十五話 切符のゆくえ


「よし」

 俺は、水筒の蓋を固くしめた。
 美味しく淹れられたかな?
 意味もなく、にこにこしてしまう。新品の水筒は、つやつやに輝いていた。水筒用の手提げにいれると、俺は学校に行く支度をした。スマホで時間を確認すると、朝のメッセージのお返事が来てた。

「行ってきます」

 お返事をもう一度打ちながら、俺はそわそわしていた。お昼のことを思って。
 手提げとカバンを手に、ドアを開ける。
 たきが、立っていた。
 俺はかすかに、身をすくめる。カバンをぎゅっと握った。

「お、おはよう」

 瀧が、目を見開いた気がした。ドアから出ると、鍵を締める。カバンに鍵をしまって、瀧の方に進んだ。そっと瀧をうかがう。胸の奥は、ざわざわ落ち着かない。けど、いつもより、日差しが目に辛くなかった。
 瀧は、黙ってたけど、すっと歩き出した。俺は後に続く。水筒の入った手提げを抱えた。
 アスファルトを見つめながら歩いていると、瀧が

「それ」

 と尋ねた。

「どうしたの?」

 瀧の目は、俺の手提げに向いていた。俺は、いっそうそれを強く抱きしめた。

「うん。ちょっと」

 言いながら、ほんの少し笑みがこぼれる。先輩と、お茶を飲むんだ。お弁当の、お礼に……それは、いい知らせな気がした。

「そう」

 瀧はす、と目をそらした。瀧のきれいな手が、俺の後頭部をつつんだ。そうして、すっと引き寄せてきた。
 どきりと、胸が大きく脈打つ。肩口に寄せられ、息を詰めた。そのまま、歩き出されて、俺は瀧を見上げた。
 瀧は黙って、通学路を見て、歩いてた。


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