十二話 扉のむこう


 それから、一生懸命勉強してた。先生が、ときどき様子を見に来てくれて、申し訳なかった。ずっと補習を受けてるみたいだ。
 テストを頑張って、いい点をとろう。
 そうしたら、せめて、ここにいていい気がした。

 中休みに入って、俺は一息ついた。
 お茶を口に含む。受け付けなくて、口元をおさえた。ゆっくりお茶を飲み下す。何も飲まないわけにはいかない。すこしずつ口にする。
 ふうと息をついてると、ばたばたと音がした。

「理央!」

 星たちが、扉を開けて、入ってきた。俺は、目を見開く。

「探したぞ!」
「あいつ、教えやがらねえんだ」
「皆……」
「戻ろうぜ。こんなとこいることねえよ」

 優しく俺の腕を引いてくれた。
 俺は、嬉しくて、申し訳なくて、涙が出た。

「泣くなって。お前は悪くないんだから」
「ありがとう」

 俺は涙を拭いた。笑って顔を上げる。

「でも、ここにいる」

 皆が、目を開いた。

「何でだ?」
「びっくりしたけど、安心もしてるんだ。また、ああなったらどうしようって……怖かったから」
「理央……」
「心配してくれて、ありがとう」

 にこっと笑ったら、悲しい顔をした。しばらく、皆黙ってたけど、星が、「うん」と頷いた。

「そういうことなら、無理には止めないけど」
「星」
「お前はなんも悪くないからな。そこは覚えとけよ」

 真剣な目で、ひとことひとこと、伝えてくれた。あたたかさに、俺は頷く。

「うん」
「昼にまた来るからな!」

 チャイムが鳴って、星たちは帰っていった。俺は、その背中を見送って、手を振った。

「ありがとう」

 ありがとう、本当に。
 頑張ろう。心から思った。

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