十話 痛いほどの優しさ


「皆、ありがとう」
「おう。ヤバかったら言えよな」

 早速、迷惑かけてしまった。申し訳なくて、何度も頷いた。恥ずかしがらないで、保健室に行ったらよかった。
 今度こそ、ちゃんとしなくちゃ。
 気合をいれて、授業に臨んだ。頓服をもう一錠飲んでおいた。

「理央〜。ノート見して」
「うん」

 星たちにノートを渡すと、「写させてな」と星が書き写しだした。
 何とかお昼まで、授業を受けることができた。俺はひとまず、ほっとしてた。

「理央、綺麗に取ってるよな〜」
「そうかな」

 褒められてくすぐったい。ノートだけは、ちゃんと取ってるんだ。今、何言ってるかわからなくても、わかってきたときに助けになると思って。こうして、星たちの助けにもなれるし。
 通りすがりに、笑う声がした。

「ノートだけは、必死にとるやついるよな」
「わかる」
「要点もなく丸写しのやつ」
「ノートでだいたいわかるよなあ。馬鹿は応用力ないから」

 見えたのは、教室の扉に向かう、背中だけだった。

「まじうっぜ」

 星たちが舌打ちする。俺は、自分のノートを見下ろした。
 頑張らなきゃ。もっと、ちゃんと。


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