二十三話 きっと、また


『ごめん』

 たき。――それって、どういう意味なんだ?
 灰色のまどろみの中、音だけが落ちた。
 アラームの音が響いてる。朝が来た。伸びをしてベッドから降りると、カーテンを開ける。青くなる前の空は、白かった。
 よく眠った。けど、少し頭が重い。なにかが、残ってるみたいだ。首を振って、俺はキッチンに向かった。
 朝ごはんをレンジにかけた。電子の音が静かに響く。温めている間、素振りをする。竹刀を握ったふりで、レンジに映る姿を見ながら、そっと姿勢を見てた。

『そう、理央りおくん。重心を意識して』

 先生の言葉を思い返し、繰り返してると、すぐレンジが鳴った。熱気を漏らすごはんを取り出すと、テーブルに向かった。
 ゆっくり食べている内に、部屋が白い光に満ちてく。鳥の鳴く声が聞こえた。
 夏休みが、始まった。


1/6ページ
スキ