「オメガの騎士など認めない」と言われましたが
「あんまりですわ!」
兄嫁のリナリアが、憤慨した。兄のグレッグも唸っている。
「ノアは試験をクリアして、正式に剣を頂いたのだぞ。それを覆そうなどと……」
「きっと、輝かしい功績に嫉妬してるんですわ!」
「義姉上、兄上。どうか私のために怒らないでください」
ノアは、おろおろと二人をなだめた。
「殿下は国を憂いているのです。前例なきことですから、仕方ありません」
「ノア……」
父であるブラッド公も、「むう」とうなった。
「遺憾なことではあるが。前例がないというのは厄介だ」
「父上」
兄の悲しい顔を、ノアはなだめる。
「ノア、お前、パートナーはいるかい」
「うっ……」
ノアはこれにはうつむいた。
学友たちに、パートナーを頼む……、出来なくはないが……。
「頼み込めば。ただ、花をいただけるかと言うと」
「なーに、心配ない! 相手がいるなら花くらいは余裕だ」
「そうですよ、ノア! あなたはちゃんと着飾れば、誰にも負けませんわ」
「や、やめてください」
お世辞を言われて喜んでいる場合ではないのだ。母が、「それよりも」と言った。
「母はいいと思いますよ。ノアはやっぱり、剣など握らず、殿方の隣で咲き誇るのが似合っています」
「母上」
ノアは、母の言葉に切なくなった。泣いて「お前が大事なのです」と言われた日が蘇る。
「花をいただくなど、リナリアの言う通り簡単なこと。それよりも、相手です。うんと素敵な方にしなくては」
「そうだな……」
母の言葉に、父の腕組みをした。
「ノアが剣を握り続けるには、花をいただかねばならん」
「あなた!」
「カイル殿なんかどうかな? ちょうど誘いがきていたんだが」
これには、一同が声をあげた。
「なんでそれをはやく言わないんですか!」
「カイル殿なら、間違いないですわ!」
「――嫌です!」
ノアは叫んでいた。
皆、目を丸くして、ノアを見ている。ノアは、自分の失策に気づくも、言葉を続けた。
「カイル様は、嫌です。向こうも迷惑かと……」
「向こうから誘いがきてるんじゃないか」
ノアは真っ赤になった。
「とにかく嫌です! カイルと踊るくらいなら、丸太を抱いて出ます!」