二十三話 きっと、また


 学校について、俺は補習のプリントに向き合ってた。いつもの空き教室で、問題を解く。
 夏休みの間にがんばって、次のテストは、いい点をとるんだ。星たちと見上げた掲示板を、思い返す。
 俺は補習で、皆は、何歩も先で頑張ってる。だから、一朝一夕にはいかないけど。俺は、すう、と息を吸って吐く。だからこそ、少しずつ、一つずつ課題を越えていこう。
 ふと、耳にかけた髪がおりて、視界をかすめる。かけ直してからしばらくして、やっぱり髪ゴムを取り出した。てばやく一つにまとめる。

「よし」

 気持ちもすっきりする。そうして、改めて問題に向かった。

 休憩の間、俺はペンケースを手に、素振りをしてた。

「はっ!」

 小さく息を吐きながら、何度も振る。ひとりっきりの教室は広い。だから、のびのび動いて、俺は足運びを確認した。

「何してる?」
「あっ」

 先生の声で、俺は我に返った。いつのまにか、休憩が終わってたみたいだ。先生はプリントを抱えて、うろんな目で立ってた。

「す、すみません」

 俺は慌てて席に戻った。恥ずかしい……! 先生はため息をつくと、プリントの束を置いた。

「解いておくように。また確認するからな」
「はいっ! ありがとうございます」

 俺は元気に返事をした。恥ずかしさのぶん、余計に声が出た。先生はちょっと驚いた顔をして、頷いて出ていった。俺は頭を下げて、先生の背を見送る。教室に通いだしてから、声がはっきり出るようになった気がする。
 ぱたぱた、プリントを取りに向かった。しゃんと動けるようになってきた気がするし。練習も、摺り足以外にも、色々、ついていけるようになってきたし。言葉にすると、実感がわく。
 もっと強くなりたいな。
 俺は机にプリントを広げて、ペンを取り上げた。



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