俺だけいつも枠の外

「攻め! 週末なんだけど――」
「ああ。当然友と遊ぶが」
「また? たまには俺と遊んでよ」
「何で」
「何でって〜……」

 どっと周囲が笑う。俺と攻めの恒例のやりとりなんだ。俺と攻め、友は三人、幼馴染。
 攻めは昔から、友の事が大好きで、

「友、お前は可愛いな」
「友、饅頭やる」
「友、宿題教えてやろうか?」

 と、まあ、猫っ可愛がりで。
 でも、気持ちはわかるんだ。友は本当に可愛い……というか、ほっとけないところのある奴で。
 たとえばさっきの攻めに対して、

「は……?」
「いらん。自分で食べろ」
「自分で解くことに意義がある」

 と、とにかくつっけんどんで。だけど、でも根っこ優しくて、不器用なだけなんだ。
 攻めもそこわかってるから、余計可愛いし、庇護欲爆発なんだよな。ずっと、俺と攻めで、友のこと守ってきたんだ。俺もそれに、異存はないんだけど。

「攻め、俺わかんないとこあって」
「あ? 自分の頭で考えろ」

 ……ないんだけどさ。



「友、ちゃんと本から目を出して歩けよ」

 すっごい美形な攻めと、美少年な友は、見るからに絵になる。俺と言えば、その間にいる、なんか浮かれた奴……。

「ほら、友。溝があるから。おい受け」
「うい。友、こっち来な。俺そっち行くからさ」

 俺は友を真ん中にやって、溝側を歩く。
 友はオメガなのもあって、攻めはとにかく、友に過保護なんだ。道を歩けば歩道側、あんまん食えばあんこ側……あんこ側ってなに。

「おい、友が危ないだろうが。ぼさっとすんな」
「攻め、あの〜俺もオメガなんだけど」
「は? 甘えんな。お前はバグだろ」

 攻めのバッサリとした言葉に、周囲はどっとウケる。攻めの溺愛っぷりと塩っぷりの対比が、凄い面白いみたいでさ。
 俺の人生、最大七不思議が、そんな俺と攻めが付き合ってることだよね。
 いや、いいんだよ。俺は昔からオチ要因で。
 なんかそういう意味では、

「攻めくん、とうとう折れたか」

 ってかんじで、周囲からやっかまれもしないし。
 俺も何でかなあ、って思う。
 友に彼氏が出来たからかな。年上の、ちょっと冷たい感じの大学生で……攻めは、もう過保護大爆発。

「うちの友の何が不満だ!?認めねえからな」

 ってかんじでね。
 まあ言ってね? 友と攻めってガチで仲良しなの。本当に水魚の交わりなの。波長が合ってて、ほんと……だから、何でこの二人が付き合ってないんだろ? ってくらい。

 でも、友彼さんはね。わかりにくい人なんだけど、友のこと、実は超好きでね。ただの武骨なお兄さんだから、俺によく愚痴ってますよ。

「攻め、往ねぇ!」

 って。攻めの嫌いなおかずばかり、わざと友のお弁当(朝、届けに来てる)に詰めてるの、俺知ってるもん。ウケる。

 ……わかるよ。なんか、じゃあ、お前マジで浮いてない? ってことだよね。
 俺も思ってる。
 攻めは友が好き、友は友彼さんが好き、友彼さんは、友が好き。綺麗な相関図だね。俺だけ欠席者みたいに枠外だよ。

 俺の人生って、そんなもん。一番にはなれないけど、でも好きな人は、いっぱいいるから、いいかなって。そう思って過ごしてきた。
 ――んだけど。

「付き合わなきゃよかったかな」
「何がだ?」

 友が不思議な顔して、俺のこと見てた。やば、声に出てた。友に何でもないって首を振る。友がじっと俺を見てた。
 本当に綺麗な顔。なんか、セピア写真みたいな雰囲気ある。……わかってる。

 付き合ったから、こんな微妙な気持ちになってる。だって、恋人って、「一番」ポジのはずだから。

 《完》


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