十二話 扉のむこう


 学校が近づき出して、俺は手を引いた。瀧が、訝しげに俺を見る。

「ここまでで、いい」

 瀧はじっと、俺を見てた。俺は、首を振って、手を離した。

「もう、平気だから。ありがとう」

 そう言って、俺は離れて、早足で歩いた。ずっと背中が気になる。背中に、汗が伝いだしてた。


「理央、はよ!」
「おはよう」

 行きあった星たちが、俺の肩を叩いた。俺はホッとする。

「体調どうだ?」
「うん、へいき……」

 言いながら、俺は、すごく恥ずかしくなった。
 まだ、体が温かい。つながれた手から、熱が灯ってるみたいだった。
 こんなに気持ちはめちゃくちゃなのに。瀧が、優しいってだけで。

「大丈夫」

 もう、諦めるって決めたのに。どれだけ、自分は未練がましいんだろう。
 どうして。
 瀧の気持ちが、全然わからない。
 なんで今、こんなことするんだ。期待しようとする自分が嫌だ。
 ぎゅっと手を握りしめてた。


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