2026年七夕企画SS
目が覚めた。
「げっ! もう七時半じゃん」
完全にもう遅刻ラインなんだけど……! 三田さん、どういうこと!?俺は大慌てで瞬きした。
「っていうか、ここどこ?」
全然知らない部屋だよ。なんか当たり前みたいに確認した時計も、見たことないやつだし。え? 嘘! 俺、もしかして誘拐された?
キョロキョロしたけど、人の気配とか全然ない。誘拐の割に不用心っていうか、布団とか着せるやついるんだ。俺は布団から身を起こし、ぐっと拳を固める。
ん? でもなんか、この感じ……。
俺はそおっと部屋を出た。いつでも臨戦態勢に入れるように気を張る。けど、何でかな。どっか緊張しきれない。そぞろに廊下に出る。そして、「あ」と声を上げた。
「ここ、那智くんの家じゃん」
なんてことはない。この間取り、めちゃくちゃ既視感ある。身体から一気に力が抜けた。なーんだ。そりゃ緊張できなくて当たり前だよ。那智くんだもん。那智くんち……。
ん? ってことは……。
「俺、那智くんちに泊まったの?」
そんなことした覚えがないけど、え? 那智くん、俺のこと呼んでくれたの? 俺、那智くんのお布団で寝たってこと?
嘘でしょぉ! 全然記憶にないんだけど。初めてのお泊まりなのに最悪だ。俺馬鹿すぎじゃない? 奥歯がギリッと鳴った。あ〜くそっ!
「那智くん、なちくーん?」
とはいえ、こうしてもられない。俺は、家主の那智くんを探す。リビングにいない。俺は首を傾げ、家の中を探し回った。……いない。てっきり、朝ご飯とか作ってくれてるのかと思ったんだけど……。おかしいなあ。お買い物とか?
ちょっとしょんぼりしながら、庭先に出る。お花に水もやってないみたい。ん? ていうかお花がないんだけど。
「那智くんのお花が……!」
いつもにこにこ水やりしてるのに。プランターとか忽然と消えてる。泥棒!?
慌てて見に、庭に降りると、隣の家の扉がカタカタ音を立てた。隣。つまるところ、俺の家……。思わず目をやると、扉がすらりと開いた。
「行ってまいります」
あ。
俺は息を呑んだ。
「那智くん……!?」