった。ただ、攻めは美形でモテるし、通学が同じ路線なのだ。何となく知ったような気になる危険な距離感だった。
 そして、同じ路線なので「ほな解散」とも言えない。
 まあ、俺がドロ被るか、腹を決めて攻めを見上げると、攻めも受けを見つめていた。

「困ったな」

 焦らしてそれかい。雰囲気ある美形は得やな。内心突っ込みながらも、「せやな」と受けは頷く。

「どっかで時間潰そか」
「そやな」

 そうはいっても、大して候補ないけど。まあ俺んとこの最寄りよりはずっと、賑わってる。
 都会みたいに駅が魔窟や言うてみたいよな。
 とりあえず、歩きながら、受けは駅にある店を眺める。

「お」

 見知ったドーナツ屋で声をあげる。うまそうやと思ってたけどまだ食うてへんやつや。
 思わず足を止めた受けに、攻めが

「食いたい?」

 と尋ねる。

「うん。ここでええ?」
「ええよ」

 きれいな顔して割にざっと話すねんな。二人で戸をあけてくぐった。
 飲み物は、出てから水筒の飲んだらええか。とドーナツだけ頼むと、攻めがラーメンを頼んでいる。しょっぱいの行きたかったかと思ったが、頼んでるしいいやろと打ち消す。

「ラーメンうまいよな。腹減ってきたわ」
「ドーナツ食うやろ。飲み物いらんの?」
「飲み物分をドーナツに回してんねん」
「はは。意味わからん」

 攻めが笑う。意味わからんことはないやろ。攻めはちゃっかり飲み物を頼んでいた。汁物に飲み物つけるんかい、と思いつつ割り勘で会計する。

 席に座って、受けはドーナツ、攻めはラーメンを食べる。

「ここはテーブル間隔ひろくてええよなー」
「せやな」
「おれ距離狭いとあかんねんか」
「ふーん。学校しんどいんちゃうん」
「調子悪いといややわ。めっちゃ下がってきたり、前詰めてくるやつおるやん。無理や」
「はは。わりに繊細やな」

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