二十三話 きっと、また
「ごちそうさまでした」
ごはんを食べ終わると、ひと息ついてた。先輩と、そっと木々の緑を眺めてた。ゆっくり、時間が流れてた。
「先輩、ありがとうございました」
「こちらこそだ」
「部活、頑張ってください」
「ありがとう。じゃあ」
また。
そう言って、俺と先輩は解散した。先輩は振り返って、手を振ってくれた。俺も頭を下げて、先輩が武道場に入ってくのを見送った。
『また』
先輩の言葉を反芻する。
意味は、このあとかもしれないし、剣道教室でのことかもしれない。けど、『また』だ。
「よし、午後も頑張ろう!」
俺は、しゅっしゅっと素振りをした。武道場の近くの地面って、すべすべしてるから、摺り足もできそうだな。迷惑になっちゃうから、駄目だけど。
早く教室に戻らなくちゃなんだけど、気持ちがわくわくしてた。
蝉の声が、ざあって重なって響く。にじんだ汗を拭って、俺は、空を見上げた。青いなあ。蝉も、どこにいるか、見えないけど、ずっと声がしてる。落ちた影は、何でも、すごく濃かった。
たまたまだよな。だから、大丈夫。
行かなくちゃ。また、気迫が満ち出す武道場を背に、俺は教室へと向かった。
《完》
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