十五話 切符のゆくえ


 目が覚めたら、救護室だった。

「ごゆっくりね」

 先生の声がした。

「ここは……」
「目が覚めたなら、早く帰りなさい」

 あたりは薄暗かった。俺は慌てて、ベッドから降りる。目眩がしてへたりこんだ。

「全く……」
「す、すみません。ありがとうございました」

 脇に置かれてたカバンを持って、慌てて救護室を出る。先生に頭を下げた。
 こんな時間まで……申し訳なかった。また、迷惑かけちゃったんだ。早足で、転がるみたいに昇降口に向かって。それから息をついた。
 目眩がして、へたりこむ。
 いつ、救護室に行ったんだろ?
 記憶がない。ガンガン頭が痛んできた。靴を履き替えると、校門に向かった。
 一人、広い校門を抜けると、ひどく情けなくて、心細い気持ちになる。

 瀧が、佐保ちゃんといるのなんて、いつものことななのに。
 あの二人は、友達なんだから。

「諦めるって決めたくせに」

 ぎゅっとカバンを握りしめた。
 ――じゃあ、どうして。
 飛び出しそうになった問いを打ち消した。
 家に帰れなくなってしまうから。

《完》

 
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