十八話 きらきら


 昼休み。俺はお弁当箱を持って先輩を探してた。

志島しじまなら、武道場だよ」

 先輩のクラスのひとに教えてもらって、武道場までの道を行く。せめて、人として最低限のことはしなくちゃ。ぎゅっと、お弁当箱の入った袋を抱えて、歩を進めた。日差しが、まぶしい。みどりも、木の影も濃かった。
 先輩、昼休みなのに、練習してるんだ……。
 武道場が近づく。声と音が響いてきて、俺は足を止めた。外なのに、すごい気合が伝わってくる。竹刀の音、床の鳴る音……強い声。
 圧倒されながら、俺はそっと、中をうかがった。
 俺は息を呑む。
 昼休みなのに、けっこうな人がいる。皆、激しく行き交って、打ち合っていた。

「すごい……」

 思わず見入ってしまう。熱気が、びりびりと伝わってきた。
 ひときわ強い声がした。この声……俺は目を見開く。

「先輩」

 先輩は、すごい気迫で竹刀を振るっていた。気合が、立ちのぼるみたいだった。全然、いつもと違う……優しい笑顔を浮かべてる先輩は、厳しい顔つきで、真剣そのものだった。
 制止が入り、皆、礼をとる。

「先輩、」
「先輩!」

 一緒に竹刀を振るっていた部員の人たちが、先輩にわっと集まった。先輩は凛として、堂々と皆の言葉に答えていた。皆、先輩を慕っているのがわかる。先輩は、遠くから見ても、すごく頼もしかった。
 俺は、時間も忘れて、ただ見入ってた。


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