「オメガの騎士など認めない」と言われましたが
ノアは、自室にひとり、膝を抱えていた。
「……カイルの馬鹿」
膝に顔を埋める。ノアの手には、手紙が握られている。長い溜息をついた。
手紙には、舞踏会のパートナーになってほしいという言葉が、丁寧に書き連ねられていた。
「今更、なんだ」
ずっと、自分のことを避けていたくせに。
「ノアさん」
この春、何もなかったみたいに、話しかけてきたカイル。
あまりに普通だった。優しげで、含みもない。
悩んでいたのは、自分だけだと言われたように感じた。
その上、オメガ扱いするだなんて、どこまで自分との日々を、なかったことにする気だろう。
「カイル、勝負だ!」
そう言って、打ち合った日々。
かけがえがないと……ずっと続くと思っていたのは、自分だけなのだろうか。
背丈も見ない間に大きくなって、知らない人みたいになってしまった。
ずっと傍にいられたなら、きっとここまで戸惑わなかったはずだ。
カイルとなら、ずっと、傍にいられると思っていたのに。
今はひどく遠い。
遠いくせに、距離を詰めてこないでほしい。知らない顔で、声をかけないでほしい。
「俺のことなんて、どうでもいいくせに」
ノアは、ずっと、うなだれていた。