ツイノベ集

ぶつかった唇から電撃が走る。
痛みに受けは顔をしかめた。痛い、めちゃくちゃ。
当の攻めは、しらっとした顔で受けを見ていた。

「わかっただろ?俺、キスできねーの」

そう言って背を向ける。

「待って!」

しまったあ。受けは大焦りだった。てんぱって「お前とキスとかそういうことしたいです」なんて告白で言わなきゃよかった。
知らなかったとはいえドツボを踏んだ自分が憎い。

「違う、違う!キスは、ほら!言葉のあやっていうか、特別っていうか、友情じゃないって感じで言いたかっただけで」
「キスが特別な好意の示し方なの?俺はそう思わないけど」

受け、ぐうの音も出ない。

「いやいや!なんか、わかりやすいかなって思っただけで」
「普通そうだからってこと?」

多様性~~。言葉が頭によぎる。受けは目をぐるぐる回した。そして降参する。

「ごめんなさい。偏見だったと思う。けど、俺、お前の特別になりたいって気持ちがあって」

そうなのだ。単に、自分にとってキスが特別だったから、攻めとそういうことができる関係になりたいって思っただけだ。

「特別になれたらいいんだ。本当に、うん。それだけだったんだ」

かなり気落ちしてしまった。これもう絶対ダメなやつだ、とこんな時でも自分の恋路の心配をしてしまう。
傷つけたことを、まず心から詫びれないから、こんなことになってしまったというのに。しかし、二年温め続けた恋が、自分の失言で消えたのだ。少し落ち込むのも許してほしい。
受けの方が背を向けて、とぼとぼ帰りだす。攻めにぐいっと後ろから、手をひかれた。

「お前が帰るのかよ」
「だって、さすがに許してくれよ……」

受けが泣きだす。独りよがりで悪いけど、何度も言うけど二年越しに温めた恋の終わりだよ。自分が全部悪いけど、そういって割り切れるものでもなし。
そう言って鼻をすすっていると、攻めが頭を抱いてくる。

「俺、嫌いなんていってないだろ」
「は?」
「キスとか言うから、ちょっとムカついて」
「へ?」

攻めのすねた声に、目を白黒させる受け。つまり。

「俺も好きだって」

受けは攻めの言葉に腰が抜けて、膝を思い切り打った。体中が、びりびりしびれた。


《完》
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