夜にひとりで落とす問い【8月企画SS加筆版】
家に着くと、一度荷物をおいて、俺は隣の家におじゃましていた。手を洗って、リビングに向かうと、樹くんが、エプロンをつけて支度を始めていた。
「理央、座って待っててくれ」
「俺も何か……」
「こっちは平気だ。すまないが、母さんの相手でもしていてくれるか」
笑って、隣の瀧に、「ざるをとってくれ」と促していた。
「もう、樹は。帰ってくるなり、落ち着かないんだから。理央ちゃん、向こうで話して待ってましょ」
「はい」
おばさんに促されて、俺はテーブルに着いた。いろいろ、学校のことを聞かれる。ふと、オメガの授業を受けたことが頭に浮かんだ。
「瀧、むすっとしていないで、動きなさい」
「動いてる。動線がふさがってて、動きづらいだけ」
二人の声が聞こえて、俺は黙った。オメガのことはいつも、おばさんに聞いてるんだ。けど、何だろう。これは言えない気がした。
「お待たせ、理央」
樹くんが料理を持って出てくる。おばさんが「美味しそうね」と笑うのに、俺も頷いた。