那智くんといること(希結×那智)
「お邪魔しまーす」
「いらっしゃい、
にこにこ嬉しそうな
「希結が来るの楽しみで、準備してたんだ」
頭を撫でて言われて、胸がぎゅってなる。はあ、可愛いなあ。
今日は一緒にお勉強しようって約束だった。
テストの点が悪くて父さんに叱られ、
「そういうアクシデント込みで実力だろ」
とだけ言われて読書に戻られた。
その通りだけどさあ! テストの日もなんだけど、本当にこの人我関せずなんだよね!
言ってくれて「よしとけよ」くらい! それも煩いからって感じだし。
あんまり辛くて、悔し泣きしてたら、母さんがゼリーをくれた。
「希結が頑張ってること、知ってますからね。次は気をつけましょうね」
って。母さんは父さんに絶対の人だから、こういうフォローを後でくれる。
それがまた気に食わなかったのか、沙結兄にとことん「勉強見てやる」って言われて泣くまでサンドバッグにされた。
「これくらいも解けないとか馬鹿じゃねえの。これで
くそっ、くそ! いっぺんしね!
泣きながらテキストに向かってた。兄貴の野郎は自分が気が済むまで張り付いてて、俺はヘトヘトだった。
その日の朝、迎えに来てくれた那智くんは、俺の目元が赤いのを気づいて、二人きりになってから「どうしたんだ」って聞いてくれた。
那智くんって、いつもストレートなのに、こういうところ、本当に本当にずるい。
僕は抱きついて泣いてしまった。
「辛かったな」
那智くんは俺を笑わなかったし、責めもしなかった。俺がわかってるの、わかってるから。
「誰だって調子悪いときあるよ。俺もこの間な……」
優しく慰めて、自分の失敗談も聞かせてくれた。那智くんと話してると、ずーっと悔しくて情けなくて、凝り固まった気持ちが解れた。
手をつないで、肩を寄せ合う。俺は、弱ってることを口実に、那智くんの甘い匂いを思いきり堪能する。
「あんまり言われるから、テスト不安になってきた」
と言うと、那智くんがぎゅっと抱きしめてくれた。
「大丈夫。希結はできるよ。希結なら絶対できる」
「うん……」
ちょっと弱く言うと、那智くんは、頭を撫でながら、ちょっと考え込んでた。それから、
「そうだ」
と明るい声で言う。
「テストが不安なら、一緒に勉強するか? 二人なら怖くないし、励まし合えるだろ?」
にこって笑った。
ちょっとよくわからない理屈だけど、那智くんの笑顔には、理屈を通す優しさと真っ直ぐさがあった。
俺はぎゅうっと抱きついて「うん」と言った。
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