君の一番になりたい
学年が変わって、攻めが恋人と別れたって聞いた。あんなに仲良しだったのに、信じられない。攻めが遠めにもさみしげに見えて、声をかけたくなる。
でも、線を引かれてる俺が声をかけたらいけないよな。恋人さんと別れたってことをよけい考えちゃうかもしれないし、無神経なやつって嫌われたくない。
本当なら別れたのって嬉しいことのはずなのに、自分にあんまり目がないからか、ただ攻めの悲しい顔がつらい。なにか力になれないかな……我慢しきれずに、近くをうろうろしてしまっていた。
「何してるの?」
見つかって攻めに問われて、受けは小さくなる。
「なんでもない」
と答えるけど、攻めはじっと見てる。相変わらず、逃げ切れない目だ。
「ごめん。その、攻めくんのことが心配で」
「聞いたんだ」
「うん」
そのまま黙り込む。攻めは何も言わなかった。受けは、そっと買ってきたお菓子を差し出す。
「これ、よかったら食べて」
失恋の傷の癒やし方なんてわからない。紛らわせ方くらいしか、自分だって知らない。攻めは受け取って、笑った。
「ありがと」
元気がないけど、自分のために笑ってくれた笑顔だった。受けは、「うん」と頷いて去ろうとした。
「受けくん」
「なに?」
「恋の忘れ方、知ってる?」
受けは、固まる。攻めは悲しい顔をして、「ごめん」と言った。
「無神経でごめん。でも、受けくんならわかるかと思って」
切実な声に、泣きたいくらい悲しくなる。こんなに思われる恋人さんが、羨ましくて仕方なかった。
新しい恋をするとか、どうかな。そう言おうと思った。
「そんなの知らない」
なのに、全然楽しくない返しをしてしまった。
「きっとずっと好きだと思うよ」
俺もそうだから、という言葉は飲み込んだ。目を見開いた攻めに、受けは笑ってその場を去った。
勝手に出てきた涙を拭って、歩いた。本当に、いつまで経っても忘れられない。気の紛らわし方ばっかり増えてくだけで。
「俺と恋してなんて言えないよ」
自分に出来ないことをすすめられない。攻めくん以外、無理だから。