二十三話 きっと、また
二人で武道場の裏で、そっと腰を下ろした。
「暑くないか?」
「はい。先輩は平気ですか?」
「まったく。気分がいいな」
たしかに。外だけど、ここはなんだかひんやりしてる。木陰まであって、風が気持ちよかった。俺はいそいそと水筒のお茶をついだ。
「どうぞ」
差し出すと、先輩は
「ありがとう」
と笑って受け取った。さっと飲む姿は、くすぐったかった。
二人で、隣に並んでお弁当を食べる。いつも向かい合って食べてるから、なんだか目線が不思議だった。
「今日は数学か?」
「はい。このあとは物理をします」
先輩は、俺の話をたくさん聞いてくれた。俺も、先輩にいろいろ聞いた。と言っても、ささやかなことだけど、気になることっていっぱいある。ゆったり、話は尽きなかった。
「美味しいです」
じわってやさしい味のきんぴらをかみしめる。保冷バッグに入ってたお弁当って、ひんやりしてて美味しい。なんだかすごく、夏だなぁって思う。
「そうだな」
先輩は梅のおにぎりを食べながら笑った。俺も、お茶をそっと一口飲む。蝉の声が、さあって流れてた。